【目次】
・【子なし夫婦】全体でどれくらいの割合? 増えてるの?
・【子なし夫婦】老後の生活費は? 貯金はいくら必要?
子宝に恵まれず、諦めたケースも少なくないながら、自分たちの意思で「子なし」の選択をした夫婦もいます。いずれにもしても、子どもの有無に関らず、老後の生活は気になるところです。
【子なし夫婦】全体でどれくらいの割合? 増えてるの?
「結婚したら、子どもは2人、いや3人は欲しいな。おばあちゃんになったら、孫に囲まれるの」──以前は、こうした夢を語る女子も多く、結婚式のお祝いのスピーチでも「早くお子様を」というフレーズがあたりまえでした。
そうした価値観に変化が訪れたのは、今から30年くらい前の1980年代。DINKs(ディンクス)という言葉が流行語となり、まさに子なし夫婦が増加。
DINKSの意味って?
DINKSは、Double Income No Kids(ダブルインカムノーキッズ)の略語です。つまり、夫婦2人で収入を得て、子どもをつくらず、優雅に生活を送る──それまでも、自由きままにシングルライフを謳歌する「独身貴族」という言葉がありましたが、その夫婦版と言っていいかもしれません。
DINKSは、一時的な流行では終わらず、現在でも子どもをつくらないという夫婦が目立ちます。統計をみても、DINKSが出現してから、この30年間で“子なし夫婦”が増えていることは一目瞭然。
子なし夫婦は全体の約2割強
厚生労働省/「国民生活基礎調査」2016より(単位:%)
表に示したのは、厚生労働省がまとめた「国民生活基礎調査」の中で、世帯類型別世帯数を抜粋したものです。
このうち、夫婦のみ世帯は、平成の初め1989年には、全体に占める比率が16.0%だったのが、2016年には23.7%まで上昇しました。
それに反比例する形で、夫婦と子の世帯は39.5%から29.7%と、約10ポイント近く下落しているのです。別の理由もあると考えられながら、三世代世帯の比率が15.3%から5.9%に低下したことも、“子なし夫婦”が増えていることも影響しているでしょう。
こうした統計をみると、ますます少子化が進んでいることが実感できると思います。
【子なし夫婦】老後の生活費は? 貯金はいくら必要?
さて、子どもがいないと、気になるのは老後。
中には、「子どもがいても将来面倒みてくれるとは限らない」「子どもがいなくても夫婦仲がいいので、ずっと2人でも楽しくやっていける」──そう思っている人も少なくないでしょう。
また、「仕事を引退した後は夫婦2人でやりたいことを思い切りエンジョイしたい」といった考えの人もいると思います。
夫婦2人の場合、共稼ぎは言わずもがな、専業主婦の世帯でも、子どもがいる世帯に比べれば、月々の家計収支はよくなります。
子どもがいる世帯への優遇措置は企業や行政にもありますが、それらを差し引いても家計はラク。
以下に、総理府統計局が公表している家計調査から、2017年の「夫婦共稼ぎ子あり」世帯と「専業主婦子なし」世帯の月間平均消費支出を比較してみます。
<月間の消費支出平均額>
「夫婦共稼ぎ子あり」…334,960円
「専業主婦子なし」……289,988円
これらは、あくまでも平均値ですが、月間で約5万円の差が生じ、その分、夫婦のみの世帯の可処分所得が多くなっていることが理解できるでしょう。子あり世帯の教育費にあたる支出を、子なし夫婦なら外食や旅行、嗜好品の購入などにあてられるわけですね。
ですが、いかに夫婦だけで家計に余裕があると言っても、今を楽しむだけではなく、しっかり蓄えておく必要はあるでしょう。
では、老後の資金はいくら必要になるのでしょう?
老後の1か月の最低予想生活費は26万円
何歳まで生きるかは個人で大きな差が出るので、それとともに、老後資金の全体に差が生じることから、ひと月あたりの生活費を探ってみます。
以下は、金融広報中央委員会がまとめた2016年「家計の金融行動に関する世論調査」から、年齢別にまとめた老後のひと月当たりの最低予想生活費、並びに年金支給時に最低準備しておく金融資産残高について抜粋したものです。
(金融広報中央委員会、2016年「家計の金融行動に関する世論調査」より)
表を見てもわかるように、老後の入り口に差し掛かった60歳代の数値が低いことがわかります。年齢が下り、額が増えるのは、物価上昇など不確定要素が大きいとみているためかもしれません。なお、平均額は以下の通りです。
老後のひと月あたりの最低生活費・・26万円
老後までに用意しておく貯金の額・・・2771万円
老後までに準備しておく貯金額の目安は約3000万円
もう一つ、統計をみてみましょう。今度は、平成25年度に全国有料老人ホーム協会がまとめた調査研究報告書「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」の中から、老人ホームに入居した際の月間の平均費用(光熱費などを含む)から抜粋しました。
<老人ホームに入居した際の平均月間費用>
月払いで75歳介護なし・・・131,575円/1人あたり
月払いで75歳介護付き・・・247,687円/1人あたり
これは1人あたりの費用ですから、夫婦2人の場合、当然、かかる費用は約2倍になります。介護なし2人で26万円ですから、最低予想生活費とドンピシャ!
老人ホームは立地やサービスによっても価格に差は生まれます。
子なし夫婦の場合、お金があっても面倒をみてくれる人はありません(子ありであっても子どもが面倒をみてくれるとは限りませんが)。
その分、老人ホームや介護施設など、将来のための貯金やマネープランを考えておく必要がありそうです。
文/しごとなでしこ編集部
初出:しごとなでしこ