“法”を取り巻く極限の人間ドラマに、柳楽優弥&松村北斗が挑む
「思想信条がないのが弁護士。依頼者を弁護するのが弁護士の使命」。半グレ、ヤクザ、前科持ち…厄介な案件ばかりを引き受ける弁護士・九条間人(くじょう・たいざ)。どんな加害者・犯罪者からも依頼を受け、世間からは悪徳弁護士呼ばわりされる彼の“正義”とは──。法とモラルの極限を描くクライムエンターテインメントが、Netflixシリーズで待望のドラマ化となります。
主人公の九条間人を演じるのは柳楽優弥さん。その相棒となるイソ弁=“居候弁護士”の烏丸真司を松村北斗さんが演じます。初共演ながら相性ぴったりのふたりの、相思相愛トークをお届けします!
社会の問題から目をそらすことは簡単。けれど向き合うことが、自立への一歩になる

──今作が初共演となるおふたり。お互いに俳優としての「凄み」を感じた瞬間はありますか。
柳楽優弥(以下、柳楽):まず、僕は北斗くんの空気感がすごく好きです。自然体でやさしくて、まわりの人をハッピーにするような。初共演でしたが、とても安心感がありました。九条と烏丸先生の関係性は、この作品のコアになる部分。僕と北斗くんの距離が近づいていく過程が、作品のなかにも反映されていたらいいなと思います。
松村北斗(以下、松村):物語を動かす軸となるのが、主人公。柳楽さんはその「軸」の作り方が本当にすごくて、衝撃を受けました。僕が台本から読み取れなかった九条の心情が、全部お芝居に詰まっているんです。「なるほど、九条のこの言葉ってこういうことだったんだ」と。
そのうえで、柳楽さんにはずっと「余白」がある。周りがどんなふうに動こうと、九条の「軸」はそのままに、受け止めてくれるというか…ちょっと怖くなるくらいに、芝居の流れを自然に敏感に捉えてくれる。これは後天的なものなのか、先天的なものなのか。自分はまだまだ役者として未熟だと、痛感させられました。
柳楽:ふふっ(照れ笑い)。
松村:淡々とした会話劇と、決め台詞でグッと「刺す」ようなシーンを何度も行ったり来たりするのですが、その緩急もすごかったです。どうやって心のコントロールをしているんだろう?(笑)自分にカメラが向いていないとき、うっかり柳楽さんに見入ってしまって台詞を忘れてしまいそうなほどでした。
──お互いの心の距離が近づいたと実感した瞬間は?
柳楽:九条と烏丸先生が一緒にカップ麺を食べるシーンがあるんですけど。そのころ実際の僕たちもだんだん距離が縮まって、会話も増えてきたタイミングでした。
松村:ありましたね! あのシーン、楽しかったです。
柳楽:楽しかった! 九条と烏丸先生も、僕と北斗くんも、冗談を言い合う仲になれたんだってしみじみ実感しました。
──犯罪、社会構造の闇、弱者の搾取…非常にシリアスな題材が続きますが、ご自身にとくに刺さったシーンはありますか?
柳楽:雫(しずく)の回のエピソードは、特に印象に残っています。雫はある罪を犯しますが、その背景には、壮絶な過去や弱さにつけこむ男による搾取があった。傷を抱えた彼女に対する、九条先生の気遣いや配慮には、心を打たれます。
もちろん大罪ではありますが、雫にとって、味方でいてくれる大人の存在はとても心強かっただろうなと思います。誰かが寄り添うことで救われる人がいる。それができる大人を尊敬しますし、僕もそうありたいです。
松村:現代は、SNSなどで気軽に発言ができて、返事も簡単に返ってくる。その時その時で瞬間的に過ぎることが増えている気がします。点と点ではなく、線で考えることがないがしろにされがちな時代なのかもしれません。
けれど、九条先生は依頼人の人生を長期的に守るために、点じゃなくて線で見ている。このドラマには根底にそんな視点が感じられて、「現代の救済」を感じました。
柳楽:本当にそう。エンターテインメントとして引き込まれることも大事ですが、この物語で描かれる事件は、どれも現実に起こり得ることだと思います。社会の問題に少しでも向き合うことが、もしかすると自立への一歩になるんじゃないかなと。そういう意味でも、多くの方に観ていただきたいドラマになっています。
松村:柳楽さんはやっぱり「親」ですね…。「自立への一歩」は子育て経験がないとなかなか出てこない言葉です。

