緊迫感あふれるシリアスな展開が話題のWOWOWの連ドラ。
主役を演じる松岡さんが、作品や役にかける想いとは?
「警察の中の警察」とも言われ、警視庁職員の不正を取り締まる警視庁警務部人事一課、通称「ジンイチ」の内部捜査を緊迫感たっぷりに描いて話題を呼んだWOWOWの『連続ドラマW 密告はうたう 警視庁監査ファイル』。その続編が8月11日にスタートします。
登場人物たちの探り合いで、手に汗を握るような重厚なサスペンス。今回はいったいどんな内容になるのか…。ジンイチ監察係員・佐良正輝役の松岡昌宏さんに、作品について語っていただきました。
自分とはまったく重なることのない役。あえて理解しようとせず、客観的に演じている
前作は約3年前に放送され、先の読めない緊張感と展開に夢中になった人も多かったと思います。
松岡さん(以下敬称略):僕は、撮影が終わったらその後のことをあまり気にしないんです。ですが、今回続編のお話をいただいたことで、反響があったのかなと感じています。前回は台本を合計で8回読んで、今回は5回読んでいますね。話が(前作から)ずっとつながっていて複雑なんですよ。
僕の中では完結だと思っていた前作を、この先どうやって広げていくのだろうと思ったら、「なるほど、こんなのが裏にはあったのか」という。意外な展開も期待できると思います。
佐良役として戻ってこられて、どんな想いで演じていますか?
松岡:相変わらずです。ひとつも笑うシーンがないんですよ、いつも苦悩している。周りでこれだけ人が死んでいく状況で戦っていかなければならない。(後輩を亡くした佐良と)同じ気持ちでいる皆口の想いも背負わなければならないこと、(上司の)能馬さんと須賀さんへの疑心暗鬼や謎みたいなものを抱えながら、手探りだけで光を見つけようとしているんですよね。
(※編集部注:皆口役は泉 里香さんで、佐良の後輩であり自身の婚約者を亡くしている。能馬は仲村トオルさん、須賀は池田鉄洋さんが演じている)
だいぶ重いですね。
松岡:重いですね、これだけ先が暗いと。
松岡さんから見て、佐良という人物の魅力はどんなところですか?
松岡:正直、佐良のことはひとつも理解できない。理解してしまうと違う色がついてしまうから、わからないからこそ演じきれたのかなと思います。「こいつは俺と合わないな」というくらいの距離感の方が、役を演じやすかったりするんですよ。佐良正輝の考えていることも行動も、まったくわからないです(笑)
だから、壁にぶつかっているときや疑心暗鬼になっているときの表情が自ずと作れたのかな。もちろん何をしようとしているかはわかっているけれど、それを知ったうえでのお芝居は避けたいと思っているから、自分との違いを出していくことを意識したいと。
自分が共感を持って入る作品と、持たないで最後まで終わらせるというやり方があって、僕は今回は後者を強く出しました。変に「こうでしょ?」と頭でっかちのニュアンスで演じるより、リアルさが出せるかなと思っています。それが観てくださるみなさんの「佐良の機微がいいね」という評価につながるなら、正解だったのかな。
佐良に共感できる部分は…
松岡:(即答で)ないですね。執念を背負った男だけど、僕はそんなに執念はないし。(佐良は)かなりドMですから。現実の社会では生きられなそうですよね。
前作からのつながりもあり、意外な伏線も。新鮮な気持ちで楽しんでほしい
今回、続編の放送・配信が発表されたときに「また大変な時間が始まる」とコメントされていましたが、いちばん苦労された部分はどちらでしたか?
松岡:雰囲気だけでできるものではなくて、つながりが大変でした。つながりというのは心の持ち方で、「ここで下がっているのか、じゃ次に撮るときは下がっているところからスタート」みたいな。結構起伏が激しいんですよね。あとはよく人が亡くなるから…辛い!
逆に、参加することの面白さはどんなところで感じていましたか?
