ライフスタイルとは?
「ライフスタイル」とは、生活様式や日々の営み方のこと。これは、それぞれの人の人生観や価値観、習慣などを含めた個人の生き方を指します。ちょっと前の時代では、専業主婦として家族をサポートすることが女性の理想のライフスタイルとされていたこともありました。でも今では、多様な例を目にすることができます。
これまで5万人以上のキャリアサポートをしてきた、キャリアコーチの菊池啓子(きくち・ひろこ)さんに現代の「ライフスタイル」の考え方についてお話を伺いました。
「『ライフスタイル』とは、言い換えると『キャリア』そのものです。
キャリアというと仕事のことだけだと考えがちですが、仕事を含めた生き方全般のことです。自分の人生観や価値観にそった、望む人生にするための手段として、どのような仕事や会社を選ぶのか。そしてそれを継続させるために様々な選択をしていきます。
例えば、会社での仕事に集中をしたいと思っているのであれば、『会社のそばに住居を構える』という人もいれば、『平日は都会で仕事に集中するけど、週末は家族と自然豊かな場所で過ごす』という二拠点生活をする人も増えてきました。自分のペースで仕事をすることを望み、フリーランスとして在宅業務をしながら、家族のサポートに時間を多く使いたいという人もいます。
自分が何を大切にしているのか。それを実現させるためにどのように日々を過ごすのか? こうしたことを自分で決めることが、理想のライフスタイルの実現につながります」(キャリアコーチ・菊池さん)
ライフスタイルを考えるにあたり、見直したい習慣を見つける
ライフスタイルを考えるきっかけとして、今の自分はどのような習慣を持っているのかを見てみましょう。
日常の中で、次の5項目について記録をつけていきます。実際にどのようなことをしているのか、現状を把握することがまず大切です。
1:時間の使い方
日常的に何に時間を費やしているのか。実際に記録につけてみると、イメージと違うこともあります。
15分単位くらいで具体的に書き出してみましょう。睡眠や身支度、SNS閲覧や食事、友人や家族やパートナーと一緒に過ごす時間などがあります。「仕事」に関しては一括りにするのではなく、ちょっと細かく見てみましょう。お客様とのやりとりや資料作り、社内の打ち合わせなど、思いのほか多様な作業をしているものです。
2:お金の使い方
お金の使い方に、その人の価値観が見えてくるものです。今の自分が、何にお金を使っているのかを自覚するために、支出を書き出してみましょう。
3:食生活
どのようなタイミングで何を口にしているのか、どんなところで誰と食べているのかを可視化してみてください。実は心身の状態に大きな影響を与えています。
4:人間関係
人間関係を見る時には、日常的に「時間」や「お金」を費やしている順にあげていくと、自分の現状が見えてきます。家族や友人、職場の同僚など、関係性とともに、どんな性格やタイプの人が多いのかを調べてみてください。そしてその人との関わりで、自分はどんな役割でいるのかを書き出してみましょう。
5:活動環境
住んでいるところや職場のある場所、プライベートでよくいるところなど、いつもいる場所と環境を具体的に見てみましょう。人工物が多いのか自然が多いのか、整理整頓されているのか雑多な印象があるのかなどとともに、自分が心地よく過ごせているのかという印象を記録します。
まずは、「現状」がどうなのかを、ひと月ほどかけて記録をしてみましょう。その時のポイントとして、気持ちに引きずられずに「事実」だけを書き出していくと、「今の自分」のライフスタイルが見えてきます。
自分らしいライフスタイルを実現させる5ステップ
ライフスタイルとは、「自分が心地よく生きていくためにはどうするのか」を明確にし、それを実現させることで確立されます。「誰かと比べる」ことや、「他人からどう思われるのか」は関係ないこと。自分が満足のいく状態を知り、それを実現させていくための5ステップを紹介します。
1:自分を知る
「ライフスタイルを考えるきっかけになる一覧」を書き出すと、今の自分が見えてきます。それは、どんな感じですか?
心地よく満足しているのなら、それを継続させることを目指します。「もっとこうなっていきたい」というのであれば、それぞれの項目でどのようになればいいのかを考えてみましょう。
また、満足していても変化を求めていても、自分が何を望んでいるのかということを知っておく必要があります。大切だと思う価値観や、好き嫌い、興味関心や心地よさを感じること。どのようなことがストレスになるのかなど、まずは気持ちのおもむくままに、どんどん書き出してみましょう。自分を知ることが、望むライフスタイルを実現させるための第一歩であり、最も大切なことです。
2:優先順位をつける
次に、優先順位をつけましょう。自分が理想とすることの中には、必要不可欠なこともあれば、あわよくば… という程度のものもあります。また、時間やお金には制限があるものです。自分にとって何が本当に大切なのかを考え、優先順位をつけましょう。
3:目標設定をする
優先順位を設定したら、次に目標を設定します。
ライフスタイルは、「自分がどのような人生を送りたいのか」ということ。長期戦略で、どのようなスキルや経験などのリソース(資源)が必要なのか。それを手に入れるためにはどうするのかを考えます。
4:行動計画を立てる
理想のライフスタイルを確立するために必要なものがわかったら、いつまでにどのようなステップを踏むのかという行動計画を立てる必要があります。
ここでのポイントは、計画実行中の経過も、自分が楽しんでいられるような工夫をすること。未来のために今を我慢するというのは、ナンセンス。このプロセスそのものを楽しめることも、理想のライフスタイルにつながります。
5:振り返りと調整
定期的に振り返りをしましょう。やり始めてみたら、当初とは状況や優先順位が変わることはあります。変わったことに気付けず惰性で過ごすのはもったいないこと。「こんな変化があった! 」「こちらの方がよさそう! 」と行動と調整を繰り返すことで、より自分にぴったりのライフスタイルが確立されていきます。
終わりに
理想のライフスタイルは、人それぞれ違うもの。自分にとって幸せを感じられる状態を見つけて、実現に向けて動いて行けるといいですね。
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キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
Twitter:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン