職場にいる20代との付き合い方、マネジメント術
「今の20代の若者は、がんばっているなと思っていたら、突然辞める…できる人ほど、あっさり辞める。いったいどうすればいい?」そんな嘆きの声があらゆる職場に噴出している昨今、自分の後輩や部下に突然辞められては困る! と感じるなら、必読。
「“SNS村社会”で育った20代は、これまでの常識は通用しない」というのは、若者の働き方研究の第一人者で、ツナグ働き方研究所 所長の平賀充記さん。その平賀さんに前回、前々回に続き、若者マネジメントがぐっとラクになるキーワードを伺いました。
若者の「可処分所得」ならぬ「可処分時間」を考える必要性
「20代の若手社員に何が一番のパワハラかを尋ねたら、意外な答えにもっとも多くの賛同が集まりました。
『何十分も説教されるのが一番嫌かも。時間を奪われるのが最悪』
てっきり、暴言を浴びせられたり怒鳴られたりする説教がパワハラかと思っていたのですが、それよりも時間を奪われることにハラスメントを感じるというのです。
これは新たな気づきでした。無茶な仕事を振られるのも、理不尽な指示を受けるのも、結局は時間が無駄になるのが一番のダメージだと、彼らは考えているのです。逆に強烈な説教であっても、パッと終わるのであれば構わないとさえ言っていました。
もちろん、これはひとつので例ですが、若者が全般的に時間に対してとてつもなく大きな価値を見出しているのは確かです。
SNS村に住む彼らは何百人とか、千人超というフォロワーとつながり、いくつものコミュニティに所属して、マルチに活動しています。ですからオトナが想像する以上に忙しい毎日を送っています。そんな中で、どうやって時間を生み出すか、そしてその時間で何を生産するか。“コストパフォーマンス”ならぬ“タイムパフォーマンス”を常に追求しているのです。
私が聞いた若者の時間に対するコメントには『同じ量の仕事を、昔より短い時間でやらないといけないから、そこは困る。昔の人はいくらでも時間をかけられたが今は違う』や、『金はツール、時間を買うツール』というのもあります。
どうやら若者たちには、オトナ世代には仕事に費やせる時間がたっぷりあったけど、自分たちは違うという感覚があるようです。ところがそれを理解できていないオトナは、自分の時計で若者を縛ってしまいます。
ひと言で結論を伝えればいい話をだらだら続けたり、わざわざ会議をするまでもない内容なのに仰々しく集められたりすることは、若者にとって苦痛でしかありません」
若者の考えや若者にとっての常識を慮ることも、マネジメントでは重要なんですね。それにしても、今時の若者には注意したり、しかる時間に多く費やすと煙たがられる? とはいえ、短く説明しただけでは理解しきれておらず、何度も同じミスを重ねてくることも…でも若者本人は自分は完璧にできている! …と思い込んでるから、だんだんと注意するこちらの腰が引けてしまうなんてこともあります…。はぁ若者とのつきあい方って本当に悩ましい!
若者の働き方研究の第一人者である平賀さんの最新著書「なぜ最近の若者は突然辞めるのか」(アスコム)では、さらに詳しく今どきの若者分析や若者が望んでいるものなどを詳しく解説しています。若者のトリセツとして役立つヒントがいっぱいですよ。
お話を伺ったのは… ツナグ働き方研究所所長 平賀充記さん
ツナグ働き方研究所所長。株式会社ツナググループ・ホールディングスエグゼクティブ・フェロー。
1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年、株式会社リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。
人事部門で新卒採用を担当後、「FromA 関西版」「FromA 東海版」などの編集長を歴任。2008年からは「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」など、リクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を務め、2009年にダイバーシティ転職サイト「はたらいく」を立上げ。2012年株式会社リクルートジョブズ、メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年に同社を退職、株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年にツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。正規、非正規や性別、国籍などの枠組みにとらわれない働き方の実現に向けて、リアルな職場の現状を調査、レポートし続けている。
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