1on1ミーティングというものを、知っていますか? 今働いている会社で、経験したことがあるという方もいれば、初めて聞くという人もいらっしゃることでしょう。この記事では、1on1ミーティングの概要や、話すこと、注意点などを解説します。
様々な企業で注目されている取り組みですが、一歩間違うと、「やめてほしい」という声もある制度ですので、概要や気を付けたいことなどを、おさえておくと、安心ですね。
1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングは、上司と部下が定期的にマンツーマンで対話をすること。30分~1時間程のミーティングを、月に1回~数回行うことが多いようですね。1on1の主な目的は、対話によって、部下の成長を促すことと言われています。よくある人事評価面談とは異なるものというのもポイントですね。
また、1on1ミーティングによって、上司と部下の信頼関係を構築し、仕事をスムーズにするという効果も期待できます。さらに、定期的に対話をするので、部下のメンタル不調などにも気付きやすくなり、急な休職や離職を減らせることも。個別に話すので、一人一人個性に合わせたマネジメントがしやすい、というメリットもあるようですね。
1on1で話すことは?
1on1ミーティングで、何を話すべきなのか迷うという声も聞きます。一般的に、1on1ミーティングで話すことは、以下のようなものがあるようですね。
・部下が仕事で感じている課題や、気付き、成長を感じたことなど
・将来的なキャリアビジョンや、やってみたいこと
・具体的な業務の相談、アドバイスなど
また、趣味やプライベートの話も、はさむこともあるようです。ただ、恋愛関係などの話題は、避けた方が良いでしょう。特に上司からこの手の質問をすることは、おすすめしません。というのも、一歩間違えば、セクシャルハラスメントになってしまうこともあるからです。
もちろん、こういった最低限のマナーはあるものの、この話題でなければならないというような、明確な決まりがあるわけではありません。
とはいえ、目的は部下の成長を促し、組織の活性化や、コミュニケーションをスムーズにすること。ただの雑談や愚痴で終わらないように、ある程度部下側も、上司側も何を話すのか考えておくのがおすすめですよ。
やめてほしいという声も
さまざまなメリットがある1on1ミーティングですが、「やめてほしい」という声もあるようです。「上司とマンツーマンで話すことが苦痛」という声や、「話すことがない」という悩みの声も。また、上司側からしても、多忙な業務の中、部下と一人一人話す時間を作らなければいけないことで、負担に感じるという面もあるようです。
また、1on1ミーティングは、基本的に、2人きりで話すことから、セクシャルハラスメントや、パワーハラスメントなどの温床になってしまうという危険性もあるでしょう。
特に注意したいのは、あまり傾聴力やマネジメント能力がない上司が行うと、単に部下を詰める時間になってしまうことも…。中には、部下の話に全く耳を傾けず、自分の昔話や武勇伝、一方的なお説教をするというような、残念な上司もいるようですね。
1on1ミーティングには、高いコミュニケーション能力や、傾聴力などが求められます。また、部下も主体的に考え、上司に意見などを伝える必要があることから、安易な導入は、かえって悪影響になってしまうことも。やり方を間違えると、離職率が上がるなど、逆効果になることもありますので、注意が必要でしょう。
上司と部下がおさえておきたいことは?
ここからは、1on1ミーティングの時に、どんなことを心がけると、スムーズになるかを解説します。上司側、部下側どちらもおさえておきたいポイントがありますので、チェックしてみてくださいね。
1:上司側がおさえておきたいこと
まず、ミーティングの目的を、部下へきちんと伝えることが重要です。部下からすれば、上司と一対一で話すということは、少なからず緊張や不安があるはず。「このミーティングは、あなたの成長のために行うもので、責められるような時間ではない」という事を、伝えましょう。
次に気をつけたいのは、否定、お説教や武勇伝はしないことです。「なんでもいいから話して」と言っておいて、いざ部下の話を聞き始めると、手のひらをかえすのは避けましょう。
中には、部下の話を聞いている途中で、感情的になり、「何をしているんだお前は!」などと怒鳴りつけてしまう、なんてこともあるようですね。こんなことをしてしまえば、部下は、もう何も話してくれなくなります。また、最悪の場合、パワハラだとして問題になってしまうことも。
また、自分ばかりが話してしまい、部下が黙って聞いているようでは、1on1とは言えません。どうしても、自分の経験から、部下にアドバイスをしてしまいたくなることもあるでしょう。ですが、相手に求められていない段階から、助言をするというのは、「自分の話をちゃんと聞いてくれない」と、信頼を失ってしまう原因になります。まずは、部下の話を、よく聞くことを意識したいですね。
そして、時には、何が問題なのかなどを問いかけて、自主的に考えることを、部下に促すことも重要です。
2:部下側がおさえておきたいこと
1on1ミーティングの目的は、部下の成長を促すことです。ですので、部下側も、自主的に成長していこうと言う姿勢で、ミーティングに臨むことを心がけたいところ。せっかく時間を作っているのに、単なる雑談で終わったと言うのは、もったいないですよね。
また、自分から考えて積極的に話すようにしないと、聞いている上司も、困ってしまうでしょう。実際に、上司が何を聞いても、「はい、大丈夫です」等の単発の返事で終わってしまい、会話が続かないことに、悩んでいる上司もいると聞きます。
上司任せではなく、自分から主体的に、課題を設定し、自分なりの意見や、「こんなことで困っている」などと、目的意識を持って対話を進めていくことがおすすめですよ。こうすることで、普段の業務で煮詰まってしまっていたことが早く解決する、スキルアップにつながるなどのメリットが得やすくなるでしょう。
中には、1on1ミーティングは、「意味がない」という否定的な意見を持つ人も、いるかもしれません。日々忙しく仕事をしている中、「この時間があったら、次の仕事を進めたい」と思ってしまう人もいるようです。ですが、会社や上司は、自分に時間を投資してくれていると考えると、プラスに思えるのではないでしょうか?
最後に
この記事では、1on1ミーティングの概要や、話すこと、注意しておきたいポイントを解説しました。うまく運用するには、やや難易度が高い制度と言われていますが、取り入れる企業が増えてきているようですよ。今後の仕事に影響してくるかもしれませんので、おさえておきたいキーワードですね。
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塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。HP:塚原社会保険労務士事務所 ライター所属:京都メディアライン