始まりました! 朝ドラ『風、薫る』今週の見どころと感想をレポ
2026年度・前期朝ドラ『風、薫る』が始まりました! 明治時代の日本で看護の道を切り拓いた、一ノ瀬りんと大家直美の物語。見上愛さん、上坂樹里さんのダブル主演です。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
第1週「翼と刀」を振り返ります

始まりました、『風、薫る』! 今回はダブルヒロインのバディもの。「バディ」、いいですよね。タカ&ユージ的な最強バディもアツいし、のび太&ドラえもんみたいな、守り守られるふたりもいいよね。最近だと、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も最高でした。お互いを思いあうゆえのクソデカ感情もドラ子は大好物です! りん&直美ははたしてどんな関係性になるのか、今から楽しみですね。
物語の舞台は明治時代初期。前作『ばけばけ』とほぼ同時期なので、世界観に入って行きやすくて助かります。武士の世は終わり、価値観は大きく変わり、東京は文明開花に浮かれ…そんな時代です。
第1週ということで、「今回のヒロインはこんな性格ですよ〜」とさりげなく描かれます。
栃木で農業を営む一ノ瀬家のりんは、のほほんとマイペースな性格。一方で思ったことをなんのきなしに口にだす、大胆なところも。どうやら家は貧しいようだけど、両親に大切に育てられたことが伝わってくる、ほがらかな女の子です。
東京で暮らす直美は、親に捨てられ教会で育った少女。その出自ゆえ苦労してきたのか、「正しいだけで生きていける人」に嫌悪感を向けるなど、少々こじれた性格をしているみたい。けれど本当は、そんな自分がいちばん嫌い。生きづらさにもがいているような、そんな心のうちが透けて見えます。
なるほど、正反対のふたりではないですか〜! バディといえばでこぼこコンビですからね。なぜか「手先が器用なりん」と「すごく不器用な直美」も強調されていたので、そのうち直美の不器用っぷりをりんがフォローする展開がきっとあると思います(笑)。
けれど根底には、ふたりは同じものを持っているんです。1話冒頭、りんも直美も転んだ子供に手を差し伸べていました。誰かのために迷わず動けること。きっとこれこそが、ふたりが看護の道を邁進する理由になるのではないでしょうか。
1週目から急展開に次ぐ急展開!
そしてそして、第1話から驚きの急展開が待っていました。りんの暮らす栃木の村に「コロリ(コレラ)」が発生。当時、罹患すれば7割が死に至るというおそろしい伝染病です。あっという間に村でも流行し、18人が死亡する悲惨な状況に…。患者は隔離され、その家族は腫れ物のように避けられ、しまいには「東京から来た者は村に入るな!」と。なんだか数年前のコロナ禍を思い出します。でも村人は外に出てもOKだったのがちょっとだけ違和感でしたが、明治時代の感覚だとそんなものなのかもしれませんね。スマホはおろか電気も水道もない時代、ステイホームなんて無理だよね。けれど目に見えない恐怖が人をおかしくするのは、いつの時代も変わらない。
コロリ患者の看病は、雇われた下男・下女の役割だったようで、その人たちにすら「金目当てだろう、よくやるわ」と蔑むような目が向けられます。りん&直美はこれからナースになるわけですが、彼女たちもそんなふうに見られてしまうのかな。しんどい。
そんななか、りんの父上もコロリに感染。歴戦の朝ドラウォッチャーは皆「やっぱり」と思ったのではないでしょうか。朝ドラにおいて「いいお父さん」はそれだけで死亡フラグなのです(涙)。優しく聡明、元部下からもいまだ慕われる父上。長生きはできないだろうと予想はしていたものの、まさか4話目で退場してしまうなんて!
父上は自ら納屋に閉じこもり、看病を申し出るりんを絶対に近づけません。コロリ患者を隔離するのは、「正しいこと」です。けれど亡くなった父上を目の当たりにして、りんは「(正しいことだけれど)間違えた」と涙するのでした。せめて生きているうちに、無理やりにでも戸をこじ開けていればよかった…そんな後悔でしょうか。
この「正しさとは何か」が今作のキーワードになりそうな予感です。第1週でもたびたび、この言葉が発されました。りんの父上は、家老という立場を捨てて農家になった人。明治の世になっても士官への誘いが来るほどですが、断っている様子でした。その理由にやたら含みを持たせてくるので、何があったんだろう?とドラ子も注視していたのですが…明言はされなかったけれど、父上なりの「正しさ」を探し求めた結果なんだろうな、と思います。
かつて父上の上司だった殿は、新政府にくみすることを決めた。その結果、村は戦火を免れた。しかし殿は自らの正しさのため、ひとり腹を切った──そのことをずっと父上は忘れられないようで。「正しい」とはどういうことか。武士としての「正しさ」って誰のためだったのか? ずっと父上は、悩みながら第二の人生を送っていたんだろうな。
とはいえ、農家に転身した結果貧乏になるくらいなら、士官になってお給料もらったほうが生活は楽だったんじゃないのー!?とか思っちゃうドラ子もいる。家族を支えるためにはそのほうが「正しい」のではー!? たとえばさ、前作『ばけばけ』の父上が士官のお誘いを断ったとしたら「えええ!? なんでそんないい話を!!」って総ツッコミじゃない!?(人望が違いすぎるのでアレですけども)
誰かにとっては正しくても、他の誰かにとっては違う場合もある。それもまた、父上が言うように「正しいとは難しい」なのかもしれませんね。
…それにしても、父上退場の次の回ではすでにコロリも村八分もすっかり終わっていたのにはけっこう衝撃を受けました。なんの前触れもなく鹿鳴館のシーンで始まったときのほうが、ある意味急展開だったかもしれない。1話飛ばしちゃったかと思ったくらい(笑)。東京に行ってた母上&妹はどうやって帰還したのか…どんなふうに村は平穏を取り戻したのか…家族を失った人々の悲しみは…そのあたりもうちょっと教えてほしかった。喉元過ぎれば、ってことですかね。実際、大半の現代人にとってもコロナ禍のあれこれは「そんなこともあったね」という感覚なわけですし。
さて、父上を亡くしますます貧しくなっていく一ノ瀬家。家計を救うためか、りんは結婚することを決意。一方、東京の直美はアメリカへの憧れを膨らませ…停滞する日々を打開するため、ふたりのヒロインが動き始めます。
次週は「灯の道」
今週ラストには多部未華子さん演じる大山捨松さまが登場。海外暮らしが長く、英語とフランス語を操るキュートな貴婦人です。この捨松さまが、りん&直美に大きな影響を与えそうな予感ですよ〜! 次週も期待!
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後に録画をじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。