──現場でも、柳楽さんはお兄さん的存在だったのでしょうか。
柳楽:いや〜、そんなことないよね。僕と北斗くんで一緒に支え合っていた感じだよね。親目線というよりも、(松村さん演じる烏丸の上司である)「九条先生目線」的な意識はあったかもしれない…?
松村:柳楽さんは現場のエネルギー源でした! 撮影中は暑さも厳しくて、過酷な状況もあったのですが…どんなに忙しくても柳楽さんが一番エネルギーを高く持っているから、それが現場のみんなに伝染していって。
柳楽:うれしい。僕もね、北斗くんと一緒で本当によかったなと思っています。
松村:僕もよかったです。ドラマを観ていただくと、烏丸と九条先生がお互いに抱いている気持ちがすごく伝わってくると思います。ふたりがだんだん信頼を寄せていく感じが、話数を重ねるごとに強くなっていって。現場の僕たちの空気感も、それとリンクしていたのかもしれないです。撮影も後半にさしかかったころは、一緒に四股を踏むのがルーティーンになっていましたね(笑)。
柳楽:北斗くんは空手経験があって、僕も武道を習っているので、四股の大切さをふたりとも知っているんです。
松村:「ここの筋肉が、やっぱり大事ですよね」って。朝イチで四股を踏んでいたら、だんだんスタッフも真似し始めました(笑)。
──現場の和やかなムードが伝わってきます(笑)。過酷な撮影だったそうですが、ご自身をリセットするためにしていたことはありますか。
松村:うーん、そこは意外と自然にリセットできていたかもしれませんね。
柳楽:そうですね。世界観のキーは九条と烏丸先生ではあるんだけど、依頼人のみなさんが引っ張るシーンもけっこうあるから…そのあいだに僕たちはしっかり休めたので(笑)。
──休んだ後に再び撮影に入る際、スッと九条と烏丸に戻れるものなのでしょうか。
松村:僕は、戻るたびに緊張していたんですが、それ自体が作品そのものの切迫感だったり、烏丸が九条に抱く緊張感だったりにつながると解釈して、お芝居のとっかかりにしていました。
柳楽:確かに。期間が空くと現場の空気感がまた新鮮に感じられて、いい緊張感が生まれる。重たいテーマを扱う作品だからこそ、緊張感があるほうが正解だったのかもしれません。

──カットがかかったあとも緊張感が抜けずに困ったり、日常にも引きずってしまったり…そんなことはありませんでしたか?
柳楽:僕はあんまりないですね。(松村さんに)あった?
松村:僕は緊張に負けてしまった瞬間も、たくさん…ありましたね。正直、圧倒されてしまって。それが物語からの緊張なのか、現場の緊張なのかは、あまり考えないようにしていました。
たとえば留置所での接見のシーン。もちろんセットなのですが、その緊張感はものすごいものがあるんです。場所とシチュエーション自体が放つ怖さがある。けれど、僕自身がその空気感も素直に受けとって、芝居に臨むようにしていました。
柳楽:作り込むことよりも、そこに飛び込むことの方が大事だったと、僕も思います。作品の持つべき緊張感をみんなが維持することには、かなり体力がいる。けれどその分、映像としての見応えにつながったのではないでしょうか。
仕事に求めるのは「ワクワク」。自分自身にちょっとでも期待が生まれたら、飛び込んでみる

