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LIFESTYLE

2025.02.17

【川西賢志郎】お笑いコンビ解散後の初エッセイ。人気漫才師として生きてきた男が赤裸々に語る、芸・家族・これから|インタビュー前編

M-1グランプリで知名度を上げ、『情熱大陸』にも取り上げられるなど、トップレベルの人気を博した漫才コンビ“和牛”の解散から約1年。ひとりの芸人としての“川西賢志郎”が、いよいよ本格的に動き出します。2月15日(土)には、自伝的エッセイ『はじまりと おわりと はじまりと ―まだ見ぬままになった弟子へ―』を発売。芸人として新たなステージを歩み出す川西さんの、今の心境をうかがいました。

これからも芸人としてやっていくための“名刺”をつくりたかった

爆発的な人気を誇る漫才コンビ“和牛”の解散──。2024年3月、それはお笑い界にとって衝撃の出来事でした。以来、ツッコミ担当だった川西賢志郎さんの姿は、テレビなどでときおり見られるものの、芸人として今後どんな活動をするのか(それともしないのか?)は、ほとんど明かされないままに。

そんな川西さんが、著書『はじまりと おわりと はじまりと ―まだ見ぬままになった弟子へ―』を発表。そこには、これまでの漫才師としてのあり方や、テレビや舞台に対する思い、家族の話、そしてこれからの活動について、想像以上に赤裸々に記されていました。

──この度は、本の出版おめでとうございます。早速拝読したんですが、意外と思うことがいくつもありました。

あぁ、ほんとですか。

──ひとつは「こんなに赤裸々にすべてを語るんだ」ということです。勝手な思い込みですが、川西さんは、多くを語らず、ネタですべてを表現したい芸人さんだと思っていたので。

はいはい。

──まさか、こんなに自分を出すかと。エッセイ本を出されたこと自体も、意外でした。

確かにおっしゃるように、今までは別に何かを語らずとも、漫才師として体現すればいいだけの話というかね。漫才師としてネタをやったりつくったり、ほかの活動や行動で示していけばいいだけだったんです。だから語る必要も別になかったけど、今、漫才師という肩書きを下ろすってなったときに、「これまでやってきたこと全部を、この本に残したうえで次に進みたい」っていう意味合いはすごくあった。いってしまえば、漫才師のときのネタと同じように、これも僕という個人を表すひとつのネタみたいな1冊だと思います。

──冒頭に「テレビの人気者になりたかった」とあったのも、すごく意外でした。

あぁ、そうなんですね。でも、そこに引っかかられた方って取材を受ける中でほかにもいて。僕にとってはそっちのほうが意外というか。僕は芸人になりたいと思うやつなんか、たとえばモテたいとか、ラクして稼ぎたいとか、 そういう不純な動機が大半じゃないかと考えているので。

──シンプルですよね。

でも結局、それは不純ではなく、実は純粋な動機じゃないかとも思う。わざわざ人前に出て、スベるかもしれんし、恥かくかもしれへんけど、でもお笑いによって 得るものを得たいんだっていう欲求じゃないですか。そういう意味では純粋なことだとも考えられるし、そんなやつのほうが多いと僕は思ってるんですけどね。

──ただ川西さんは、特にストイックな漫才師として知られていたので。

まあ、確かにそう思われることが多いですよね。「漫才師としてやっていく」って意志が固まってから、ようやく世に出れたようなもんだから、皆さんの目に触れたときには、すでにある程度ベースは仕上がってたんかもしれないですね。

──いろんな“意外”に富んだ本だなというのが、率直な感想でした。

なるほどなるほど。はい。

──著書の中にも、世間が抱いている川西さんのイメージと、ご本人が思っていることに“ずれ”が生じているんじゃないかといったことも書かれていますが……。

メディアで見せてきたイメージと、本当の自分の素顔に”ずれが生じる”ことがある、といったことに触れた箇所もありますね。

──こういうことをお話しすると、こちら側に対して”ずれが生じてるな”と思われるかと勘繰ってみたりもします。

「ほら、やっぱりずれてるやん」とかは思わないですよ(笑)。 何もわかってないやんとか思わないです。それは当然起こりうることだと理解してますし、あくまでそれもわかったうえで、”ずれが生じることがある”といったことを書いてるし。なんだろう、メディアに出る仕事、つまりは芸能人とかタレントをやっている場合を抜きにしても、たとえば家族同士でもイメージと本質のずれってあるじゃないですか。「うちのおかんやったら、このふたつだとこっちを喜ぶと思ったけど案外そっちなんや」とか。結局、自分以外の人間のことなんてわからないことが多い。どこまでいっても 解像度が100%になることはなくって、それを限りなく近い99.何%にもっていけたら素晴らしいことだけど、ありえないと思ってるから。ましてやそれがメディアに出ている立場となると、視聴者やお客さんが自分にもつイメージと本質にずれが起こることは覚悟してます。

