弁護士堀井亜生さんの恋と仕事のスッキリ法律相談
テレビで人気の弁護士・堀井亜生さん。人間関係トラブルに詳しい堀井さんが、ダメ男、ダメ上司など、Oggi世代の女性たちがハマってしまったトラブルをスッキリ解決する連載です。
第二回目は、大手商社に勤務する佐藤友美さん(28歳・年収680万円)
前回記事▶︎「小説家志望のDV彼氏。アザができるほど殴られ…でも別れられない」弁護士・堀井亜生さんが回答
◆結婚秒読みの彼に女装癖が発覚! 驚いています
2年交際した3歳年上の彼からプロポーズされて同棲中です。結婚式の日取りや式場選びなども具体的に進んでいます。彼は私と同じ会社の違う部署にいるのですが、仕事ができてカッコいい人なのです。スリムな細マッチョ体型と塩顔で、「王子」という感じ。話が合うし、音楽などの趣味も合います。〝女性嫌い〟とのうわさもあったのですが、好きなアーティストの話を通じて仲良くなり付き合うことになった時はホントにうれしかったです。
しかし、同棲をしはじめ彼の生活用品を見てみたら、女性ものの下着やメイク道具があって…。問いただすと、彼に「僕は女性になるのが好きなんだ」と告白されました。なんでも、週に1回程度、女性の下着を身に着けて出かけたり、こっそりメイクをし、月に1回程度は、本格的に女装をして、イベントに出かけるとか。
「でも、友美のことは心から愛している」と言っていました。彼の恋愛対象はずっと女性だそうです。
そんな趣味があるとは全く予想していなかったので、ものすごく驚いています。いろいろな趣味の人がいるのだから受け入れなければ… と思うのですが、自分の夫となることを考えるとやはり気になります。また、これから子供が生まれたら、父親の女装癖をどう説明しようかなどと考えてしまいます。
今、どうしても彼に対して、昔と同じように接することができない自分がいます。どうすれば彼を受け入れられるようになりますか?
◆堀井先生のアンサー!
私の経験上、「女装が好きだけれど恋愛対象が女性」という男性は少なくありません。純粋に美しいものが好きだったり、女性ならではのかわいい格好がしたくて女装をしているだけで、結婚後も家族に理解してもらった上で女装の趣味を続けているという人もいます。
つまり、彼らにとって、女装は「ファッションの一環」なのです。
あなたがおっしゃる通り、趣味嗜好は多様化している時代です。他人の趣味嗜好に対してどう感じるかも人それぞれです。女装趣味に驚く人がいれば、コスプレとたいして変わらないから全く気にならないという人もいます。つまり、「受け入れ方も多様化している」のです。
友美さんは、彼の女装癖に対して、悩みとして相談しなければいけないほど、受け入れるのに抵抗があるご様子です。そこから察するに、友美さんが彼を受け入れるのは、難しいのではないかと考えます。
友美さんが、女装グッズを見つけたときに彼を「問いただした」上に、どんな頻度でどんな女装をしているのかも詳しく聞き出しているところからすると、彼の女装癖を気にする気持ちが今後エスカレートしてしまう可能性もあると思います。荷物をあさったり、出かける彼の後をつけたり…。そういう詮索をされると、彼も窮屈な思いをしてしまうかもしれません。
私は今まで、女装の他にも、パートナーの趣味嗜好に関するいろいろな相談を受けてきました。例えば、爬虫類の飼育、異常な数の昆虫標本、激しい格闘技のファン、アーティストの追っかけ、ロリータ趣味…。多くの場合は、自分が無理に受け入れようとしてストレスを感じてしまうか、趣味を強引に辞めさせて相手にストレスを与えてしまうかのどちらかです。
頭でわかっていても受け入れることが難しいのなら、お互いに傷つけあってしまう前に、そっと離れることをおすすめします。
取材/前川亜紀 イラスト/チカツネナオ
弁護士 堀井亜生
北海道出身、中央大学法学部卒。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)ほか、各メディア、講演等で活躍。夫婦・男女問題に関するリアルな事例の紹介と解説が好評。著書に『ブラック彼氏 ~恋愛と結婚で失敗しない50のポイント~』(毎日新聞出版)がある。趣味は料理、ピアノ。一児の母。公式サイトはこちら
悩みを弁護士・堀井亜生さんが回答