秋分の日とは? 由来や春分の日についても知ろう
◆秋分の日の由来
秋分の日は、1948年に公布・施行された「国民の祝日に関する法律」によって定められました。祝日法での秋分の日は、「先祖を敬い、亡くなった人々を偲ぶ日」。そのため、秋分の日は、墓参りや法会と呼ばれる先祖供養を行う日です。
秋分の日が制定される前の呼ばれ方は、「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」。この「秋季皇霊祭」は毎年、宮中で行われる歴代の天皇や皇族の神霊を祀り、1年の豊作に感謝する儀式でした。これが徐々に庶民の間にも広がった結果、「秋分の日」と改名され今も残る祝日となりました。
◆秋分の日は例年9月23日ころ・2024年の決め方は?
秋分の日は太陽が真西に沈む日とされ、昼と夜の長さがほとんど同じになる日です。秋分の日は例年9月22日から9月24日頃とされており、年により日にちが異なります。
なぜ、異なるのでしょうか? それは、国立天文台が天文計算という複雑な計算式を用いて推算しているからです。この計算では2044年までは基本的に9月23日、うるう年は9月22日になる見込みで、2020年はうるう年だったので9月22日でした。
2024年もうるう年であるため、秋分の日は9月22日(日)となります。
日本では、毎年2月に最初の官報で翌年の暦要項が発表されます。この暦要項は天文計算により推算され、閣議決定された翌年の暦です。この暦要項を確認することで、秋分の日だけでなく、二十四節気や日食・月食などを確認することができますよ。
また、秋分の日は季節の変わり目にもあたります。短かった夜が長くなり始めるのが「秋分の日」。反して長かった夜が短くなり始めるのが、「春分の日」となります。
天文学的に祝日が決まるのは、世界的にも珍しいことです。外国人の友人がいる方は、このエピソードを話したら驚かれるかもしれません。
◆春分の日も国民の祝日
春分の日も秋分の日と同様に、昼と夜の長さがほとんど同じになる日。また、太陽の通り道である黄道と天の赤道の交点である「春分点」を通過する日でもあります。
由来は「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」。秋分の日と同じく歴代の天皇や皇族の神霊を祀り、一年の豊作を祈る儀式が行われていました。現在、春分の日は「自然をたたえ、生物を慈しむ日」とされています。
春分の日も秋分の日同様に、例年同じ日であるとは限りません。通例、3月20日か3月21日のどちらかが春分の日となります。
秋分の日とお彼岸の関係
秋分の日のように、祖先を供養する日といえば「お彼岸」ですね。秋のお彼岸は「秋彼岸」と呼ばれ、秋分の日を中日とした前後3日、合わせて7日間のことを指します。
秋分の日は、太陽が真西に沈む日でしたね。仏教では極楽浄土は西にあると考えられているため、秋分の日やお彼岸は、あの世とこの世が最も通じやすい日だと言われてきたそう。そのことから、先祖の供養をするのに適した期間とされたいきさつがあるようです。
秋分の日を中心としたお彼岸を「秋彼岸」と呼ぶように、春分の日を中心としたお彼岸を「春彼岸」と呼びます。農耕が今よりも盛んであった時代、種をまき始める春には収穫を祈って、実った作物を収穫した秋には感謝の意を込めてお供えをしていたと言われています。
秋分の日にはお墓参り以外に行事食もいただく
◆ご先祖のお墓参り
あの世とこの世が最も通じやすくなる日とされている、秋分の日。この日は、祖先や故人を供養するために、お墓参りをする日です。また、このお墓参りに合わせ、寺では彼岸会(ひがんえ)が行われます。自宅で供養する場合は、仏壇周りの掃除を行い、住職を招いてお経をあげてもらうのが一般的のようです。
秋分の日のお供え物の定番といえば、「おはぎ」。日本では昔から、小豆には邪気を祓う力があると信じられてきました。お彼岸におはぎを供えることにより、祖先への供養を行います。
現代の人々はそれぞれ忙しいこともあり、これらの行事は簡略化される傾向にあります。たとえば、自宅で仏壇にお線香を手向けたり、心の中で祖先にお祈りを捧げたりして供養をする形も受け入れられてきているよう。
大切なのは、故人を懐かしく思い出し、祖先に思いを馳せること。両親や祖父母に先祖の話を聞くのもいいかもしれませんね。
◆秋分の日にいただく食べ物
お墓参りでお供えをするように、秋分の日には「おはぎ」をいただきましょう。おはぎという名前は、秋の七草の1つである「萩」に由来します。1年の収穫を感謝し、その年収穫した小豆のつぶあんでおはぎを作ることがならわしです。
おはぎを作るのには手間暇がかかるため、最近では手作りセットを売っているところもあります。今まで作ったことがなくても手作りセットを使えば、簡単に作ることができますよ。
また、同じく秋分の日にいただきたい食べ物が、「里芋の煮物」。里芋は子芋がたくさんつくことから、豊作と子孫繁栄の象徴であるとされています。豊作を神や先祖に感謝するために、豊作の象徴でもある里芋を食したりお供えするのが習慣となったようです。
里芋だけで食べるのが苦手、という方は炊き込みご飯やけんちん汁など、秋の根菜が入った料理を食べるのもいいかもしれませんね。本来の食べ方とは異なりますが、豊作を詰め込んだ縁起の良い食べ物であることに変わりないので、ぜひお試しください。
秋分の日の食事やお参り…今年から実践してみよう!
秋分の日について紹介しましたが、いかがでしたか? 9月にある連休の1つで、「どんな日なのかを知らなかった」という方も意外と多いのではと思います。
秋分の日は先祖や故人を偲ぶ大切な日。今年はお墓参りやお供え、おはぎを食するなどして思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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