情熱あふれる演技で奥深い存在感を放つ佐々木蔵之介さんが、30代の頃に考えていたこととは?
ドラマ、映画、舞台などで、主演はもちろん、しっかり場を締めるバイプレイヤーとしても活躍を続けている佐々木蔵之介さん。なかでも大切にしているフィールドは舞台で、つねに新しい演劇に挑戦し続けています。
そんな佐々木さんが関西から東京に来て、活動の場を広げたのが30歳のとき。ちょうど『Oggi』の読者世代と重なります。そのころの経験と、人生の先輩としてのアドバイスをいただきました。
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収入的に豊かではなかったけれど存分に演劇と向き合ってきた時間が今を作っている
──ちょうど30 歳くらいになると、仕事においてもプライベートにおいても自分が取り残されているという感覚に陥りやすいそうです。30歳のころの佐々木さんはどんなことを考えていましたか?
佐々木さん(以下敬称略):なんの展望もなく東京に来たのが30歳のときです。関西で勤めていた会社を辞めて劇団員をやっていたのですが、上京してオーディションを受けたりしていましたね。
オーディションに受かることもあれば落ちることもあり、受かったときは「ありがたいご縁だったな」、ダメだったときは「自分とは違うタイプの役だったんだな」と受け止めて、自分を否定することだけはしませんでした。
──あのころにこれをやっていたから今がある、という支えになるようなものはありますか?
佐々木:劇団活動をやっていたから今があると思います。収入も限られていてそれだけで生活はできていませんでしたが、真っ正面から演劇だけに向き合える時間があったんです。劇団員は、俳優として舞台に関わるだけではないので、そのときに試行錯誤をしたことが、今の自分を作っていると思っています。
会社員をやっていたこともよかったと思います。広告代理店に勤めていて、そこで経験をしたことも今思えば大事なことがたくさんあったし。会社員時代の仲間と今一緒に仕事をすることもあり、いろいろなものが繋がっていることを実感しますね。
──いつ、どこにつながるかわからないですね。自身を否定はしなかったとのことですが、自分だけが取り残されているような感覚はありましたか?
佐々木:うーん。取り残されていると感じている人は、自分だけじゃないと思うんです。僕はその感覚が回り道だとは思わない、かなぁ。
幼稚園や小学生の頃にいた世界と、大人が持っている世界は違いますよね。小学生のときは自分の周りだけがすべてだったけれど、後になってよくよく考えたらなんて小さな世界の中で悩んでいたのかと。つまり、立場や年齢で世界は変わるので、今は大いに悩んでいいんじゃないかな。
一問一答で佐々木さんの情報をちょい出し!
──稽古場での必需品、必ずバッグに入れているものはなんですか?
佐々木:アミノ酸。稽古中の疲労回復のために、スティックタイプを持っています。
──公演中のルーティンはありますか?
佐々木:体のメンテナンスのためのマッサージ。痛すぎず柔らかすぎず。すっごく痛いのが好きな人もいますけど、僕は「せっかく休みに来ているのに、なんでここで痛さと戦わなあかんねん」と思ってしまうので(笑) リラックスはしたいものの、でもヒーリング音楽みたいなものがかかっているのも、今はちょっと違うし(笑) 程よい感じが好きです。
インタビュー中によく出てきたのが「なんかおもろいことを…」という言葉。演劇に正面からがっつり向き合いながらもユーモラスな視点を持たれているからこそ、俳優として多くの人の心を掴んでいるのではないかと感じました。
ジャケット¥46,200・シャツ¥30,800・パンツ¥36,300(CONFECT 表参道店<CONFECT>)
CONFECT 表参道店 ℡03-6438-0717
●この特集で使用した商品の価格はすべて、税込価格です。
撮影/神戸健太郎 スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.) ヘア&メイク/晋一朗 構成・文/斉藤裕子
PARCO PRODUCE 2024
『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』
【Story】
13世紀、中世ヨーロッパ。神聖ローマ帝国皇帝となったのがフェデリコ2世(1194~1250)。100年以上やっても決着しない戦争の無駄に気付き、得意のアラビア語を駆使し敵の長と「文通」。十字軍を停戦し奇跡の平和を築く。だが神の意に沿わぬ和平は教皇の怒りを生み、中世最大の罰「破門」(戸籍抹消。社会的な死刑)を受ける事に。父が天才すぎて理解できぬ息子ハインリヒの悲哀と確執。その父子の対決と理解の長い旅路は、世界に何をもたらすのか……。『破門フェデリコ』の壮大な物語が始まります。
【Cast&Staff】
作:阿部修英
演出:東 憲司
出演:佐々木蔵之介 上田竜也 那須 凜 栗原英雄 田中穂先 石原由宇
磯部莉菜子 加賀谷奏音 熊野義貴 増山海里 山崎 類 渡辺はるか
六角精児
【公演スケジュール】
<東京公演>
日程:2024年8月6日(火) ~ 2024年9月1日(日)
会場:PARCO劇場
<愛知公演>
日程:2024年9月7日(土)・8日(日)
会場:Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
<大阪公演>
日程:2024年9月11日(水)~16日(月・祝)
会場:森ノ宮ピロティホール
<福岡公演>
日程:2024年9月21日(土)・22日(日)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
佐々木蔵之介FAN SITE『TRANSIT』