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2024.09.04

堤 真一&瀬戸康史スペシャル対談「クローンがこの世に存在するとしたら…」

現代イギリス演劇を代表する劇作家キャリル・チャーチル氏の名作『A Number―数』が、ジョナサン・マンビィ氏の演出で上演されます。二人芝居である本作では、秘密を抱え葛藤する父ソルターを堤真一さんが、そしてクローンを含む三人の息子たちを瀬戸康史さんが演じます。

堤真一と瀬戸康史が語る、二人芝居の醍醐味

本作の出演オファーがきた時はどのような心境でしたか?

堤さん(以下敬称略):ジョナサン(・マンビィ)とご一緒できるのであれば、どんな作品でもお引き受けしますという気持ちでした。でも、まさか二人芝居作品でオファーが来るとは思ってなかったので正直驚きました。というのも、ジョナサンはどちらかというと、役者がたくさん出演する舞台の演出が得意な方だと思っていたので、まさか二人芝居になるとは、と。うれしい驚きではありましたが、今はまだどんな舞台になるのか全く想像がつかないですね。

瀬戸さん(以下敬称略):お二方ともいつかご一緒したいと思っていたので、オファーをいただいた時はすごくうれしかったです。ジョナサンさんのワークショップは以前受けたことがあったんですが、堤さんとは本作ではじめてお会いしました。

お会いする前はお互いどのような印象を抱いていましたか?

堤: CMではよく拝見していました(笑)。以前街でお見かけしたときは、プライベートということもあり声はかけなかったんですが“すごくキラキラした人だな”と思ったことがあります。

瀬戸:そうだったんですか(笑)。僕は堤さんが出演していたドラマ「やまとなでしこ」が大好きなんです。

堤:お~懐かしい。24年前のドラマだね。

瀬戸:子供の頃に見ていました! 堤さんは、長い間第一線で活躍されていますが、共演させていただく機会がなかなかなくて…。今回このような形でしっかりお芝居できることにとても興奮しています。

堤さんは秘密を抱え葛藤する父・ソルター役を、瀬戸さんはクローンを含む3人の息子役を演じますが、それぞれの役をどのように捉えていますか。

堤:脚本を読んでみて、ソルターが話す言葉は真実なのか、それとも嘘なのか、正直よくわからなかったんです。でも、稽古をして、ジョナサンと瀬戸さんと3人で話をしていくことで、もっとソルターへの理解や本作への解釈を深めていけるのかなと思っています。ただ、ひとつ言えるのは、僕はクローンを作ろうとは思わないし、やってはいけないことではないか、と思っているんです。なぜなら、肉体は同じでも魂は違うと思っているからなんです。

瀬戸:僕は「あなたのクローンがいます」と言われても、「へえ…」くらいにしか思わないですね。自分のクローンといつか合体するわけでもありませんし、たまたま遺伝子情報が同じというだけで、全く別の人生を歩んできた他人ですから、特に気にしません。今回、3役を演じますが、それぞれ別の人物として捉えています。

ちなみに、堤さんはジョナサン氏のワークショップを受けたことはありますか?

堤:ジョナサンと最初にご一緒した2016年の舞台『るつぼ』の時に、松雪泰子さんと黒木華ちゃんと3人で彼のワークショップを受けました。『るつぼ』で僕が演じたのは少女に翻弄される男の役で、妻役が松雪、少女役が華ちゃん、僕が演じた男が少女と浮気するところから始まるという物語だったんです。ワークショップでは、松雪がパン作りをしている横で手伝いながら、こっそりと華ちゃんと目を合わせるといったことが僕に与えられたテーマで、松雪と華ちゃんにも別のテーマが与えられていました。

瀬戸:テーマはお互いに知らずに演じていたのですか?

