朝ドラ『風、薫る』1週間の見どころと感想をレポ
朝ドラ『風、薫る』、ご覧になられてますか? 明治時代の日本で看護の道を切り拓いた、一ノ瀬りんと大家直美の物語。見上愛さん、上坂樹里さんのダブル主演です。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、毎週グッときたポイントを自由きままに語りたいと思います!
先週のレビューはこちら:朝ドラ名物!? イケメンにだけ吹く風♡それは恋の予感|『風、薫る』第3週
第4週「私たちのソサイエティ」を振り返ります
りん&直美、いよいよ捨松様から「トレインドナース」の養成所に通わないかと誘いを受けます! 体調を崩した少年に真っ先に駆け寄り、手当てを試みたふたり。その行動力と他者を思う心に、適性を見出されたようです。無事トレインドナースになれたら月30円の給金も現実に!? 生活がかかっているりん&直美にとって、悪い話ではないはず。ですが当時、看病は「汚れ仕事」。世間の偏見の目もあるなか、ふたりの決断は…。

いや〜激動の第4週。先週は、お嬢様になりすまして鹿鳴館に潜り込んだ直美がチャリティ会場でりんと鉢合わせ。直美、正体バレのピンチ!というところで続きましたが、本当のピンチはそんなもんじゃありませんでしたね…。
まず、直美の恋のお相手か?と思われていた小日向中尉。その正体はなんとロマンス詐欺師・欣二(仮)でした。軍人モードのときとは打って変わって、浴衣を着流すメロい姿に「役者さんてすごい」と衝撃を受けます。いわんや直美のショックをや。ドラ子もすっかり騙されたよ〜。ちなみに番組公式SNSによると、実はこの「メロ男モード」、月曜の段階で登場していたそうなんです。見返したら本当にいたんですけども、佇まいから歩き方からまったく「小日向中尉」とは別人で、さらに衝撃的でした。これは気づかない!
嘘をついてでも玉の輿に乗って人生変えようとした直美、まさか自分がだまされる側だったなんてね…。だました欣二に怒りをぶつけるも、直美本人も同じことをしていたわけで、警察に突き出すことも叶わない。何より、私もこんなクズと同類だったなんて…と、深く深く落胆する直美。自身の浅はかさを突きつけられた瞬間って本当につらいものです(涙)。
けれども、直美と欣二(仮)が確かに通じ合っていた瞬間もあったと思う。親の不在、空虚な日々。窮屈な日本を飛び出したい気持ち。そして弱いものに向けるまなざし。だまされたことが悔しくてたまらない直美は認めたくなさそうでしたが。欣二が最後に、本当の名前「寛太」を告げて去っていったのも、何か意味があるように感じてしかたありません。寛太、また出てきてほしいなあ。『ベルばら』のロザリーとベルナールみたいな展開ないですか!?
そんなわけで、せめて詐欺師と同類ではいたくない、と雇い主の捨松様に嘘を打ち明け、鹿鳴館を後にする直美でした。自分を偽ったところで、どうにもできなかった。かといって「本当の私」にも、何もない。つらい心情を捨松様に打ち明ける直美の姿、とてもせつなかったです。
…いやしかし自分(と受付のおじさん)の過失でニセ軍人を入場させていたインシデントはちゃんと報告したんか?とちょっとだけ気になりましたが、大事にならなかったのでお咎めなしだった…ということにしておきましょう!! 鹿鳴館のセキュリティ、やっぱり不安しかないよね。
りんにはモラハラ夫の魔の手が…
一方、りんにも大ピンチ到来です。モラハラ夫・亀吉の魔の手がとうとう東京にまで及びます。誘拐された娘・環を救うためりんは単身、栃木へ。相手はあのモラハラ夫だぞ、誰か付き添ってあげなさいよ…とドラ子は心配しきりでしたが、一対一でぶつかり合うことが、りんにとっては重要だったのかもしれません。いよいよあの夫とは訣別しなければならない、そんな強い意志と覚悟を感じました。
けどなんやかんや、偶然通りかかった虎太郎が亀吉家まで同行してくれてひと安心。亀吉の用心棒?たちもあっさり投げ飛ばしてくれてね。虎太郎、やっぱりまだりんのことが…(涙)。健気すぎる! 幸せになってほしい!
そしてりんは亀吉と対峙。離縁するなら環は置いて行けと圧をかけてきますが、りんは負けません。この家にいたら、環は、女は、不幸になる。その一心で、モラハラ夫(相変わらず憎らしいんですよ本当に!!)に食らいつきます。意外にも、りんと環を解放したのは姑でした。「この家にいたら女は不幸になる」──りんのその言葉が響いたのでしょうか。「くれてやればいいべ、娘なんて」と言葉はぶっきらぼうでしたが…。
「おらも女だ、ばばあだ!」と亀吉を引っ叩く姑もまた、この家でずっと自分を抑圧してきたのかもしれない。そんな余白を感じる幕引きでした。台所には孫の大好物の小魚の佃煮が…。憎らしい奴らだったけれど、愛情は確かにあったんだよな。だからモラハラが許されるとはまったく思わないけれど、何かが違えば、姑も亀吉もこんな人間性にはなっていなかったのかなあ。
奥様になって人生の“あがり”を目指したものの、それが大きな間違いだったりん。娘には、同じ思いをしてほしくない。そしてりん本人も、これからは誰かに身を委ねるのではなく、自分の意思で人生を切り拓きたい──そんな思いから、ついにりんはナースになることを決意するのでした。養成所への入学の日、そこには直美の姿も! 看護学校編、いよいよスタートです。
次週は「集いし者たち」すごくワクワクするサブタイですね
直美はほろ苦く、りんは清々しく、それぞれのピンチを駆け抜けた今週。それと同時に、「なぜナースになるのか?」を問い続けた週でもありました。お金のため? 誰かの役に立つため? それとも何者かになるため? さらには、さりげなく「迷っている理由」を掘り下げる展開も、なかなか見応えがありました。やってみたいような、でもやるべきではないような、寄せては返すふたりの気持ち。その波間に、シマケンや吉江先生との何気ない会話があるのもいい。今作によく登場するキーワードであり、今週のサブタイトルにもある「ソサイエティ」=社会。それすなわち、自分以外の誰かとの関わり合い。だからこそ、対話のなかからヒロインが新しい発見を得る流れがしっくりきます。
さてさて、りんの決意は描かれましたが直美のほうはまだですね。髪もバッサリ切って、ファッションも初期に近い雰囲気になって、いったい何があったのでしょう? ついに始まる看護の道、そしてりん&直美がバディになるまでの日々!? 次週も楽しみにしています!
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後に録画をじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。



