職場にいる20代との付き合い方、マネジメント術
「今の20代の若者は、がんばっているなと思っていたら、突然辞める…できる人ほど、あっさり辞める。いったいどうすればいい?」そんな嘆きの声があらゆる職場に噴出している昨今、自分の後輩や部下に突然辞められては困る! と感じるなら、必読。
「“SNS村社会”で育った20代は、これまでの常識は通用しない」というのは、若者の働き方研究の第一人者で、ツナグ働き方研究所 所長の平賀充記さん。その平賀さんに若者マネジメントがぐっとラクになるキーワードを伺いました。
若者の心の中がわかる特性にみる「普通にいい」という表現
「このパスタ、普通においしくない?」
最近、こうした表現をよく耳にしますよね。でも、違和感を抱くことありませんか? なぜ若者はこのような言い方をするのか…平賀さんに意見を伺ってみました。
「“普通に美味しい”という言い方は、“ちょっと美味しい”でも“意外と美味しい”でもない、…非常に曖昧な表現です。これ以外にも、曖昧な表現は増えています。“ナシよりのアリ”とか、“アリよりのナシ”とか。またツイッターでは“わかりみが深い”という言葉をよく見かけます。これは単に“わかる”と、完全に言い切らないときに使う言葉のようです。
実は、何かを評価する際に使う若者言葉が、どんどん曖昧化しているのです。いいとも悪いとも言い切らない、断定はしない。これは他人に見られていることを前提にした、過剰な忖度が背景にあります。
オンラインの世界では、『2ちゃんねる』にせよ『食べログ』にせよ、ひとつの話題に対してさまざまな意見や評価が溢れています。そんな中ではっきりと断定するには勇気がいります。誰にも否定されないように無難に答える、何事にもエクスキューズの余地を残すことが若者の処世術なのです。
『この新しいPOP、どう思う?』
『自分的には普通にいいと思いますけど…』
この“自分的には”や“普通に”といった表現には、発言の主体性を薄くしようという心理が透けて見えます。オトナからすると、言いたいことがよくわからないとか、自己主張が希薄だと思えるかもしれません。しかし彼らは決して“ストレートな自己表現が苦手”なのではなく、“あえて封印している”のです。本音はしっかりもっています」
なるほど!「自分的には普通にいい」という表現は、希薄な意見ではなく、あえ主張を封印する術だったとは! これは驚きです。
扱いにくい職場の若者との付き合い方のヒントになりますね!
若者の働き方研究の第一人者である平賀さんの最新著書「なぜ最近の若者は突然辞めるのか」(アスコム)では、さらに詳しく今どきの若者分析や若者が望んでいるものなどを詳しく解説しています。若者のトリセツとして役立つヒントがいっぱいです。
お話を伺ったのは… ツナグ働き方研究所所長 平賀充記さん
ツナグ働き方研究所所長。株式会社ツナググループ・ホールディングスエグゼクティブ・フェロー。
1963年長崎県生まれ。同志社大学卒業。1988年、株式会社リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。
人事部門で新卒採用を担当後、「FromA 関西版」「FromA 東海版」などの編集長を歴任。2008年からは「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」など、リクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を務め、2009年にダイバーシティ転職サイト「はたらいく」を立上げ。2012年株式会社リクルートジョブズ、メディアプロデュース統括部門担当執行役員に就任。2014年に同社を退職、株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年にツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。正規、非正規や性別、国籍などの枠組みにとらわれない働き方の実現に向けて、リアルな職場の現状を調査、レポートし続けている。
最新刊「なぜ最近の若者は突然辞めるのか」(アスコム)が好評発売中。