堤:そう。自分以外のテーマは知らされていないから、緊迫感がものすごかったのを覚えていますね。物語のテーマに重点を置く演出家もいるけれど、ジョナサンは“物語の始まり”、つまり男女の関係性ができていく過程のワクワクドキドキ感を僕らが味わうところから始めてくれました。本当のことを言うと、ワークショップは好きじゃないんですが、ジョナサンのワークショップはめちゃくちゃ楽しかったなぁ(笑)。

瀬戸:あははは! 堤さんのお話を聞いているだけですでにめちゃくちゃワクワクしています。先日ジョナサンさんとお話しした時に、『本作は日本人に分かりやすくはしたいけど、物語自体を日本風に変えることはしない』とおっしゃっていたんです。イギリス演劇を代表する劇作家の作品なので、普段あまり馴染みのないイギリスの階級制度を知ることも重要だと思っていて、ジョナサンさんとならそういったことにもしっかりと向き合っていけそうな気がしています。

堤:そういえば、『るつぼ』の時は大学の先生を呼んで作品の背景を知るための勉強会をやっていたから、今回も遺伝子学の講義をやってくれるんじゃないかな。

瀬戸:遺伝子学の講義。ぜひ受けてみたいです!

お二人はこれまでにも二人芝居を経験されていますが、二人芝居の面白さや難しさをどんなところに感じていますか。

堤:演劇はそもそも毎回同じではないところが面白さだと思うのですが、特に二人芝居の場合は“そういうことか!”と突然何かに気づいたり、腑に落ちたりする瞬間があるんです。だけどその瞬間が訪れるのは割と千秋楽に近いタイミングで、「この舞台もうすぐ終わるのに…なんで今頃?」みたいなことが多い。どうしてもっと早く気づけなかったんだろうと毎回思いますね。あと、二人芝居は“自分と相手役の二人だけの楽しみ”みたいな感覚を覚えるときがあって、それはお客さんには伝わらないと思うんですけど、今回も瀬戸くんとそういった感覚を共有できたらいいなと思っています。

瀬戸:僕は昨年「笑の大学」(演出:三谷幸喜/共演:内野聖陽)で初めて二人芝居をやったんですけど、舞台に立った瞬間に、幕が開く前の大きな不安を吹き飛ばすぐらいすごくワクワクしたことを強烈に覚えています。「笑の大学」はコメディ作品だったこともあり、お客さんが笑ったり手を叩いたり、ダイレクトに反応が返ってくるのも面白かったですね。今回はお客さんからどんなリアクションが返ってくるのか、そしてどんなことを共有できるのかすごく楽しみです。

人間のクローンを作ることが可能となった近未来が舞台の本作。実際に台本を読んでみての感想は?

堤:技術がどんどん進化したとしても、果たして“人間は神の領域に踏み入っていいのか?”と、そんな疑問を抱きました。どれだけ素晴らしいものを開発したとしても、テクノロジーを使うのは人間で、使う人の良心が大事になってきますよね。最近だとAIの問題がありますよね。そういったことを考えさせられる作品だと思うので、観てくださる方がどんな感想を抱くのかすごく楽しみです。

瀬戸:脚本の前に簡単なプロットを読んだとき、父と息子の関係性やクローンというワードを見て重くて悲しいテーマの話なのかなと思ったんです。しかし、脚本を読んでみたら、僕が演じる役の一人であるマイケルの生き方が割とポジティブだったので、そこに希望を見出すことができました。僕もマイケルのような生き方をしたいなと思っているので、そこが大きな共感ポイントでしたね。

もしもご自身のクローンがこの世に存在するとしたらどんな気持ちになると思いますか?

瀬戸:そのことをいつ知らされたのかによるのではないかなと。小学生ぐらいの歳だったら“クローンってなに?”と、いまいちピンとこないと思いますし、自分とそっくりな生命体を受け入れられなくてパニックになってしまうかもしれない。だけど20歳を超えていて、それまでの人生がもしも幸せだったなら“クローン…あ、そうですか…”みたいな薄い反応で終わるかもしれないですし、もしも幸せじゃなかった場合は“だから俺の人生はこんななんだ”と、不幸をクローンのせいにしてしまうような気もします。なので知らされるタイミングによって感じ方が全く違うと思います。

堤:僕は自分のクローンがいるかもなんて想像できないし、もし存在していたとしてもどういう感情が湧くのかは全くわからないです。ただ、自分そっくりの生命体が急に目の前に現れたらびっくりするから、できれば事前に知らせてほしいかな(笑)。

父親と息子の関係性について改めて感じたことがあれば教えてください。

堤:僕の父親は僕が20歳の時に亡くなったのですが、今、亡くなった時の父の年齢になってみて、改めて、父と息子の間には特別な何かがあるような気がしています。

“お父さんって怖いな…”と思ってらっしゃった?

