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WORK

2024.09.04

「真の頭のよさは学歴やIQの高さではなく、他者に貢献できること」〈コンサルタント/経営者・安達裕哉さん〉

選択の多い30歳からの人生に、決断は欠かせないもの。各界の第一線で活躍する先人はどんな転機を迎えてきたのか? 今回は、経営コンサルタントとして、3000社、1万人以上のビジネスパーソンと向きあってきた安達裕哉さんにお話をうかがいました。〈第一線の先人たちもアラサーで「選んで」きた The Turning Point~私が「決断」したとき~〉

コンサルタント/経営者・安達裕哉さんインタビュー

「口下手だった自分が、相手が何を求めているか考えるだけで仕事が楽になった」

コンサルティング業界は給料がいいらしい… そんな話を友人に聞き、デロイト トーマツ コンサルティングに就職したのが20代後半でした。

大学院まで気候変動を研究していて、コンサルタントのなんたるかもわかっていない世間知らずでしたが、研究者の夢をあきらめ、数百万円の奨学金を返すにはとにかく働かなくてはいけない。ITコンサルが求められていた時代でもあり、研究データ解析のためにプログラミングを習得していた自分がはまったのは幸運でした。

とはいえ、当時のコンサルタントはまだ少数で、うさん臭い職業の代表格(笑)。私自身、「なんで外部のよく知らない人に相談するんだろう?」と疑問でした。実際に働いてみると、覚悟を背負った経営者の方々の悩みを聞き、経営的な戦略を立てて企業の課題を一緒に解決していく、信頼が不可欠な仕事。

知性とコミュニケーション能力が求められ、口下手の私は苦労しました。さらに、日中は全国の担当クライアントへ出向き、夜遅くに戻ってリサーチ内容や資料をまとめ、土曜日は勉強会、日曜はその宿題…と毎日仕事にかかりきりでした。

安達裕哉さん

厳しい環境で鍛えられる日々

特に勉強会にはただならぬ緊張感がありました。上司主導で次々と業務にまつわる質問が繰り出されるのですが、その人は会社の業績を支えるスーパーエースで、手加減は一切なし。社長や役員、総務の人まで参加し、間違えると公平に怒られます(笑)。

ただ、こうした厳しい環境で鍛えられたことで、クライアントの前では逆に気負わずに仕事ができたんです。ある取引先との会合で急きょ主担当の先輩が来られなくなり、ひとりで訪問したときのこと。お客さんから「安達さん、大丈夫?」と心配されまして。

ふだんは先輩の陰に隠れていた見習いの私がひとりで来たわけですから、不安も当然ですよね。ショックでしたが、その日は知識を伝えるレクチャーの場だったので、社内の勉強会と大差ありません。

先輩からは「話した内容はすべて書き留めろ」と教わっていたので、そのノートを見て一言一句そのまま話したところ、先方に納得いただくことができました。最初はついていくだけで精一杯で、全記録はムダに感じていたのですが、すべてに意味があったんだなと気づかされましたね。

メモ
(c)AdobeStock

企業の全業務を知ることができる部署へ異動したことが転機に

最大の転機は、必死に学びながら入社8か月が経ったころ。ISO認証取得に関わる品質マネジメントコンサルティングの部署に異動になったときです。人員不足で呼ばれたのが理由でしたが、上司の誘い文句は「安達さん、社長になりたい?」 たしかに、設計、製造、営業、マーケティングなど企業の全業務を知ることができる、最も経営者に近いポジションでして。

各部門の人々に会ってヒアリングを重ね、各々に隠れた事実や解釈の違いから業務プロセスの課題を見つけ、改善する役割があります。部門間の横断的な把握は難しいものですが、成功している会社では社長がその壁を予見し、システムや独自のノウハウで解決しています。

私も上場企業から中小企業まで数多く訪問するうちに、広範な視野と知見が身につき、よい事例を課題のある会社に応用して提案できるようになっていきました。重要なのは、課題があったら机上で考えるのではなく、現場に足を運び、直接確かめること。ルールとして書かれた内容と、働く人たちの認識、現場の実情はすべて異なるからです。

漁師さんを担当していた時期には神輿を担ぎに行って地域文化に触れ、町工場に行く際には機械に巻き込まれないようネクタイを外す。食品工場では、白衣の全身スーツを着て衛生管理の実態を知る。品質向上の過程で問題点に気づくと、経営者の方も改善に意欲的になります。

