仕事は、ただの「タスク」をこなすだけでなく、自分自身を成長させる糧でもあります。新しい挑戦やスキルを身につけるプロセスは、時に苦しく、時に刺激的です。その成長を支えるのが「OJT(On-the-Job Training)」と「OFF-JT(Off-the-Job Training)」。
目の前の業務から学ぶ実務的な経験と、職場を離れた環境で得る知識。この2つのトレーニングは、あなたのキャリアをどこまで広げることができるのでしょうか?
OJTとOFF-JTの基本とは? 違いを理解しよう
OJTとOFF-JTは、企業が従業員に提供する2つの異なるトレーニング手法です。OJTは、職場で実務を通じてスキルを身につける方法であり、上司や職務経験豊富な先輩がトレーナーとなって指導します。
一方、OFF-JTは職場を離れた研修やセミナーなどで、座学中心に専門知識を集中して学ぶ方法です。多様なビジネスシーンに対応するため、これらを組み合わせて活用することが効果的とされ、多くの企業で取り入れられています。
OJTとは? 職場でのトレーニングの特徴
OJTは、実際の業務を通して学ぶトレーニングです。従業員が現場で業務に携わる中で、上司や先輩から直接フィードバックを受けながらスキルを磨いていきます。
この手法の大きな特徴は、即戦力となるスキルを短期間で身に付けられる点です。特に、従業員が日々の業務で直面する課題を通じて学ぶため、実践的なスキルが磨かれます。
OFF-JTとは? 職場を離れた研修の特徴
OFF-JTは職場を離れた環境で行われる研修やセミナーを通じて、体系的かつ専門的な知識を学ぶ手法です。OFF-JTは、業務に関連する高度な技術や専門知識を深く学ぶ場として機能します。また、職場外での学びを通じて、従業員は視野を広げ、業務に対して新たな視点を得ることができます。
OJTとOFF-JTの違い
OJTとOFF-JTの違いは、主に実施場所と学び方にあります。OJTは現場で実務を通じて学ぶため、実践的なスキルを短期間で身につけることができますが、指導者の能力に依存する点が課題です。
一方、OFF-JTは職場外で体系的に学ぶことで、理論的な知識を深く習得できるというメリットがあります。これらをうまく組み合わせることで、従業員のスキルアップを効率的に行えるでしょう。
OJTとOFF-JT、それぞれのメリットとデメリット
企業が従業員に求めるスキル習得を加速させるためには、OJTとOFF-JTのメリットとデメリットを理解し、適切に使い分けることが重要になります。
OJTのメリット|実践的なスキルが身につく
OJTの最大のメリットは、業務を通じてリアルタイムでフィードバックを受けながらスキルを磨ける点です。業務に直結するスキルを早い段階で身につけることができるため、企業にとっては短期間での即戦力化が期待できます。
また、実務を通じて学ぶことで、経験を積みながら試行錯誤する力が養われます。
OJTのデメリット|指導の質にばらつきがある
OJTの課題は、指導者の能力や指導方法に依存しやすく、教育の質にばらつきが生じやすい点です。また、業務が忙しい時期にはトレーニングに割ける時間が減少し、学習効果が十分に発揮されない場合があります。
これに対処するためには、企業側が指導者をしっかり育成し、計画的なトレーニングを実施することが重要です。
OFF-JTのメリット|集中して専門知識を学べる
OFF-JTは、職場を離れた環境で集中して学ぶことができるため、従業員は深い専門知識を身につけることができます。特に、新しい技術や知識を学ぶ際には、座学や外部講師による研修が非常に効果的です。
さらに、業務の枠を超えた視点で学べるため、従業員がより広い視野を持ち、新しい発想を得る機会にもなります。
OFF-JTのデメリット|実践的な経験を積む機会が限られる
一方で、OFF-JTは実務から離れて学ぶため、学んだ知識をすぐに業務に応用するのが難しい場合があります。特に、理論を学んだだけでは実際の業務に直結しないこともあり、実務でのフォローが必要です。企業は、OFF-JTで学んだ知識を現場で活かすための仕組みを整えることが求められます。
OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせる方法
OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせることで、従業員の成長を加速させることができます。OJTで実践的なスキルを学びながら、OFF-JTで理論的な基盤を深めるというアプローチは、企業が従業員の即戦力化を図る上で非常に有効です。
次世代リーダー育成に最適な方法とは?
次世代リーダーを育成するためには、OJTとOFF-JTの組み合わせが非常に効果的とされています。OJTで実践的なリーダーシップスキルを養い、OFF-JTで理論的なマネジメント知識を学ぶことで、バランスの取れたリーダー育成が可能となります。
OJTとOFF-JTを組み合わせた事例紹介
ある金融機関では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目的に、OJTとOFF-JTを併用した育成プログラムを実施しました。
まず、OJTで新しいシステムを使いながら日常業務を遂行し、従業員がシステム運用に慣れるよう支援。その後、OFF-JTでデータ解析やAI活用の専門知識を深く学ぶカリキュラムを設けました。この組み合わせにより、実務と最新技術の知識を融合させ、従業員が新しいサービス開発に貢献できるようになったといいます。
トレーニング効果を高めるための制度整備の重要性
トレーニングの効果を最大化するためには、単に実施するだけでなく、その進捗を定期的にモニタリングし、フィードバックを適切に提供する制度が必要になります。
例えば、個々のスキル進捗に応じた段階的な評価制度や、トレーニング後の実務への応用度合いを測定するメトリクスの整備が求められるでしょう。特にAIやITが進化する中で、トレーニングの内容を柔軟に更新し、従業員の技術や知識が時代の変化に即応できるような体制を構築することが重要です。
最後に
OJTとOFF-JTは、それぞれの特性を理解し、状況に応じて効果的に組み合わせることが重要です。AIやIT技術が急速に進化する中、企業は従業員に対して、短期間でキャッチアップし、即戦力として活躍できるようなトレーニングを提供する必要があります。適切なトレーニング方法を見極め、今後のビジネス環境に対応できる人材を育成しましょう。
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