喫緊とは?
喫緊は「きっきん」と読み、差し迫って重要なこと・様子を表す言葉です。急ぐという意味の言葉には「緊急」や「近々」などもありますが、意味合いが異なります。
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「喫緊」はもともと「吃緊」と書かれ、中国から由来した言葉とされています。ここでは、喫緊という言葉の由来や、「緊急」「近々」といった言葉との違いをみていきましょう。
きっ‐きん【喫緊/×吃緊】
[名・形動]差し迫って重要なこと。また、そのさま。緊要。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
分解して言葉の意味を調べる
喫緊は、中国語の「吃緊」が由来とされる言葉です。「吃」にはその後の言葉を強める働きがあることから、差し迫るという意味の「緊」を強調しています。
「吃」が常用漢字ではないことから、「喫」という漢字に変わりました。「喫」には食べたり飲んだりするという意味があります。食べることは人にとって大切なことであり、優先度・重要度が高いことから、「喫」という漢字が選ばれたとされています。
緊急との違い
喫緊と似た言葉に「緊急」がありますが、意味は異なります。「緊急」とは、重大な事態で、対策が急がれるという意味です。
「喫緊」は差し迫って急いでいる状態ですが、緊急は時間の余裕がなく、即座に対応しなければならない状況を表します。喫緊の方が、やや余裕がある状態といえるでしょう。
例文で、それぞれの違いを確認してみてください。
〈緊急〉
・緊急事態が発生したため、社員は業務を中止してフロアに集められた
〈喫緊〉
・喫緊に必要だということで、資料の作成を依頼された
近々・直近との違い
喫緊と同じく急ぐことを意味する言葉に「近々(ちかじか)」や「直近(ちょっきん)」があります。
「近々」はもうすぐ、近いうちにという意味で、喫緊のように差し迫った状況ではありません。
例文は、次のとおりです。
・近々、近所に新しいレストランが開店する予定だ
「直近」は、時間的・空間的にすぐ近くにあることを表す言葉です。「近々」と異なり、過去のことについても使えます。こちらも、喫緊ほどには急がれる状況ではありません。
例文をみてみましょう。
・直近10日間での人手は、過去最高を記録している
喫緊の正しい使い方と例文
喫緊は、「喫緊の課題・問題」「喫緊の対応」といった使い方をします。「喫緊の課題・問題」は、急いで解決すべき課題や問題という意味です。
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例文をみてみましょう。
・我が社の喫緊の課題は、人手不足の解消と離職防止だ
・喫緊の問題として、ミスが続く原因の解明が求められている
また、「喫緊の対応」とは、差し迫っている状況に対処するという意味です。
例文は、以下のとおりです。
・顧客からのクレームが多発しており、喫緊の対応が必要だ
・帰りの飛行機が遅延になり、喫緊の対応に迫られている
一方、「喫緊性」「喫緊の状態」という使い方は誤りになるため注意してください。「緊急性」という言葉はありますが、「喫緊性」という使い方はしません。
また、喫緊は差し迫った状態を意味し、言葉の中に状態が含まれています。「喫緊の状態」とすると意味の重複になるため、気をつけましょう。
喫緊の類義語
喫緊と似た言葉として「緊急」や「近々」などをご紹介しましたが、ほかにも切迫(せっぱく)、火急(かきゅう)などの類義語があります。
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切迫は期日が差し迫っているという意味で、火急は火がついたように急ぐ状態のことです。差し迫っているという意味で、喫緊と似た言葉です。
それぞれの意味を詳しくみていきましょう。
切迫
「切迫」とは、期日などが間近に迫ること、あるいは緊張した状態になることを指す言葉です。「返済期限が切迫する」「経済情勢が切迫する」「脈が切迫する」のように幅広い状況に使われます。
事態が差し迫っているという点で、喫緊と同じです。しかし、喫緊には差し迫っていることに加えて「重要なこと」という意味があるのに対し、「切迫」にはそのような意味合いはありません。
(例文)
・納期までの期日が切迫しており、職場は騒然としていた
・大切な試合を前に、選手は切迫した表情になっている
火急
「火急」とは、火のついたように差し迫った状態にあるという意味です「火がついた」という内容でもわかるように、喫緊よりも緊急度合いの高い言葉です。「火急の用事」といわれたら、最優先で対応しなければなりません。
(例文)
・我が社の今後に関わる事態なので、この件は火急に対応してもらいたい
・火急の要件が発生し、休日に出勤することになった
喫緊の対義語
喫緊の対義語には、余裕(よゆう)、不急(ふきゅう)などがあります。
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どちらも「ゆとりがある」「急がない」といった意味で、差し迫った事態を表す喫緊とは反対の言葉です。このほか、急がずのんびりしているという意味の「気楽(きらく)」や「気長(きなが)」も対義語としてあげられます。
ここでは、2つの対義語をご紹介します。
余裕
余裕とは、必要分以上に余りがあること、ゆったりと落ち着いていることを表す言葉です。
使う対象の幅は広く、容器や場所などの物理的なものだけでなく、時間や気持ちなどにも使われます。例えば、「時間の余裕がある」「周りを見る心の余裕もない」といった使い方です。
(例文)
・家を早く出てきたので、予定の時間までたっぷりと余裕がある
・まだ席には余裕があるため、あとでゆっくりと選ぶことにするよ
不急
不急とは、急いでする必要がないという意味です。差し迫っているという意味の喫緊とは、正反対の言葉です。「不急の用件」「不要不急」という使い方をします。「不要不急」とは、必要でもなく、急いでもいないという意味です。
(例文)
・不急の用事なので、時間のあるときにお願いします
・不要不急の外出は、しばらくお控えください
喫緊の意味を正しく覚えよう
喫緊とは、差し迫った事態という意味です。「緊急」よりも緊急度は低く、「近々」や「直近」よりは急がれる状況を指します。ほかに「火急」や「切迫」などの類義語もあるため、一緒に覚えておくと状況に応じた使い分けができます。
「余裕」や「不急」などの対義語も覚えておくと、語彙を増やして表現に幅ができるでしょう。
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