インタビュー前編
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中也のように、目上の人にも食らいつく覚悟で
── 広瀬すずさん、岡田将生さんという、時代のトップを走る方々との共演は、いかがでしたか。
もう本当に「食らいついていくぞ」っていう感じでしたね。楽しすぎました、食らいついていくことが。 泰子役のすずちゃんに関しては、フィジカルでぶつかり合うところがすごく多かったんです。それが中也と泰子なりのコミュニケーションの取り方や愛し方なんだけど、最初はどのぐらいの気持ちでいっていいんだろうと不安がありました。でもすずちゃんは開口一番、「私なんでも大丈夫だから!」っていってくれて。実際にぶつかったときにも、下手したら自分が負けるんじゃないかくらいのパワーをもっていて。たとえば首を絞めるシーンも殺す気できてくれて、こっちが気をつかっていたのがバカらしく思えるぐらい、全部同じ温度で向き合ってくれたんです。泰子に入り込む瞬発力みたいなものも、さすが「広瀬すず」だなって思いましたね。
── 小林秀雄役の岡田将生さんはいかがでしたか?
普段の将生さんはすごく柔らかい人なので、コミュニケーションが取りやすいんですけど、いざ小林を纏うと、妙な不気味さみたいなものがあって。中也を演じているこっちとしては、小林の冷静さにモヤモヤさせられ、腹立たしさを感じましたね。「岡田将生」の枠を超えた人格の振り幅にびっくりしましたし、小林のオーラみたいなのを出されてたから……俳優さんって怖いなって(笑)。
── 笑。
演じていて本当に楽しかったです。全部受け止めてくれるふたりだったので、心からぶつかっていけました。
感情をジェットコースターのように揺さぶられたシーン
── では、演じていていちばん楽しかったシーンを教えてください。
フィジカルでぶつかり合うっていう意味でいったら、ダンスホールのシーンは、ジェットコースターみたいなワンシーンですごかったですね。 ひとりの女性をめぐってふたりの男が嫉妬し合いながら、わぁって踊り出して、そのうち楽しくなっていたら、急に中也と泰子のつかみ合いのケンカが起こって、 それを見て嫉妬する小林がいて……みたいな。それ面白すぎるなって。ワンシーンに心のアップダウンを起こすのって、今の時代だったら強引にやったとしても不自然かもしれない。でも大正という時代、そしてこの3人だったからこそ、可能だったシーンなのかなって思うんです。あのときの現場の温度を、すごく覚えていますね。中也がうわぁって熱を上げているのに、向こうで冷静に足を組んでいる小林がいて、全員の感情がぐるぐると変わって、面白かったですね。あとバンドの生演奏があったのも、すごかったです。大正時代を感じて、ウキウキしていましたね。
もし木戸さんが、Oggi世代の後輩だったら……
── 木戸さんの「食らいつき」が、よくわかるエピソードですね。ところでOggiは、働く大人の女性に向けたメディアなんですが、読者には、木戸さんくらいの世代の後輩がいる方も。
はい。
── 年下の男性部下と、どういうふうにコミュニケーションを取ればいいか、悩んでいる人も多くて。今回の作品で、木戸さんも先輩方に食らいついていったわけですが、もし木戸さんがOggi読者の女性と働くとしたら、どうコミュニケーションを取ってほしいと思いますか?
僕はそれこそ、少し上の世代の方と話すの、すっごい好きなんですよ。男性女性関係なく、距離が縮まるのが早くて。じゃあなんでだろう?と考えたら、同じ目線まで下がってくれるというのか、「上から目線でこられないから緊張しない」というのがあるかもしれません。
── 年上や目上の方とコミュニケーションを取ることは、上手なほうですか?
上手かどうかわからないけど、ごはんに行ったり、遊んだりするときは、そういう世代の方が多いですね。自分がその場でいちばん年下なことが多くて。
── そういったところでは、学ぶことが多い?
それもありますし、いくつになってもかわいげのある人って、ずっとそうだなと思いますね。変な話、こちらからイジりたくなるというか。 でもそれは、そういった雰囲気を向こうから出してくださるから、こっちも入り込みやすいわけで。少年少女じゃないけど、そういった心をもち続けている人が多い印象です。
── じゃあ、あまり苦労されたことはないですね。
いや、最初はやっぱり緊張します。けど、勝手に「この人なら受け止めてくれるかな」と、年下から年上の方にいくほうが、オープンでいいなと思って。年上からだと、 こちらをどういうイメージで見てるだろうというのを、気にされているかもしれませんし。だから僕のほうから、年上だったり目上の方に、思いきって寄っていくほうが好きです。岡田将生さんとも、この作品以降、仲よくさせてもらっていて。一緒にゴルフをしたりとか、ごはんを食べに行ったりとか、 大好きなお兄ちゃんみたいな感じで、僕からすりすり寄っていってる感じです。
──(笑)。Oggi読者にも、ゴルフをされる人は多いですよ。
はじめて4年くらいになるんですが、夢中です!それでいうと、さっきの話と通ずるんですけど、ゴルフというツールを通したら、世代関係なく話せるんですよね。僕が一緒に行く人たちは、ゴルフ場では仕事の話はしないです。ゴルフの話をするから。たとえ初対面でもすぐ仲よくなれるから、やっていてよかったなと思いますね。
── 社会人として、役に立っていますか?
(強い口調で)めちゃくちゃ。
── めちゃくちゃ(笑)。練習もよくするんですか?
ひとりで出かけるとなったら、打ちっぱなしです。
── すっかりハマっているんですね!では最後に、ベストスコアを教えてください。
今年(取材は2024年11月)、87が出て……。今年中に100を切って、80台を出すのを目標にしていたんですけど、やっと叶いました。
── それはおめでとうございます!インタビュー、以上になります。
えっ、いいんですか?ゴルフの話で終わっちゃった(笑)。
インタビュー前編
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PROFILE
木戸大聖(きど・たいせい)
1996年12月10日生まれ、福岡県出身。2017年俳優デビュー。2022年、Netflix オリジナルシリーズ『First Love 初恋』で佐藤健扮する主人公の青年期を好演し、一躍注目を集める。主な出演作に、ドラマ『ドラフトキング』(23年)、『僕たちの校内放送』(23年)、『ゆりあ先生の赤い糸』(23年)、Netflixオリジナルシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(24年)、『万博の太陽』(24年)、『9ボーダー』(24年)、『海のはじまり』(24年)、劇場アニメ『きみの色』(24年)など。現在、NHK夜ドラ『バニラな毎日』に出演中。
INFORMATION
映画『ゆきてかへらぬ』
木戸さんが演じる天才詩人・中原中也と、その恋人・長谷川泰子、中也の才能を見出す文芸評論家・小林秀雄の独特な三角関係を描く。大正から昭和初期を激しく生きたアーティスト3人の、史実に基づいて生まれた脚本が、約40年のときを経て奇跡の映画化。
出演:広瀬すず 木戸大聖 岡田将生
監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造
2月21日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
©︎2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
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コート¥396,000・Tシャツ¥44,000・パンツ¥143,000・靴¥170,500(ジョルジオ アルマーニ ジャパン<エンポリオ アルマーニ>)※すべて税込価格。
<問い合わせ先>
ジョルジオ アルマーニ ジャパン 03-6274-7070
撮影/高木亜麗 スタイリスト/佐々木悠介 ヘアメイク/石邑麻由 構成/湯口かおり