松岡:今まで経験したことがないもの、自分の中にないものが求められた作品だったと思います。それは前作から感じていたことなので、そういう意味でも「また大変な時間が始まる」というコメントにつながるんですけどね。
前作があったからこそ、その積み重ねでできたシーンというのはありますか?
松岡:引き続き出ている皆口、能馬さん、須賀さん、あと北澤(眞島秀和さん)との関係性は変わらないままなので。
でも、前作で解決したと思われたことがまた謎に包まれていくから、松岡自身もわからないし、(役である)佐良はもっとわからないだろうし。そこはなかなかミステリアスですね。
出ている人がみんな謎めいて底が見えない印象ですが、裏側ではどんな雰囲気なのでしょうか?
松岡:普段は明るくて朗らかな方が多いから、そんな苦み走った表情をしている人はいないです。(仲村)トオルさんは優しいですし、泉(里香)さんは穏やかで、文ちゃん(浜中文一さん)はとてもしっかりしていて。
これに出てくるキャラクターは、能馬さん以外はみんな探り合っているんじゃないかな。能馬さんも上層部の人に命じられて、実は我々を使いながらいろんなものを探っているかもしれない。みんなそれぞれのポジションで未解決事件を追っているんですよね。いろんな立場の人から見た『密告はうたう』が作れそう。それが成り立つ作品だと感じています。
見る角度が違うだけでまったく違うお話になりそうで、面白そうですね。
松岡:そう思いますよ。例えば皆口の視点で佐良を見ると「うだうだしていないではっきりしなさいよ!」ということになるかもしれないし(笑)
皆口役の泉 里香さん、実は『Oggi』の専属モデルです。 松岡さんが演じる佐良としてこれから期待することはありますか?
松岡:まず、「余計なことはするな!」(笑) まぁ、皆口も皆口で大変だったと思うから、「これからは明るく、自分のために自分の人生を生きてください」とエールを送りたいですね。
次回は松岡さんの仕事論や仕事のやり方など、人生の先輩として『Oggi』世代にも響くお話をうかがいます。お楽しみに!
撮影/小川健太郎(SIGNO) ヘア&メイク/赤塚修二 スタイリスト/井元文子(Creative GUILD) 構成・文/斉藤裕子
WOWOW『連続ドラマW 密告はうたう2 警視庁監察ファイル』
8月11日(日・祝)スタート!
【Story】
ある日、警視庁人事一課(通称:ジンイチ)に1通の密告文が届く。捜査二課が追う特殊詐欺犯罪の捜査情報が何者かによって漏洩しているとされ、捜査を指揮する管理官の関与をもにおわせる内容だった。ジンイチに配属されて2年がたつ佐良(松岡昌宏)は、上司の能馬(仲村トオル)と須賀(池田鉄洋)に呼び出され、実態解明の指揮を執ることを命じられる。1年前にジンイチに配属された皆口(泉里香)、班長の原西(マキタスポーツ)、そして新たに異動してきた毛利(浜中文一)とともに、管理官の行動確認(尾行)を開始する。管理官の不可解な行動から、ある推論を立てる佐良。しかしそんなさなか、捜査資料の情報がネットで拡散され、佐良たちも危険にさらされる事態に発展する……。
【Cast&Staff】
原作:伊兼源太郎『ブラックリスト 警視庁監察ファイル』『残響 警視庁監察ファイル』(実業之日本社文庫刊)
監督:内片輝 山本大輔
脚本:鈴木謙一
音楽:大間々昂
プロデューサー:井口正俊 下田淳行 星野秀樹
制作プロダクション:ツインズジャパン
製作著作:WOWOW
出演:
松岡昌宏
泉 里香 池田鉄洋 浜中文一 マキタスポーツ/宇野祥平
戸塚祥太 宮崎秋人 猪塚健太 水澤紳吾 谷田 歩 飯田基祐 山本未來/眞島秀和 渡辺いっけい
仲村トオル
【放送日時】
8月11日(日・祝)スタート[第1話無料放送]
毎週日曜22:00 全8話