──そういったことを整える意味でも、エッセイを書かれたのでしょうか。

それもあります。今後の自分、漫才師じゃなくなったひとりの芸人として、果たしてどれぐらいの人が自分のことを認識してくれてるのかっていう部分は、すごく疑わなければいけない部分だと思っていて。漫才コンビって、どこまでいっても”ふたり合わせてのイメージ”で認識されることになると思うんです。「こんな漫才やってた人ね」とか「こういう雰囲気のツッコミの人でしょう」みたいに、すべて漫才から派生したイメージでの覚えられ方になるというか。だから、コンビ名はいえてもいざ個人名を聞かれたら答えられない人が多いし、どんな人間性の持ち主ですか?なんて、答えられる人は、ほとんどいないと思いますし。

──なるほど。

そんな状態のまま、もし僕がライブかなんかをやりますってなっても、どんな人間かわからないから、どんな話をライブでするのかもわからない。そうなると、誰も足の運びようがないじゃないですか。それは困るなと思って。だから今一度、自分の人間性を広く知ってもらう必要があると考えて、これからも芸人としてやっていくための名刺をつくりたかったっていうのも本音ですね。

解散を決めて、絶対にやろうと思っていたことがようやく形に

──さっき編集担当の方にお聞きしたのですが、長い期間をかけて書かれたとか。

本当に、最終的に「全部書き上げました」ってなったのが、11月の頭ぐらいかな。

──ついこの間ですね(※取材は1月20日)。

そう、ついこの間なのに、僕が無理ゆうてこのタイミングで出版していただいたんです。本当は、もうちょっとゆとりをもってやりたいといわれたけど、僕がそこは……そうですね、頑固だったんでしょうね。時期を早められるようお願いしますということで、本当によくやってくださって、なんとか実現しました。

──誰かに依頼されたわけではなく、ご自身が書きたいと思ったそうですね。

出版社も決まってないまま書き始めて……うん、たぶん7割ぐらい書いたんかな。

──そうなんですか!?

でもご縁があって。以前連載をしていた雑誌『ダ・ヴィンチ』(KADOKAWA)の元編集長の方と、僕はプライベートでも飲みに行ったりする仲なんですけど、その方はもう辞めていらっしゃるんです。ただ、ご相談はしてたんですよ。「本を書こうと思ってて、またできあがったら見てください」と。とりあえず、純粋にその人に当ててみたかったんです。連載をやっているときから、興味深いフィードバックをくれる方だったので、本の内容がどういうふうに映るか気になったんです。なので、いったん7割ぐらいまで書き上げたものをぶつけてみて。そのときはKADOKAWAで出版できるかどうかもわからなかったけど、 それを後任の方にも見せてつないでくださって、うちで出しましょうと手を挙げてもらって形にできたというところですね。

──書き終わって、どんな気持ちですか?

今はもう、すっきりしてますね。ようやく書き終えられたと。いやもう、連載をやってたから、文章を書くのが大変なことは知ってたけど、思ってたより大変で。 書くのを決めたのが、解散が決まってしばらく経ったぐらいの2023年の秋だったんです。そっから書きたいことをそろえてって感じなので、けっこう時間がかかりましたね。

──約1年ですね。書きながら、漫才師時代の自分を整理したのでしょうか。

書きながら整理がついたっていうところはなくて、 書く前に、全部整理はできてましたね。まず最初に、書きたいことをばーっとメモったりして。材料が集まってる状態で、それをどんな伝え方で、どんな順序で並べていくかっていうことをしたんです。でも具体的に書き始めてからは、「整理はついてたけど、ちゃんと言葉にしてなかったな」というところもあって。言語化の作業は、すごくできたなと思いますね。そういう意味での見つめ直しはできたと思います。

──この本をきっかけに、再び本格的に活動されるようになると思うのですが、さらに具体的な目標はありますか?

