今回のテーマは、「タコは地球外生物の影響から生まれた説を多国籍科学者グループが発表」でも触れた「ウイルス進化説」についてです。
宇宙から絶えず地球に降り注いでいるウイルス
読者の皆様は、このシリーズの第1回目「インフルエンザは宇宙からやって来たって本当!?」を覚えておいででしょうか。
インフルエンザといったウイルスは宇宙から地球に絶えず降り注ぎ、地球に侵入しているという説です。「侵入」という言葉を使いましたが、生命の起源が宇宙にあるという説にのっとれば、我々人間だって侵入者でもあるので、ちょっとこの言い回しは微妙であるものの、他にいい言い回しが見つからないので取り敢えず侵入とさせていただきますね。
進化論のおさらい
私たちは数億年という長い年月をかけて、単細胞生物から進化して、現在のような動植物の状態になりました。
進化論というと我々の多くは、理科の授業にダーウィンの進化説を習います。まずはこのダーウィンの進化説についてキーワードをまとめつつおさらいしていきましょう。
・適者生存
最も周辺の環境に適した姿形や性質を持っている個体が、生き残っていく現象です。仕事ができて上司に気に入られる人が出世する、みたいな感じでしょうか。
・自然淘汰(自然選択)
周辺の環境に適せない姿形や性質を持っている個体は淘汰されていく現象です。こちらも仕事がうまくいかない社員の左遷や降格など、会社でよくある話ですね。
・性淘汰(性選択)
モテない人は子孫を残せないで淘汰されてしまう現象です。こちらについては後ほど解説を。
・生存競争
同じ種類の個体間で繰り広げられる生存のための競争のことです。まさに会社組織で言うところの出世競争のことですね。
・突然変異
親から子へ遺伝情報が受け継がれる時(=遺伝子の内容がコピーされる際)、間違った遺伝情報が伝わるコピー・ミスのこと。
こちらは会社生活に例えるなら、書類をコピペして使い回していく度に、誤字脱字がどんどん増えていく感じとかですね。
人間にも「性淘汰」はあてはまるのか?
さて、皆様ご存知の通り生き物が子孫を残すためにはチョメチョメ(交尾)が必要となります。相手に選ばれないとチョメチョメできず、子孫を残せないため、交尾の相手に選ばれるような形質(時に、それが生存に有利かどうかは別として)を持つ者が生き延びるようになります。
わかりやすい例ですと、クジャクの雄の羽の模様のきれいさや、ライオンのたてがみの立派さ、ホタルの発光の明るさなどがあります。交尾の対象となる相手の心に「刺さる」見た目をした個体が交尾相手に選ばれて残っていく感じですね。
人間においては、結婚では見た目以上に収入や将来性などが重視されるため、この限りではなさそうです(見た目と収入はある程度比例しているという調査結果も出ていたりしますが)。
また、モテモテの独身貴族のようにモテていても子どもを作らないポリシーの人も中にはいるため、性淘汰から外れてしまっているように見えます。ええ、ええ、これもこれで一つの進化かもしれませんが。
次回はこちらのダーウィン進化説の変な点について解説したいと思います。
【参考図書】
『YouもMeも宇宙人』いけのり著/東京大学名誉教授松井孝典監修(地湧社)
『彗星パンスペルミア 生命の源を宇宙に探す』チャンドラ・ウィクラマシンゲ著(恒星社厚生閣)

いけのり
最先端のアストロバイオロジーを世界一緩く解説する『YouもMeも宇宙人』(地湧社)著者。一橋大学商学部卒業後、金融会社・楽天市場を経て独立し、オールジャンルでの執筆・編集業などで活動中。独り言サイト「いけのり通信(http://ikenori.com/)」の更新がライフワーク。