朝ドラ『あんぱん』を語りたい!今週の見どころと感想をレポ
朝ドラ『あんぱん』観てますか? やなせたかし先生の妻・小松暢さんをモデルに、“逆転しない正義” 『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語を描くドラマ。ヒロインの「朝田のぶ」を今田美桜さん、やなせ先生をモデルにした「柳井嵩」を北村匠海さんが演じます。
朝ドラ大好きOggiチームきってのNHK「連続テレビ小説」ウォッチャー、ライター・朝 ドラ子が、今週の『あんぱん』のツボを自由きままに語りたいと思います!
◆先週のレビューはこちら:やるせなすぎる最期に唖然。戦争は人を変えてしまう|『あんぱん』第12週
たくさんの人を苦しめた戦争がようやく終わりました。日本は敗戦し、街は焼け野原に。誰もが、これまで通りでは生きていけません。そんななか、病床の夫・次郎さんに寄り添うのぶちゃん。そして、御免与町には戦地から生きて帰ってきた嵩の姿が…!
第13週「サラバ 涙」を振り返りましょう
「みんなあも知っちゅう通り、日本は戦争に負けました」。のぶちゃんが教室の子供たちに語りかけるシーンからスタートした今週。教師として、軍国教育に加担したことに後悔が募るのぶちゃん。こちらを見つめる子供たちの澄んだ瞳に、「先生は、間違うていました」「ごめんなさい…」そう絞り出すのが、精一杯でした。悲しい。
そして病気で日に日に弱っていく次郎さんがついに天国へ。一方柳井家では、千尋の戦死が明らかに。わかっちゃいたけれど、遺骨すら返ってこない最期だなんて。「あの頃に戻りたい」と涙する柳井家のみなさん。でももう、二度とと戻ることはできないのです。悲しい…(2回目)。
のぶちゃんと嵩、大切な人を失ったふたりは、まだまだ空襲の爪痕が残る高知で再会。「絶望なんてしてられない。だから生きるんだ」。嵩の言葉を胸に、次郎さんの意志を継ぎ、のぶちゃんは速記を猛勉強。そして待っていたのは新たな出会いと新展開!
朝ドラウォッチャーの「今週のツボ」

1. 実はずっとのぶちゃんには「自分」がない
学校は軍国教育を一掃し、教科書は黒塗りに。戦争を肯定して子供達に「愛国の心」を教え込んでいたのぶちゃんも「取り返しのつかないことをした」と、悔いる気持ちでいっぱいです。なんと、次郎さんにも黙って教師を辞めているではないですか。
これまでずっと見守ってきて思うのですが、のぶちゃんは意外に周囲の影響を受けやすくて、行動が「自分軸」じゃないんですよね。誰かの期待に応えたい一心なのでしょうが、結局「自分自身がどうしたい・どうなりたい」がフワフワしている。あ、寛伯父さん風に言うと「何が自分の幸せで、何をして喜ぶ」ですね、はい。
子供たちに体操の楽しさを教えるために先生になったはずなのに、女子師範学校で黒井先生に焚き付けられ、「愛国の鑑」と持ち上げられ、どっぷり軍国教育に染まっていったのぶちゃん。言ってしまえば「自分」がない。考えるってエネルギーを使うから、そりゃ流されているほうが楽よ。でもそうやって他人軸で生きていると不測の事態に陥ったとき弱いものです。
自分の間違いを大いに反省して、今度は新しい方向へ子供たちを導くという選択もあってほしかったけれど…のぶちゃんはもう心が折れてしまいました。心の支えだった次郎さんも失い、もうずっと目に精気がない表情が痛々しいよ。
2. 幼馴染ふたりのそれぞれの変化
今週のハイライトは、のぶちゃんと嵩の4年ぶりの再会。大切な人を亡くしたふたりはお互いの気持ちを吐露しあいます。「立ち止まって考えることが怖かった」。のぶちゃんの止まらない後悔、あふれだす涙…。
一方、死線を越えて生きて帰ってきた嵩は、なんだか以前より大人びた表情で、言葉にも静かな力がありました。逆転しない正義を見つけるために、嵩は生きる。死んでいった千尋や仲間のためにも──だから、「のぶちゃんも生きてくれ」。かつてはのぶちゃんに引っ張られていた嵩が、初めて彼女を先導したシーンに見えました。今後のふたりの関係性にも変化があるのかも!?と予感せずにはいられません。
ところで、のぶちゃんといえば「走る」少女なんですよね。今週は「立ち止まる」「自分の足で立つ」といったキーワードが出てきましたが、これって「走る」と真逆だよな〜と印象的でした。今まで「考えるより走る」だったのぶちゃん、変わることはできるか!?
3. のぶちゃん宅、完全無傷問題を考える
みなさんお気づきでしょうか、のぶちゃんの暮らす高知の自宅(若松家)がまったくの無傷だということを。空襲警報の音に飛び起き、火の海と化した高知市街を逃げ回った先週の放送からはなかなか想像できなかった展開です。まあまあ、細かいことを気にしていたら朝ドラは楽しめませんし、おかげで逃げ遅れてたナオキくんも救出できたし、何よりおうちが無事だったのはとてもいいことです! けどねのぶちゃん、バラックが立ち並ぶ街で速記で何やらメモりながら「家が焼けてもへこたれず、たくましい人らあの会話を書き取りよったら、うちも励まされるがです」は、ちょっと、ん?って思いましたよ、ドラ子は。
来週は新聞記者編スタート! サブタイトルは「幸福よ、どこにいる」
さてさて、今週は新キャラの高知新報記者・東海林さんが登場しました! 演じるのは津田健次郎さんです。当然のことながら、声がいい。キャー! 朝ドラはながら視聴をする人も多いので、聞き取りやすいお声は最高なんです♡ 東海林さんとの出会いをきっかけにのぶちゃんは新聞記者の試験を受けることとなり、見事合格。
試験の一環で街の人に取材をするのぶちゃんは生き生きしているように見えました。猛勉強した速記のスキルも駆使できそうです。このまま本当に自分がしたいこと、本当に夢中になれること、見つけておくれ。
【おまけ】今週のあんパン

新大久保駅から徒歩1分くらい、「The Bake Factory」 の北海道あんバタークロワッサン530円。あんこ×バター、それは発明。さらにサクサクのクロワッサンにはさむ背徳感といったら! バターは無塩タイプでミルク感しっかり、ゆえにスイーツのような感覚。なめらかなこしあんがたいへん相性よく、口どけはなめらか&さっぱり。ぺろっと食べられてしまうのが恐ろしいところです。おいしい。
「朝ドラウォッチャー」ライター・朝 ドラ子
NHK「連続テレビ小説」(通称・朝ドラ)をこよなく愛するアラフォー。毎日退勤後に録画をじっくり観るのが日課。会議でのアツい朝ドラコメントが「天才的なウォッチャー」と編集長に認められ、この連載を開始。歴代ナンバーワン朝ドラは『スカーレット』(2019年度後期放送)。