職場にいる20代との付き合い方、マネジメント術
「今の20代の若者は、がんばっているなと思っていたら、突然辞める…できる人ほど、あっさり辞める。いったいどうすればいい?」そんな嘆きの声があらゆる職場に噴出している昨今、自分の後輩や部下に突然辞められては困る! と感じるなら、必読。
「“SNS村社会”で育った20代は、これまでの常識は通用しない」というのは、若者の働き方研究の第一人者で、ツナグ働き方研究所 所長の平賀充記さん。その平賀さんに前回に続き、若者マネジメントがぐっとラクになるキーワードを伺いました。
SNS村に住んでいる若者の「ヨコ社会」
「若者にとって理想的な上司と部下の関係とは、私が多くの職場で見てきた限りの印象で言うなら、彼らが望んでいるのは「仲間」。人生の先輩と後輩でもなく、ましてや師匠と弟子ではなく、ひとつの仕事を協力して成し遂げる仲間であることをを彼らは求めています。
なぜならSNS村社会に住む若者は、個人と個人が直接つながり、仲間関係が横に広がっていくことに慣れているからです。そこでは年上も年下も関係なく、経営者でも会社員でも、外国人であっても、個と個でつながっています。フラットで「ボーダレス」なヨコ社会です。
そんな世界で生きている若者からすれば、職場や会社という枠組みは、それほど大きな意味はもちません。まず組織ありきで働くのではなく、なんらかの目的があって集まった人たちという感覚です。
ですから仕事の仕方も、上司や先輩の私事で盲目的に動く「上意下達型」ではなく、いろんな人と協力しながら進める「プロジェクト型」を志向します。だから上司にはお互いに協力し合える仲間として接してほしいと願っています。
仲間なのですから、どちらかが威張るのはおかしいし、困っている相手を助けようとしないのもおかしい。ましてやどうしていいかわからないでいる部下に対し「自分で考えろ」とか「いちいち聞くな」などという上司は、仲間として不適格だと彼らは判断します。
明確なビジョンを掲げて、強烈の仲間意識を共有できるリーダーを求めているのです」
今どきの若者の心の中がわかる「モクテキ原理主義」の考え
「それってやる意味あるんですか?」
最近、こうした表現もよく耳にしますよね。でも、違和感を抱くことありませんか? なぜ若者はこのような言い方をするのか…これも平賀さんに意見を伺ってみました。
「若者にとって、物事の意味づけは何より大事なこと! 昨今マネジメントの現場ではよく『目標より目的で語れ』と言われます。
例えば『うちの店で売り上げ100万あげよう!』と言っても若者は動いてくれません。
『私たちの仕事は、お客様のためにあります。お客様の満足が、私たちへの信頼となり、その信頼の積み重ねが100万の売り上げになるのです』と説明して、やっと腹に落ちるといった具合です。
物事の大小はこだわりはありません。たとえ小さなことでも、誰かのためになるとわかれば、真面目にやりきります。反面、理不尽なことにはものすごいアレルギー反応を示します。
彼らに、仕事はそもそも理不尽なもの、理不尽に耐えてこそキミの成長がある、などと説こうものなら、途端にそっぽを向かれてしまうでしょう」
なるほど! 今回もまた扱いにくい職場の若者との付き合い方のヒントがたくさん! 明確なビジョンを共有する仲間として接し、かつ理不尽に受け取られないようにというのが重要なんですね。
若者の働き方研究の第一人者である平賀さんの最新著書「なぜ最近の若者は突然辞めるのか」(アスコム)では、さらに詳しく今どきの若者分析や若者が望んでいるものなどを詳しく解説しています。若者のトリセツとして役立つヒントがいっぱいです。
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お話を伺ったのは… ツナグ働き方研究所所長 平賀充記さん
ツナグ働き方研究所所長。株式会社ツナググループ・ホールディングスエグゼクティブ・フェロー。
1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年、株式会社リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。
人事部門で新卒採用を担当後、「FromA 関西版」「FromA 東海版」などの編集長を歴任。2008年からは「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」など、リクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を務め、2009年にダイバーシティ転職サイト「はたらいく」を立上げ。2012年株式会社リクルートジョブズ、メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年に同社を退職、株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年にツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。正規、非正規や性別、国籍などの枠組みにとらわれない働き方の実現に向けて、リアルな職場の現状を調査、レポートし続けている。
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