内祝いの習慣、あなたはどうしていますか?
接遇マナー講師の古岡めぐみです。
結婚や出産のお祝いでお祝い金やプレゼントを頂いたら、内祝いを贈る習慣があります。元々は喜びのおすそわけとしての贈り物が内祝いですが、お祝いをしてくれた方々へのお返しという意味合いが強くなっていますね。品物選びや渡すタイミング、金額などのマナーに悩む方も多いのではないでしょうか。
昔と比べて結婚式はカジュアルになり、家族形態は核家族が増え、価値観や生活スタイルが変わってきています。今までの内祝いの習慣やマナーに違和感があっても、マナー本やネットに書いてある事は昔からほとんど同じ。
「マナーがないと思われたくないから贈る」という方もいらっしゃるかもしれませんね。今、習慣やマナーを見直し、変化が必要な時代なのだと思います。新時代の内祝いマナーについて考えてみましょう。
◆お祝い金を贈ったら、内祝いで半分戻ってきた
かつて「10,000円のお祝い金を渡したら、内祝いで半分(5,000円分のギフトカード)が戻ってきた」というツイートに大きな反響がありました。せっかくお祝いを渡しても、半分も返してきたら先方にはほとんど残らないこと、さらにお返しをしなくては! と思わせてしまうことを憂慮しての発言。贈る側からしたら、お返しは期待していないのに…、ですよね。
内祝いのマナーとして、いただいた金額の半額(半返し)~3分の1程度の贈り物をするというものがあります。お返しとしてもらって嬉しいものランキング上位は、ギフト券やカタログギフト。
確かに、好みのものを選べるという点では嬉しいですが、そもそもこちらへの気遣い(お返し)より、お祝い金はすべて新しい生活に役立ててくれる方が嬉しいというのが贈る側の本音ではないでしょうか。
◆内祝いはいらない
私自身、結婚でお祝い金やプレゼントを頂いた際、内祝いを贈りました。すると「気を遣ってもらってありがとう」という声と、「逆に気を遣わせてしまってごめんね」という声がありました。
ホテルマン時代、「気づかれないぐらいのさりげない気遣いが相手にとって心地いい」と教えられましたが、従来の内祝いのマナーでは相手に余計な気を遣わせてしまう事が分かりました。
また、学生時代の友人が調理器具の贈り物をしてくれた際、「内祝いとかしないでね!」と手紙に添えられていました。お言葉に甘えて内祝いは贈らずお礼のメールをしたところ、「ふたりで美味しいものいっぱい食べてね! バンバン使ってくれたら、私も嬉しい」という返信がきました。同世代で仲の良い友人には、従来の内祝いマナーよりも感謝の気持ちをダイレクトに伝える方が喜ばれますね。
◆従来の内祝いのおさらい
変化が必要な時代とはいえ、親世代や上司世代はマナーに厳格な方も多いです。内祝いを贈る際には、金額やタイミングなど、4つのことに気を付けましょう。
<内祝いに使う金額>
お祝い金やお祝いの品より高価なもの、安すぎるものはNGです。いただいた金額の半額(半返し)~3分の1程度の贈り物を目安にしましょう。
<内祝いのタイミング>
1カ月以内にお返しをするのが目安です。祝ってくださった方に忘れた頃に内祝いが届くということは避けましょう。
<喜ばれる内祝い>
カタログギフトやギフト券は好きなものを選べるので、多くの方に喜ばれます。タオルなどの日用品やスイーツなどもいいでしょう。
<あまり喜ばれない内祝い>
趣味に合わない雑貨や小物、嫌いな食べ物は喜ばれません。カタログギフトやギフト券が喜ばれる理由はここですね!
◆新時代の内祝いマナー
「お祝いをしてくれた方々へのお返し」という意味合いになってしまっている現代の内祝い文化ですが、「喜びのおすそわけとしての贈り物」という元々の意味合いにもう一度戻しませんか? 人の感情や共感に価値がある時代です。感謝の気持ちを伝える言葉も素敵な贈り物。
結婚であれば、幸せな結婚生活の報告だって素敵な贈り物。出産ならば赤ちゃんのかわいい顔を見せてあげるのだって素敵な贈り物。
贈り物は物品でなくてもいいのです。「マナーがないと思われたくないから贈る」ではなく、「喜びの輪を広げたいから贈る」という時代にしていきたいですね。
古岡めぐみ 接遇マナー講師
沖縄「カヌチャベイリゾート」や、大阪「大阪マルビル大阪第一ホテル」など、名だたるホテルでホテルマンとして勤務していた当時、お客様から多くの支持を集め、また後輩育成にも力を注いできたことを認められ、過去に社内表彰されること多数。現在は石川県を拠点に、これまでの経験をもとに接遇マナー講師とし て活動中。