洋服の力って本当に大きい
――モデル活動と、俳優活動はどのように相互作用していますか?
モデルとして、洋服をキレイに見せることのほかに、与えられたテーマを意識して演じるところは、役者と共通するところもあるのかなと思います。
――その点は、俳優さんとしてのお仕事をしていてよかったと思うこともありそうですね。
“表現する”という部分ではそうですね。
――年齢を重ねることで好きなファッションは変化した?
それが、中学生の頃から変わっていないんです。
――芯が通ってる!
そう言っていただけるとすごく嬉しいのですが、私服企画となると好きなものが変わらないので毎回同じようになってしまうことも…(笑)。
――かなり若いころからファッション誌に関わっていたからこそ、好きなファッションが決まるのが早かったのかもですね。
そうですね。いろんなファッションが目に入り、着ることもあるなかで、“やっぱりこれが好き”と思えたものに出会えたのは良かったです。コンサバティブなものが好きで、これから先もずっと好きなんだろうなと思います。
――お仕事で色々なタイプのファッションをすると、それがいいスイッチになっている?
そう思います。毎回新鮮ですし、ファッションに助けられていることも多いです。役を演じる上で、役作りや感情の整理など、いろんな準備をするのですが、洋服を着て現場に立つと生まれるものがたくさんあるんです。あらためて、洋服の力は大きいなと感じています。
――最近ではドラマ『何曜日に生まれたの』でとてもカジュアルなファッションをしていましたね。
あのドラマでは、お父さんとふたりで生活をしている女性を演じていたので、お父さんが着ているアロハシャツやポロシャツなどを私も着たいと提案させていただきました。そこでお父さんとすごく仲が良い背景が見えたらいいなと思ったんです。お父さんとペアルックのように見えるコーデなどもお話しながら作っていきました。
――衣装合わせではアイディアをたくさん出すタイプ?
衣装さんとお話ししながら、キャラクターをより深掘りしていく作業は好きです。衣装が物語に深みを与えることも多いと思うんです。
――つねにお仕事に全力のイメージが強いですが、あえて難しい道を選ぶタイプ?
……そうかもしれないですね(笑)。
――プライベートでご自身の好きなことをしっかりとしているからこそ、そう思えるのかもしれないですね。
プライベートは、自分が好きなことや、自分の心に従って、本当に好きなものを求めていけると思うのですが、お仕事はいろんな人が関わってくださっているからこそ、そのなかの一部として、自分が経験したことのない物や、苦手なものにもチャレンジしたいと思っていて。その柔軟性をしっかりと持って、自分の固定概念はつねに崩していきたいなと思っています。
――そういう想いで接していると、得るものも多そう!
そうですね。つねに知らないことに飛び込んでいく好奇心は忘れずにいたいです。
――ほぼ初めての経験となる舞台『ハムレットQ1』の上演が終わった後は、また大きな成長がありそうですね。
そうありたいです。本当に刺激的な環境でお稽古をさせていただいているので、終わった後の自分が楽しみです。
食べることにハマっています!
――いま、プライベートでハマっているのはどんなことですか?
食べることです!(即答) 食事に関しては、本当に大事にしています。実は、料理を作るお仕事をしているお友達が多いので、家で振るまってもらって食べる機会も多いんです。そこで生まれる会話や感情などを、人と共有できる時間が本当に豊かだなと感じています。その時間はいいスイッチの切り替えになりますし、素顔の自分に戻れるきっかけになっています。あとは、明るいうちからお風呂に入り、そのままご飯を作って食べる贅沢な時間も大好きです。お休みの日にそういったことが出来るとお仕事も頑張ろうと思えるんです。
――最近美味しかった料理を教えてください。
お友達の台湾旅行のお土産や、作ってもらった韓国料理の副菜、あとは鳥の鍋などが美味しかったです。セリなどの混ぜご飯も美味しかったですし……思い出すといろいろあります!(笑) 自分では普段作らないような、いろんな国の郷土料理をお友達と食べられる時間はとても幸せです。
――ご自身でもよく作るんですか?
自分でパパッと作ることはありますが、お友達はプロなので、レベルが違います(笑)。お友達と食べる美味しいご飯が、私の元気の源です。
【Information】
PARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』
2024年5月11日に東京のPARCO劇場から始まり、大阪、愛知、福岡で上演。ウィリアム・シェイクスピアの4大悲劇の一つに数えられる『ハムレット』は、3種類の原本があり、Q1とQ2、もうひとつのF1が存在。今作は、物語が凝縮されたQ1を、松岡和子の新訳で上演。演出は森 新太郎がつとめ、主演のハムレットは吉田 羊が演じる。
▶︎公式HP
Profile
飯豊まりえ
1998年1月5日生まれ。千葉県出身。現在Oggiでモデルとして活躍。さらに俳優としても活躍。これまで映画『悪の華』『シライサン』『くれなずめ』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』『君と世界が終わる日に』『花のち晴れ~花男Next Season~』などに出演。2023年のドラマ『何曜日に生まれたの』では主演を務めた。現在は舞台『ハムレットQ1』が上演中。
撮影/新田君彦 スタイリング/髙山エリ ヘアメイク/星野加奈子 取材・文/吉田可奈