弁護士堀井亜生さんの恋と仕事のスッキリ法律相談 PART6
テレビで人気の弁護士・堀井亜生さん。人間関係トラブルに詳しい堀井さんが、ダメ男、ダメ上司など、Oggi世代の女性たちがハマってしまったトラブルをスッキリ解決する連載です。
第5回記事▶︎「付き合った彼氏が既婚者… どうしたらいい?」
第4回記事▶︎「彼に貸したお金… 回収するにはどうしたらいい?」
第3回記事▶︎「優しい彼のギャンブル癖、止めさせることは可能?」
第2回記事▶︎「結婚秒読みの彼に女装癖が発覚。受け入れたいけど…」
第1回記事▶︎「小説家志望のDV彼氏。アザができるほど殴られ… でも別れられない」
今回は、家電メーカーに勤務する佐橋紀恵さん(仮名・30歳・年収400万円)の相談です。
◆仕事が落ち目の彼に、どう対応すればいい?
現在付き合っているのは、10歳年上の40歳の男性。同棲中です。彼は大手広告代理店を数年前に辞めて、デザイナーとして独立しました。5年前にウチの会社のパンフレットを作ったことが出会いのきっかけでした。
彼のデザインしたパンフレットはとても評判が良くて、売り上げを前年比1.5倍に伸ばしてくれたのです。商品に対する深い理解と、的確なデザイン…。その才能に惹かれて交際を始めました。
出会った頃は、年収も高くとても羽振りがよかったのですが、年齢を重ねるにつれて、彼の仕事が不調気味に。受注する案件も少なくなって、今では落ち目を感じるようになったのです。
他人の悪口ばかり言うようになって、浴びるようにお酒を飲んで帰ってきたこともありました。そんな彼とは、正直一緒にいても楽しくありません。彼にまた輝いてもらうために、私にできることありますか?
◆堀井先生のアンサー!
紀恵さんは、彼の才能に惹かれて、つきあい始めたとあります。彼が好きなのか、それともその才能が好きなのかを、このタイミングでよく考えてみてはいかがでしょうか。
クリエイティブな仕事の人にとって、才能というのは、枯渇する恐怖と表裏一体のものです。私が過去に取り扱った事例では、音楽家、作家、映像制作、ウェブデザイナーといった方について、才能がなくなってきたことで夫婦が不仲になった案件を見てきました。
しかし、どんなに妻が励ましたりしても、それで夫の才能が戻って不仲が解消したケースはありませんでした。才能は他人が努力して輝かせられるものではないのです。むしろ、あなたが輝かせようとすればするほど、彼は自分が落ち目になってきたことを実感して、ますます自己嫌悪に陥る可能性が高いでしょう。
さらに問題なのは、落ち目になってしまった方は、「誰かのせい」にし始めてしまうということです。世の中のせい、取引先のせい、妻のせい、親のせい、家族のせい、上司のせい… と、さまざまな相手に責任転嫁をしていきます。支えたり心配してくれたりする人のせいにして、お酒や暴力で憂さ晴らしをすることもあります。
では、紀恵さんはどうしたらいいのでしょうか。
それは、紀恵さん自身が自分の人生を楽しむことです。自分が楽しいと思うことや、仕事で自分を向上させることに集中する。
もし彼がその成長をねたんで邪魔しようとしてきたら、きっぱりとはねのける。そうしているうちに、彼も自分自身の成長が停滞していることに気づいて、再び立ち上がる気力が湧いてくる可能性もあります。
相手を輝かせようとあれこれ考えても、かえってプレッシャーになるだけです。それよりも隣にいる自分が輝ける方法を考えてみてはいかがでしょうか。
取材/前川亜紀 イラスト/チカツネナオ
弁護士・堀井亜生
北海道出身、中央大学法学部卒。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)ほか、各メディア、講演等で活躍。夫婦・男女問題に関するリアルな事例の紹介と解説が好評。著書に『ブラック彼氏 ~恋愛と結婚で失敗しない50のポイント~』(毎日新聞出版)がある。趣味は料理、ピアノ。一児の母。公式サイトはこちら