弁護士堀井亜生さんの恋と仕事のスッキリ法律相談 Part5
テレビで人気の弁護士・堀井亜生さん。人間関係トラブルに詳しい堀井さんが、ダメ男、ダメ上司など、Oggi世代の女性たちがハマってしまったトラブルをスッキリ解決する連載です。
第五回目は、派遣社員の松本桃花さん(仮名・28歳・年収340万円)
第四回記事▶︎「彼に貸したお金… 回収するにはどうしたらいい?」弁護士・堀井亜生さんが回答
第三回記事▶︎「優しい彼のギャンブル癖、止めさせることは可能?」弁護士・堀井亜生さんが回答
第二回記事▶︎「結婚秒読みの彼に女装癖が発覚。受け入れたいけど…」弁護士・堀井亜生さんが回答
第一回記事▶︎「小説家志望のDV彼氏。アザができるほど殴られ… でも別れられない」弁護士・堀井亜生さんが回答
◆どうしたら彼を離婚させることができるでしょうか…?
2年間付き合った35歳の彼と同棲し始めました。私の方から「そろそろ将来を考えてほしい」とお願いして同棲したのです。彼は「お金がない」と同棲を拒んでいたので、私が引っ越し代をはじめ、礼金・敷金の計70万円を支払いました。これで貯金はほぼ0円に。
一緒に住み始めて1ヶ月… 彼は週2~3回は外泊をして帰ってこないことがあります。彼はフツーの会社員なのですがモテるんです。だから、浮気相手がいるではと思って調べたら、彼は別の女性と結婚していることがわかりました。外泊していたのは家に帰っていただけで、浮気を疑った私自身が浮気相手だったんです。
彼に証拠を突き付けて、「結婚しているんでしょ!」と問い詰めると、「結婚しているけれど、惰性で続いているだけで妻のことはもう愛していない。離婚して君と一緒になりたい」と言われました。
そこで弁護士に離婚の相談に行かせて、私と結婚するために離婚することになりました。でも数ヶ月経っても私との結婚話が進まないので、どうなったか聞いたところ、「妻がごねて交渉が進まない」と言うのです。
不安になってある日、彼のメールを見たところ、彼は奥さんのところに泊まることはやめたものの、今でも連絡は取り続けていて、たまに二人で会っているみたいです。さらに問い詰めると「愛はない。でも、妻は精神的に弱い人なので突然連絡を断つことはできない」と言われて、途方に暮れています。
奥さんは、「世間体が悪いから離婚はしたくない。しかし、離婚さえしなければ私と同棲するのには反対しない」と言っているそうです。中途半端な状態は嫌なのですが、どうしたら彼を離婚させることができるでしょうか?
◆堀井先生のアンサー!
残念ながら、このような男性は少なくありません。一言で表現すると「恋愛八方美人」というところでしょうか。このタイプの男性は、他人から嫌われたり失望されたりすることを極度に避けて、誰にでもいい顔をする傾向があります。
その性格ゆえに、物事を自分で決めません。なぜなら、自分で決断すると責任を取らなければならなくなるからです。嫌われたくない、失望されたくない、そして自分が悪者になりたくない…。そんな一心で、その瞬間に相手が「最も言われたいであろう言葉」をただ口にするのです。
困ったことに、そのときの気持ち自体にはウソも偽りもないので、女性は「この人は私のことを真剣に考えてくれている」と思ってしまいます。そうやってあちこちにいい顔をしているとトラブルが起きますが、やがて相手が諦めたり、仲裁する人が現れたりし、事態が終息してしまいます。
このように自分以外の力で問題が解決してしまうので、トラブルのたびに周囲の人が傷ついても、当の本人は無傷でけろっとしたままなのです。
私も実際に、似たような男性からの離婚相談を受けたことがあります。その方は恋人と妻との三角関係に悩んでいて、口では離婚したいと言っていましたが、全く行動に移す様子がありませんでした。結果的に、業を煮やした妻の方が離婚に踏み切りました。相手側の女性には多額の慰謝料を請求して、彼女は妻に全額を支払いました。しかし、その男性は、さらに別の女性と浮気をしていたのです。
桃花さんは彼と結婚したいとおっしゃっていますが、このような男性は、離婚まで持っていくのも難しいですし、持って行ったとしても、幸せで落ち着いた生活を送るのはなかなか難しいと思います。
奥さんが離婚したくないとごねている、奥さんが精神的に弱いから連絡を断てないというのはただその都度、頭に浮かんだ言い訳を口にしているだけで、彼の心情としては、「誰か仲裁してくれる人が現れて、すべてが丸く収まったらいいのに」くらいにしか考えておらず、離婚を迫るあなたも、離婚してくれない妻に対しても、「正直面倒くさいな」と考えているはずです。
奥さんが同棲してもいいと言っていても、あなたが法的に不倫相手であることには変わりありません。彼はどんなに急かしても離婚しないでしょうし、奥さんもそういう彼の性格を知っていて、離婚をしないのでしょう。
中途半端な状態が嫌ということでしたら、きっぱり別れることをおすすめします。
取材/前川亜紀 イラスト/チカツネナオ
弁護士・堀井亜生
北海道出身、中央大学法学部卒。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)ほか、各メディア、講演等で活躍。夫婦・男女問題に関するリアルな事例の紹介と解説が好評。著書に『ブラック彼氏 ~恋愛と結婚で失敗しない50のポイント~』(毎日新聞出版)がある。趣味は料理、ピアノ。一児の母。公式サイトはこちら