:怖かったですよ…喋らないから余計に。家族で野球のテレビ中継を観ているときに、野球選手の顔を何かに似てるって僕が言うと、姉とおふくろは興味をもってくれたけど、親父は『人を顔で判断したらあかん』ってポツリとつぶやくんです。そんなことがよく起こるから、食卓はいつもシーン…とした感じでしたね(笑)。逆におふくろはよく喋る人なので、僕は母親に似たのかもしれません。

お二人は映像作品と舞台作品の両方にたくさん出演されていますが、舞台と映像のお芝居の面白さの違いをどんなところに感じていますか。

堤:発声を含めいろんな意味で違う部分はありますが、舞台と映像作品で芝居の質を変える必要はないと、個人的には思っています。大きく違うのは、目の前にお客さんがいること。演劇の場合は役者、スタッフ、お客さんが劇場という空間で同じ時間を共有できるので、そこに面白みや楽しさを感じながら演じているように思います。

瀬戸:僕は舞台作品に対して“できないことが少ない”イメージがあって、あらゆる可能性を秘めているところが好きです。映像作品だけをやっていたら関わることがなかったかもしれないと思うことが本当にたくさんあるので、そこが演劇のお芝居の魅力ですね。

最後に、本作を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

瀬戸:僕が現時点で言えるのは、最後に登場するマイケルの生き方が大好きだということ。きっと僕と同じように共感してくださる方がいると思うので、ぜひ劇場でマイケルの人生がどうだったのか、確認して頂けたらうれしいです。

:とにかく楽しみな作品です。今はまだ目の前に粘土をぽんと置かれて、そこからどう形を作っていくかという段階なので、良い作品にできたらと思っています。

終始和やかな空気の中でインタビューに応じてくださった堤さんと瀬戸さん。写真撮影時も、堤さんが作り出す独特の空気感が現場を包み込み、「昔から堤さんのファンだった」という瀬戸さんのリスペクトも、止まることなく溢れ出ていました。そんな二人が織りなす絶妙なやり取りは、すでに長年の友人同士のような息の合い方。お二人が共演する舞台は、9月10日に幕を開けます。劇場で、その圧巻の演技をぜひご覧ください。

撮影/米玉利朋子 ヘアメイク/奥山信次(B.SUN/堤さん分)、 小林純子(瀬戸さん分) スタイリスト/中川原寛(CaNN/堤さん)、田村和之(瀬戸さん分) 取材・文/奥村百恵

Profile
堤真一
1964年7月7日生まれ、兵庫県出身。近年の出演作は、舞台『帰ってきたマイ・ブラザー』(23)、『カラカラ天気と五人の紳士』(24)、ドラマ「ミワさんなりすます」(23/NHK)、「滅相も無い」(24/TBS)、映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』(21)、『おまえの罪を自白しろ』(23)など。映画『室町無頼』が2025年1月17日に公開予定。

瀬戸康史
1988年5月18日生まれ、福岡県出身。近年の出演作は、舞台『世界は笑う』(22)、『笑の大学』(23)、ドラマ「院内警察」(24/フジテレビ)、「くるり〜誰が私と恋をした?〜」(24/ TBS)、映画『愛なのに』(22)、映画『違国日記』(24)など。映画『スオミの話をしよう』が2024年9月13日に公開予定。
公式X

作品情報
Bunkamura Production 2024
DISCOVER WORLD THEATRE vol.14『A Number—数』『What If If Only—もしも もしせめて』

作:キャリル・チャーチル

翻訳:広田敦郎 

演出:ジョナサン・マンビィ
美術・衣裳:ポール・ウィルス
出演:
「A Number—数」
堤真一、瀬戸康史
「What If If Onlyーもしも もしせめて」
大東駿介、浅野和之 / ポピエルマレック健太朗・涌澤昊生(Wキャスト)

9月10日(火)~9月29日(日)
東京都 世田谷パブリックシアター


10月4日(金)~10月7日(月)
大阪府 森ノ宮ピロティホール


10月12日(土)~10月14日(月・祝)
福岡県 キャナルシティ劇場



瀬戸さん着用分:カーディガン¥50600/TOGA TOO、ローファー¥64900/TOGA VIRILIS(ともにTOGA 原宿店)、Tシャツ¥22000、パンツ¥79200/ともにMARKAWARE(パーキング)

問い合わせ先/TOGA 原宿店 TEL:03-6419-8136、パーキング TEL:03-6412-8217

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