朝ドラ『風、薫る』1週間の見どころと感想をレポ
朝ドラ『風、薫る』、ご覧になられてますか? 明治時代の日本で看護の道を切り拓いた、一ノ瀬りんと大家直美の物語。見上愛さん、上坂樹里さんのダブル主演です。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
先週のレビューはこちら:ヒロインVS不機嫌おじさん!? 現場デビューはほろにがい結果に…|『風、薫る』第7週
第8週「夕映」を振り返ります

りんが乳がん患者・千佳子の担当につくことになりました。千佳子は侯爵婦人であり、病院も明らかに特別扱いをしているわけですが…見習いのりんに担当させるのには、「何かあったときに看護学校のせいにできる」という医師たちの魂胆。なぜか手術を渋る千佳子に医師たちは頭を抱えていました。お偉方の奥様を、治療もできずに退院させたら帝都医大の名折れということらしく。いやらしい目論見!
もちろんバーンズ先生がこれを見抜かないわけがありません。一度は先生がはっきり断るも、逆にうまくいけば手柄になるのでは?という直美の思惑もあり、りんも半ば強引に「やらせてください!」と志願。このときのバーンズ先生の「あちゃー」顔、フフっとします。
りんの背中を押したのは、直美の「りんなら患者の心に触れる看護ができるはず」という言葉。打算的なところもある直美だけれど、これは本心です。さりげなく呼び捨てにされたことも、なんだかうれしいりんなのでした。直美のデレ、いいぞー! このあと、影響を受けた看護学生同士で呼び捨てブームが巻き起こるのも、いちいち微笑ましいです(笑)。朝ドラ序盤でありがちな仲間たちとの青春の日々、好きなんだよな〜。
さて、すっかりナーバスになっている千佳子はりんにもなかなか心を開きません。拒絶されても献身的に寄り添い、彼女を理解しようと試行錯誤するりん。その思いが通じたのか、千佳子もだんだんと本音をこぼすようになります。家族には気を遣って言えないことも、他人であるナースになら、話せることもあるんですよね。千佳子の夫・和泉侯爵にも上手に「根回し」して、彼女に手術を決意させることができたのでした!
千佳子は手術で胸を失うことに抵抗がありました。「命には代えられないんだから、手術受けるべき」と言うのは簡単です。けれど、千佳子が心に秘めた「たまらなく悲しい」気持ち、その根っこにある大切な思い出…それらに触れて初めて、本当の意味で彼女を動かすことができたのだと思います。りん、がんばりました。
しかし今回りんがうまく立ち回れたのは、自身が「家老の娘」であるところも大きい。そうでなければ、和泉侯爵がいち見習いの話に耳を傾けてくれたとは思えないよね。千佳子も武家の生まれであり、親近感から心を開いてくれた部分もあると想像します。その点もまあ、直美の狙い通りなんだけれど…よくも悪くも「環境による差」を見せつけてくるのがやはり『風、薫る』なのです。華族である千佳子が個室で手厚く扱われている一方で、学用患者(研究用に無償で治療を受けている患者)の丸山なんかはけっこう雑な対応を受けてきたわけですしね。千佳子は無事退院できたらしばらくゆったりできる余裕がありそうですが、大部屋の杉山さんはなんとしても職場に戻らないと生きていけない。こうした課題も、さりげなく描かれています。
あの男が帰ってきたぞ〜!
そして直美はと言いますと。街で偶然知った「夕凪」という女郎の存在。ひょっとしたらその人が自分の母親かもしれない──そう予感した直美が路地裏で再会したのは…メロ男詐欺師・寛太!! はい、今週のテンション爆上がりポイントはここです! 再登場待ってました! 出会ってしまった因縁のふたり。そして普通にお茶するふたり(笑)。直美にとって寛太は自分を騙した憎い相手だけれど、なんだかんだ気が合うんじゃない…? 母疑惑・夕凪の情報を得るために好都合と判断した面もあるかもしれませんが、もっと仲良くなったっていいとドラ子は思うぞ! あと、ずいぶんイメチェンした直美に一瞬で気づく寛太、すごくない?
この時の直美&寛太の会話が、前述した「環境による差」と対になるような内容で、唸ります。直美が「自分を幸せにするために努力しているの」と主張する一方で、「なんともなってねぇのは、自分の努力不足ってことか?」と反論する寛太。環境の差を埋める手段として努力は尊いけれど、寛太の言う通り、残念ながら努力だけではどうにもできない壁はいくらでもあるのです。だからといって詐欺に手をだすのはだめですよ、と思いつつ、寛太もまっとうな道を歩けるならそうしたかったのでしょう。直美だってどこかでタイミングが違えば、あれよあれよと闇の仕事に手を出していたかもしれないよね。視聴者の我々にとっても、けっして人ごとではないと思っています。
ドラ子はバッドエンド脳なので、寛太がいつか悪の元締めとかに酷い目にあわされて、悲劇的な結末を迎えたらどうしよう…と気が気ではありません。どうか、今はまだ幸せに続く道の途中なんだって信じたい。もちろん直美も、りんも、看護学校のみんなも入院患者たちもね!
恋愛体質の妹は「朝ドラあるある」。次週は「看病婦とアメ」
朝ドラには強火の恋愛体質キャラがひとりは登場しがちですが、今作のそれはりんの妹・安が担うようです。瑞穂屋にやってきた槇村の兄に一目惚れ、あっという間に顔合わせのセッティングまで漕ぎ着けました。先週、安はりん&シマケンのことをじっと見つめていたので、あわや三角関係!?と思っていたのですが…あれは「あらあらシマケンさんたら♡」という視線だったのね。恋愛体質キャラは、他人の恋心にも敏感なのだ。仕事に奮闘する姉がいれば、恋に邁進する妹がいてもいいのです! 安の恋路、うまくいくといいですね。
そしてそして。今週は千佳子が手術を決意したのち、りんが勉強のためオペを見学させてもらうことになったのですが…千佳子には何やら思惑があるようで、それに気づいたりんが慌てて彼女のもとを訪ねたところで次週へ。彼女の思いとは一体!? 気になります〜!
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後に録画をじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。



