胡椒科のスパイス「ヒハツ」で内臓温度をあげて、冷えを解消しよう!
「内臓温度が上がれば、内臓のパフォーマンスは上がります」というのは、理学博士・鍼灸師・全国冷え性研究所所長・柔道整復師の肩書きをもつ山口勝利さん。山口さんは多くの患者さんを施術していくなかで、体の冷えがあらゆる不調の原因になっていることに気づき「全国冷え性研究所」を1998年に開設。いまでは全国に400の分室があるそう。
山口さんが内臓を温めるためにおすすめの食材というのが、スパイスの「ヒハツ」。耳慣れない名前ですが、みなさんはご存知ですか?
◆胡椒科のスパイス「ヒハツ」とは?
「ヒハツ」は胡椒科のスパイスで、2400年前から薬剤として存在してきたもの。別名でロングペッパー、ピパーチ、ヒバーチ、沖縄の島コショウとも呼ばれています。
紀元前6〜5世紀ごろ、ギリシャのヒポクラテスが薬剤としての機能に注目した記録もあるとか。その後、ヨーロッパでは、黒胡椒の出現で廃れていったものの、インド、北アフリカ、インドネシア、マレーシアでは今も盛んに使われています。中国では漢方として、インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、昔から体の冷えをとり、長寿を促すものとしてもっともよく使われている薬草のひとつでもあります。
ではなぜヒハツを摂ると、体が温まるのでしょう。
熱を体のすみずみまで運ぶ働きをするのは、体中に張り巡らされている毛細血管です。ただ毛細血管は、極細で劣化しやすく壊れやすい特徴があります。毛細血管が劣化すると熱を運べなくばるので、温かな体にするには、いかに丈夫に保つかが重要。ヒハツには、毛細血管を強くする「ピペリン」という成分が多く含まれているので、ヒハツを食べると内臓までしっかり熱が届くようになるのです。
◆スパイス「ヒハツ」はどうやって摂ればいい?
具体的にどれくらいの量を摂ると効果があらわれるのでしょうか? 山口さんに伺いました。
「目安は1日たった1グラム、小さじ1/2程度で十分。刺激が少ないのですが、摂りすぎは禁物です。毎日摂取しましょう。
私がヒハツをすすめるのは、摂り方ががかんたんなのも理由のひとつです。ショウガや根菜などの食材もあたため食材と知られていますが、調理するという過程が必要です。その点、ヒハツならば香辛料として粉末になっているので、何かにかけるだけで摂れます。
今までコショウをかけていたもの、たとえばスープなどにヒハツにひとふりしてみてください。好みや相性はありますが、お味噌汁やうどん、カレー、パスタなどなんでもひとふり。またお茶や紅茶など飲み物に入れるのもありですね。漢方では体を冷やすといわれているコーヒーを飲みたくなったら、ヒハツをかけて飲んでください。
これまでいろんな方に、ヒハツを食べてもらったのですが、特にラーメン、チャーハン、回鍋肉など中華料理に合うという方が多くいました。また肉の下味に調味料として加えると肉の臭みも消えておすすめです。
大切なことはヒハツを摂る習慣をつくることです。そうするだけで毛細血管が元気になり、血流もよくなり、内臓温度が上がることになります。とはいえ、無理して摂取しても意味がありません。個人差もあります。もしヒハツを食べることで体調が悪くなるようなことがありましたら、やめてください。また持病をお持ちの方は、医師に摂取について相談してみてください」
編集Hも山口さんのお話を聞いて、さっそくスーパーでパイスコーナーにあったS&Bの瓶入りヒハツを購入。いろいろ試していますが、シナモンのような少し甘い香りミートソースに入れたらいつも以上に美味しくなるなど嬉しい効果も。
まだ味や風味には慣れてないので、毎日摂取ができていませんが、なるべく1日1グラムを摂れるようにして、冷え対策をしっかり行っていきたいです!
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山口勝利(やまぐち・かつとし)
理学博士、柔道整復師、鍼灸師、全国冷え症研究所所長。1962年生まれ。神奈川県横須賀市出身。30歳のときに墨田区で鍼灸の治療院を構える。多くの患者さんを施術していく中で、体の冷えがあらゆる不調の原因となっていることに気づき、「全国冷え症研究所」を1998年に開所。今では、全国に400の分室を持つ。ICUにある深部体温計を導入するなど、「内臓の冷え」にも早くから着目し、その研究・治療に日夜はげんでいる。また「冷え」の怖さ、対処法を広めるべく、TVや雑誌などにも多数出演。「冷え症」治療の第一人者として注目されている。
井上宏一(いのうえ・こういち)
日本内科学会認定内科医。日本抗加齢医学会専門医、南砂町おだやかクリニック院長。1971年生まれ。兵庫県神戸市出身。2000年3月順天堂大学医学部卒業後は、一つの臓器だけを専門にするのではなく、人間の体全体を診ることができる医師を目標に、小児科医、内科医として、さまざまな病院で研さんをつむ。現在、南砂町おだやかクリニック院長を務め「『健康=幸せ』の実現をサポートする医療」を掲げ、西洋医学にとらわれず、代替医療も取り入れた総合医療を目指している。