あ、ライブをやるんですよ。3月に、大阪と東京で。……なんか、告知みたいになってすみません。

──(笑)

でもそれは、もともと決めてて。解散するってなってから、本を書こう。で、本を書いたらひとりのライブをしようって、このふたつは絶対に決めてたんですよ。だから今、ようやく1年以上越しに、自分の中で形にできてるなと。ライブの形式でいうと、ひとりで舞台に出てしゃべるっていうことをするつもりだったので、やること自体は、自分の中では人数が減っただけというか。

ただ内容については、あくまでも漫才っていうのは大衆の演芸やと思ってるんで、寄席に出るときは、それこそ小っちゃいお子さんからお年寄りの方まで幅広い層が来られてて、そういう人たちが楽しめる味を提供しなきゃいけない。ましてや「なんばグランド花月」で、責任を背負わせてもらってるような出番順でネタをやるとなると、しっかりそこを意識しなきゃいけないと思ってて。でも今後、僕がひとりで舞台をやる場合は、寄席の大衆的な演芸という枠の中でやるわけでもないから、もっともっと個人を前に打ち出したような形式のしゃべりであったり、今までとは違う笑いができるようになれたらいいなっていうのは、具体的に目指すところなのかな。

──今、その準備もされているんですね。

自分やったら、どんなことをしゃべりたいかなっていうところから始めて、どんなふうな笑いにもっていくかっていうのを、本と同時進行で、ずっと考えていました。ネタですね。書き溜めていたのがあるんで、それを3月に披露します。

──それは面白そうですね!

個人的にもどうなるかわからんけど、楽しみですね。うん。

所作で感情を表現できるコントやドラマが楽しい

──今は、コント番組にも出られていますが。

コントは、僕は学ぶものがあるかなと思っているし、やっていて楽しいですよ。舞台の芸って、おっきい声で明確に言葉にしたほうが笑いになりやすいんですよね。「なんでやねん!」とか「どないやねん!」とか。1000人くらいのキャパになると、感情をわかりやすく前に伝えなきゃ、いちばん後ろのお客さんまで届きにくい。だけど、僕はもともと漫才において、ここは1回なんもいわんと首だけちょっと向けてみようかとか、所作で感情を表現することに、こだわりをもってたほうなんで。

──そんな印象です。

テレビコントもドラマもそうですけど、感情表現っていう部分でいうと、それまでやってきた、大きくいうと“芸”みたいなものを吐き出せる場所でもありますよね。ドラマは「笑いのために」っていう軸こそないけれど、通ずるものはあると思っていて。だから引き続き、コントやドラマはやっていきたいです。

──確かに俳優さんは、目だけで表情を浮かべたりとか。

やっぱり上手ですよね。なんなら僕なんかは、舞台でやってた芸が、テレビ向きなほうやねっていわれることはあったけど、でもあくまで舞台を中心に活動してきたから、わかってないことも多い。けど、役者さんは上手ですよ。カメラでアップにされることを見越して演技するっていう部分は、もうちょっと僕もできるようになりたいなと思いますね。

──ほかに、お笑い以外で挑戦してみたいことはありますか?

お笑い以外……どうでしょうね。わかりやすくお笑い以外ってなると、さっき話したドラマであったりとか。執筆もそうですね。「書く」っていう作業は引き続き、それを発表するのかしないのかはわからないにしても、続けていこうとは思ってますね。

──書くことは好きですか?

好きかどうかなんか考えたことなかったですけど、本にしようって思った時点で、好きなんやろうなと思いましたね。で、結局書いていくことで、どうやったら伝わるかっていうことをすごい考えながら書くし、「ここいらんくだりやな」とか「これいいたいけど、バランス的にはここもなしにしようか」といった削ぎ落とす作業っていうのも、舞台のネタをつくってるときも必要な作業やったりするんです。 笑いまで時間がかかりすぎると、露骨に弱くなったりするし、話がいったん逸れるだけで伝わりづらくなったり。そういう作業って今までもやってきてたけど、結局どちらにもつながってくるものが大いにあるなと感じたので、文章は書いていったほうが、自分のためやなとは思ってますね。

前編はここまで!インタビュー後編では、川西さんが思う「人生の大きな転換期に必要なもの」をお送りします。

PROFILE
川西賢志郎(かわにし・けんしろう)
1984年1月29日生まれ、大阪府東大阪市出身。2006年からお笑いコンビ“和牛”のツッコミとして活動し、「M-1グランプリ」にて16~18年 の3年連続で準優勝を獲得する。24年3月にコンビを解散、その後も芸人活動を続け、ライブやテレビ番組、ドラマなどに出演中。 3月には書籍販売に伴う特別公演「ワンマントークショー ─はじまりと おわりと はじまりと─」を、大阪・東京で開催する。

「ワンマントークショー ─はじまりと おわりと はじまりと─」
3/7(金) サンケイホールブリーゼ(大阪)
3/20(木・祝) めぐろパーシモンホール 大ホール(東京)

INFORMATION
『はじまりと おわりと はじまりと ―まだ見ぬままになった弟子へ―』
川西賢志郎 KADOKAWA(発売中)

撮影/松木康平 スタイリスト/神山トモヒロ ヘア&メイク/山内マサヒロ 取材・文/湯口かおり

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