現場から生まれる仕事は非常に楽しく、どの会社に行っても大体の業務や悩みが想像できるようになったことは大きな収穫でした。 

学歴やIQが高い=頭がいい人、ではない。頭のよさは、他者に貢献できること

安達裕哉さん

仕事の集大成ともいえる自著が多くの人の役に立てた

30代前半には中小企業専門のサポート部門の立ち上げに参画し、支社長に就任。最初に突き当たったのは、仕事量に対して時間が足りないという現実でした。お客さんや後輩に頼られるのはうれしいものの、自分がやりたい仕事があっても、泣く泣く捨てるか任せるか。組織を担う立場になると、つらい意思決定が伴います。

さらに会社が大きくなって安定するにつれ、現場に出られる機会も減り、マネジメント業務主体に。新しい挑戦をしたくなり、37歳で独立しました。あらゆる会社を見てきたので、自分の中で起業に対するハードルは低く、勤め先が大きいか有名かどうかは個人の幸せには関係ないという確信もあったんです。

ただ、最初に手がけた家庭教師のマッチングサイト事業は見事に失敗し、貯金が尽きたところで撤退しています。今思うと、お客さんのことを考えてつくった事業ではなく、自分たちがやりたいことを優先してしまった。次はお客さんから出発する事業をやろうと、実績のあったマーケティングやオウンドメディア支援を始動しました。

仕事を続けてきてよかったなと思うのは、集大成である自著『頭のいい人が話す前に考えていること』を多くの方に喜んでいただけたことです。

ブログからスタートした自社のビジネスメディア『Books&Apps』で書いた記事をきっかけに出版につながり、会社員時代の上司や先輩に学んで積み重ねてきた経験や暗黙知を基に、業種を問わず仕事や人間関係に通用する思考法をまとめました。

相手が求めることを考えて耳を傾けることで、こちらの話も聞いてもらえる

コンサルタントは「他者に動いてもらって、他者を成功に導く」仕事。そして、真に頭のいい人とは、「他者に役立つことを言える」人であり、その技術には〝他人軸〟が共通しています。年齢も職種も幅広い読者の方から寄せられた声に、皆さんコミュニケーションに悩んでいるんだなと実感。背景には、ビジネスの複雑化があると思っています。

ほとんどの仕事がひとりで完結せず、必要な知識量が増えて社内外の多様な人々と力を合わせないと成果を出しづらい。さらにハラスメント回避で伝え方が難しい時代で、今まで以上に人の話を丁寧に聞いて、理解する必要性が高まっているのではないかと。

私もかつてお客さんにどう接していいかわかりませんでしたが、相手が何を求めているかを考えるだけで仕事が楽になりました。相手が満たされると、こちらの話にも耳を傾けてもらえるようになり、気持ちのいい取引ができる。これは家族や友達でも同じで、みんながお互いのために役に立とうと思うこと自体が、結果的に自分の欲求を叶える原動力にもなります。

生成AIのコンサルティング会社を立ち上げ、新たな挑戦

PC

昨年からは、新たに生成AIのコンサルティング会社を立ち上げました。生成AIの登場で自分が手がけてきたメディア運営や記事執筆という仕事は淘汰されるなと感じ、むしろ使いこなせるようにと取り組んでいます。

PCやスマホが世の中を便利にしたように、生成AIもいずれ日常の一部になるはず。新しい変化にトライ&エラーを重ね、お客さんの心理を読みながら、人や会社が躊躇なく可能性を広げられるよう貢献していきたいと考えています。

2023~2024年上半期No.1! 『頭のいい人が話す前に考えていること』が60万部超え

『頭のいい人が話す前に考えていること』

2023年に日本で最も売れたビジネス書となった安達さんの著書が、2024年上半期も1位に! ひとりよがりではなく、他者とのコミュニケーションの中で知性と信頼を兼ね備えた「頭のいい人」になるためのプログラムを網羅。ビジネスパーソンのみならず、老若男女・シーンを問わず「人間関係が円滑になった」という声が続々! ¥1,650/ダイヤモンド社

2024年Oggi9月号「The Turning Point〜私が『決断』したとき~」より
撮影/石田祥平 構成/佐藤久美子
再構成/Oggi.jp編集部

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安達裕哉(あだち・ゆうや)

1975年、東京都出身。ティネクト代表取締役。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任した後に独立。2013年にマーケティング会社「ティネクト」を設立。コンサルティング、webメディアの運営支援を行う傍ら、累計1億2000万PVのビジネスメディア『Books&Apps』を運営。 2023年に生成AIコンサルティングを行う「ワークワンダース」を設立。

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