──九条は、基本的に依頼を断らない弁護士です。おふたりには、オファーを受ける「基準」はありますか?
柳楽:僕ね、20代は「とにかくいろいろな作品をやる」をコンセプトにやってきました。そうすると、だんだん僕に合う役・合わない役が自分でも僕も分かってくるんです。それをもとに、30代の僕は「より力を発揮できる役」に集中したい気持ちです。20代でさまざまな役に挑戦したことでそこに辿り着けたので、なんでもやってみることはやっぱり大事ですね。
松村:僕は、お話をいただけるようになったことがここ数年のことで…正直、選び方もまだよくわからなくて。だから、素直に人に相談してから決めることが多いです。
自分の直感ではやりたいのか、何が不安なのか、難しそうだと感じるのはどこか。相談する中で客観的に分析して、最後はもちろん自分で決断します。でも僕にとって何が基準かというと…うーん、まだよくわかっていないかもしれません。
柳楽:どれもありがたいお話だからこそ、難しいよね。
松村:はい。でも強いて言えば、物語が持つ意味やそれによって「自分にも何かができるかも」っていう、期待ですかね。自分自身にちょっとでも期待が生まれたら、飛び込んでみる。
柳楽:確かに! ワクワクが大切。僕にとっての20代はそうだったのかもしれない。今は、グローバルに届けられる環境になっているからこそ、どこでどう広がるかわからないワクワクがありますね。
──では最後に…出会った時の印象と比べて、撮影を終えた今の印象はお互いにいかがですか?
柳楽:僕、最初から北斗くんの印象をずっとキープしています。第一印象でかなりの高水準だったので(笑)。だんだん新たな一面を知ったというよりは…ずっと彼のよさを実感しています。本当に北斗くんと共演できてハッピーだったし、今も引き続き、好きです!
松村:(はにかむ松村さん)僕は最初のころは、「素の柳楽優弥」ではなくて九条先生としてお話している時間が長くて。初めてお互いに素になった時に、こう…「空想の動物か!?」ってくらいギャップがあって。もともとは、ザ・兄貴! 漢!みたいなイメージがあったんです。ですが実際はすごくやわらかくて、人を優しさや愛情で包んでくれるような人で…。こんなに素敵な人だったなんて、と。優しさにくるまれたまま、最後まで終わりました。緊張がピークに達した時ほど、柳楽さんに話しかけて、気持ちを落ち着けることもありました。
柳楽:(笑)。僕は僕でね! 北斗くんに包まれていましたよ。
松村:お互いに包まれていたんですね(笑)。
【取材メモ】
取材の場に先に到着したのは松村さん。どことなく緊張の面持ちで待機されていましが、柳楽さんが「よろしくお願いします!」と明るく登場すると、顔をあわせてパッと笑顔に。一気にリラックスした雰囲気になりました。ふたりの信頼関係が、お話ぶりからも存分にうかがえました。そんなふたりの初共演作・Netflixシリーズ『九条の大罪』は4月2日(木)より配信開始です。
Netflixシリーズ『九条の大罪』
2026年4月2日(木)配信スタート

原作:真鍋昌平『九条の大罪』(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
出演:柳楽優弥 松村北斗 池田エライザ 町田啓太 音尾琢真 ムロツヨシ
脚本:根本ノンジ
プロデューサー:那須田淳(TBSテレビ)
監督:土井裕泰(TBSテレビ) 山本剛義(TBSスパークル) 足立博
エグゼクティブ・プロデューサー:髙橋信一(Netflix) 杉山香織(TBSテレビ)
制作協力:TBSスパークル
製作著作:TBSテレビ
配信:Netflix
【柳楽優弥さん衣装】
ジャケット¥115,500、パンツ¥60,500(リトルビッグ)、ベルト¥13,200(ジエダ)、その他スタイリスト私物
【問い合わせ先】
リトルビッグ
ジエダ︎:03-6427-8464
撮影/尾崎玲央(PEACE MONKEY) スタイリスト/丸山晃(柳楽優弥さん分)、菅沼愛(TRON/松村北斗さん分) ヘア&メイク/勇見勝彦(THYMONInc./柳楽優弥さん分)、星野加奈子(松村北斗さん分) 取材・文/徳永留依子
俳優 柳楽優弥(やぎら・ゆうや)
1990年東京都出身。2004年、映画『誰も知らない』で、カンヌ国際映画祭・最優秀男優賞を史上最年少14歳で受賞。主な出演作にNetflix映画『浅草キッド』(21)、ドラマ『ライオンの隠れ家』(24)、Disney+オリジナルドラマ『ガンニバル』(22・25)などがある。また、映画『RYUJI 竜二』の公開(26年10月30日)が控えている。
俳優 松村北斗(まつむら・ほくと)
1995年静岡県出身。2020年に6人組ユニット・SixTONESのメンバーとしてCDデビュー。俳優としては、2012年にドラマ『私立バカレア学園』に初出演。主な出演作に、『カムカムエヴリバディ』『西園寺さんは家事をしない』『アンサンブル』などのドラマ作品、『夜明けのすべて』『ファーストキス』『秒速5センチメートル』などの映画作品がある。



