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LIFESTYLE

2026.06.11

本木雅弘「還暦なんてまだヒヨッコ」ファンにSNS代わりに贈る写真集の魅力 

6月12日に発売となる本木雅弘さんと長年の友人の中村一弘さんによる『awai 刹那と永遠のまにまに』(TWO VIRGINS刊)ができるまでを語ります。

尾崎靖(編集者)

「awai 刹那と永遠のまにまに」ができるまで     

本木雅弘さんと長年の友人の中村一弘さんがつくった『awai 刹那と永遠のまにまに』(TWO VIRGINS刊)が、6月12日に発売になります。

役者・本木さんと写真家・中村さんの再会を機に、30年ぶりに撮り下ろしたプライベートな写真と、本木さんが書き下ろした心象の言葉が綴られたアートブックです。ふたりの「人生という旅の現在地」を伝えるページからは、異なる人生を歩んできた時間が重なり合う「あわい」が感じられます。

中村さんは、京都から東京へと居を移してファッション・フォトグラファーになった27歳の頃、本木さんと出会いました。当時、中村さんのアパートはクリエイターやモデルやスタイリストたちが集まって夜更けまで語り合う溜まり場でした。その中のひとりが本木さんでした。ある夜、藤原新也さんの『メメント・モリ』という本が会話にのぼり、その内容に触発された中村さん、本木さんら男5人でインドを旅します。その旅から中村さんの最初の写真集『HILL HEVEN』が生まれ、本木さんはインドの死生観を目の当たりにして、のちにアカデミー賞を獲得した映画『おくりびと』の構想につながります。ふたりはいわば人生の節目の旅を共にした仲間なのです。

『awai―刹那と永遠のまにまに』のテーマは、本木さんと中村さんが共に還暦を迎え、新たなスタートラインに立つタイミングで邂逅した、いわば「人生の現在地」での再会の旅。人生の刹那の出会いと永遠の「あわい」、本木雅弘という“虚”と内田雅弘という‘実“の「あわい」、現在と過去がレイヤーしつつ新しい未来へ移行する瞬間の「あわい」。その輝きが、端正で透明感のあるパッケージで包まれています。

撮影は、6月19日(金)より全国公開される本木さんの主演映画『黒牢城』制作の合間を縫って行われました。京都での映画撮影のオフタイムの様子、還暦の誕生日に東京の自宅で朝を迎えた姿、東京の街頭、ひとりロンドンで過ごす時間をはじめ、中村さんと旅した過去のシーンも収録されています。

昨年12月、ロンドンにいる本木さんと東京の中村さんは、ほぼ毎日、電話で写真のセレクトを進めていました。そこにアートディレクターのタカハシシゲキさんが加わり、私は以前に中村さんとフォトブックを作ったご縁で編集を担当。版元のTWO VIRGINSの後藤祐介さんが参加して、今年2月に制作がスタートしました。本木さんの主演映画「黒牢城」の公開に合わせて出版するために、本木さんとの打ち合わせは通常の3倍速ぐらいの速度で進みました。

カンヌ映画祭の招待作品の舞台挨拶、映画のプロモーション、テレビの撮影という秒刻みの時間の中、旅先の本木さんからメールで毎日少しずつ言葉が届きました。深い思索の時間が伝わってくるメール。そのひとつひとつが詩的であり、自分という人間を見つめ直しながら紡がれた言葉は、スクリーンの中では知り得ない本木さんの姿が浮かび上がります。

驚いたのは、本木さんが写真家とデザイナーと編集者のやり取りのメールをすみずみまで目を配っていて、とても細かな点まで疑問点を問い合わせて、その都度、メールで全員と意見をやりとりする一体感でした。
ひとつアイディアが出るとさらに誰かが新たなアイディアを重ねて、どんどんイメージが膨らんで変貌しながら1冊に仕上がっていくダイナミズムは、あたかも5人のバンドで即興でレコーディングしているようなスピード感と凝縮感でした。私はこれまで数10冊のフォトブックを編集してきましたが、このように短期間で完成度の高い本に仕上がったのは初めてのことでした。

本木さんと中村さんは、完成した本を手にして、こう語っています。

「また撮らせてもらえないか」という友人の誘いに乗り、還暦前後を漂った時間が記念の形になりました。現代では還暦なんて、まだまだヒヨッコの部類です。この歳で写真集なんて気恥ずかしくもありますが、自己を顧みる良い機会にもなりました。SNSをやらない自分なりに皆さんとの交信と思い、これまでの様々な感謝を込めてお届けいたします」(本木)

時折垣間見える「本木雅弘」と「内田雅弘」のあわい——そのわずかな揺らぎのような瞬間を、静かに写し留めた写真集です。時間の層が重なり合う中で立ち上がる表情や気配、見る者自身の記憶や時間感覚にも優しく触れていく構成となっています。これまでの歩みを振り返ると同時に、これからの人生へと思いを巡らせていただける一冊です。(中村氏) 

『awai―刹那と永遠のまにまに』は、TWO VIRGINSより6月12日発売。6月11日から21日まで、東京・渋谷に誕生した新しいカルチャーの発信地「NONLECTURE books/arts」で、同名の写真展が開催されます。
ぜひ、渋谷の雑踏の中にある静謐な「awai」の空間に足をお運びください。

「NONLECTURE」HP https://nonlecture.jp

「awai –刹那と永遠のまにまに」
2026年6月12日発売。
著:本木雅弘、中村一弘
写真:中村一弘(中村一弘写真事務所)
文:本木雅弘
定価:6,050円(本体5,500円+税)
仕様:A4変/横版/コデックス・ドイツ装
ISNBN:978-4-86791-089-4
発売日:2026 年 6 月 12 日(金)順次発売
発行:株式会社トゥーヴァージンズ

TWO VIRGINS HP https://www.twovirgins.jp/news/awai_1/

本木雅弘

役者 埼玉県生まれ  独自の存在感を放ち、映像、広告で活躍。自ら発案の映画「おくりびと」(08) は米アカデミー外国語映画賞を受賞。他に「シコふんじゃった」(92) 「双生児」(99) 「永い言い訳」(16)「坂の上の雲」(NHK) などがある。「黒牢城」(26)はカンヌ映画祭プレミアに出品。

 

中村一弘

Photographer。京都市生まれ。1993 年よりフリーランスとして独立。広告、カタログ、雑誌、ミュージックビデオなど幅広い分野で活動。ファッションおよびポートレートを中心に、近年は女性モデルや俳優の撮影を多く手がけている。これまでに「水」「小さな君」などの作品展を開催し、写真集も出版。日本広告主協会賞金賞をはじめとする受賞歴を持つ。

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