もっぱらの意味は?
もっぱらは、ひとつのことに集中するという意味です。漢字では「専ら」と書き、「専」は「専念」や「専門」といった言葉があるように、それだけに集中するという意味があります。
また、もっぱらは法律などで「主に」「主として」という意味で使われることもあります。
もっぱらの意味について、さらに詳しくみていきましょう。
ひとつのことに集中する様子
もっぱらは、ひとつのことに集中するという意味です。「もっぱら練習に励む」など、そのことだけに専念することを表します。
また、あとに否定形をつけて「まったく」「少しも」という意味で使うこともあります。たとえば、「もっぱら及ばない」は、少しも及ばないという意味です。
「もっぱら〇〇である」というように副詞として使われることが多く、「専らの〇〇」といった形容詞的な使い方をすることもあります。
「主に」という意味もある
もっぱらは、法律などで「主に」「主として」という意味で使われることもあります。裁判の判決などでよくみられる言葉です。
判断基準において、100%ではないものの、それに近い状態であり、大部分を占めるというニュアンスです。具体的に何割という定義はありませんが、およそ8割程度を意味すると考えてよいでしょう。
もっぱら(専ら)が使われる言葉
もっぱら(専ら)を使った言葉に、「専ら派遣」や「専ら物」があります。「専ら派遣」とは、労働者派遣を特定の派遣先に限定することです。専ら派遣は労働者派遣法で原則的に禁止されています。
「専ら物」は正式名称を「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物」といい、リサイクルを主な目的とする廃棄物のことです。具体的には、古紙・金属くず・空きビン類・古繊維の4品目を指します。
もっぱらの例文
もっぱらを使った例文をいくつかご紹介します。例文を通して、もっぱらの理解を深めましょう。
・彼は本社への転勤が決まったというのがもっぱらの噂だ
・休みの日はもっぱら家にいてゲームばかりしている
・最近は、もっぱら仕事をするだけの毎日だ
・もっぱら残業が減らず、遅い帰宅の毎日が続いている
・音楽はもっぱら洋楽を聴いている
・私のもっぱらの趣味は、ホームシアターで映画を鑑賞することだ
・新しくできたレストランは美味しいともっぱらの評判だ
もっぱらの類義語
もっぱらにはよく似た言葉が多く、あわせて覚えておけば語彙力を増やすことができます。もっぱらについて、より深く理解できるでしょう。
主に以下のような言葉があげられます。
・ひたすら
・ひとえに
・脇目も振らず
・一にも二にも
・一心不乱
・粉骨砕身
「一心不乱(いっしんふらん)」は、ひとつのことに心を集中し、ほかのことに注意を奪われない様子という意味です。「粉骨砕身(ふんこつさいしん)」は、力の限りを尽くすという意味があります。
どちらも、もっぱらと同じくひとつのことに集中する様子を表しますが、こちらの2つはより集中度が高い状態といえるでしょう。
そのほかの類義語について、さらに詳しくご紹介します。
ひたすら
ひたすらは、そのことだけに集中するという意味です。漢字では「只管」「一向」と書きますが、どちらも読み方が難しく、ひらがなで書くのが一般的です。
「一筋に」「一途に」という意味もあり、「一途に」の意味で使うときは気持ちのあり方に重点を置いています。
ひたすらの例文をみてみましょう。
・彼は誰とも会話せず、ひたすらに仕事を続けていた
・事態を収拾させるには、ひたすらお詫びを続けるしかなかった
・締め切りの時間が迫り、彼女はひたすらに必要書類を揃えていた
ひとえに
ひとえは、ただそのことだけをするという意味で、もっぱらの類義語です。ほかに 原因や理由などが、それだけに尽きるという意味もあります。対象が理由を表す場合は感謝の気持ちで使うことが多く、原因の場合は謝罪の意味で使うのが一般的です。
たとえば、「今回の仕事が成功に終わったのは、ひとえに〇〇さんのおかげです」という例文は感謝を伝えており、「今回の件は、ひとえに私どもの責任です」という例文では謝罪を表しています。
もっぱらの類義語としては、「御贔屓のほど、ひとえにお願い申し上げます」というように使います。
ひとえは漢字で「偏に」と書き、「一重に」ではないため注意しましょう。
脇目も振らず
脇目も振らず(わきめもふらず)は、その物事以外に目や心を向けないで専心するという意味です。脇に目を向けず、よそ見をしないことを語源としています。
似た表現に「脇目も振れず」がありますが、何らかの外的要因で脇目も振れない状態を表します。自分の意思で集中している「脇目を振らず」とは異なるため、使うときは注意しましょう。
脇目も振らずの例文は、以下のとおりです。
・学生時代から、彼は脇目も振らず研究に没頭していた
・彼は仕事が終わると、いつも脇目も振らずに家に帰る
一にも二にも
一にも二にも(いちにもににも)は、ほかのことを考えず、まずそのことだけを考える様子を表しています。「一」と「二」は順序を表し、2番めにほかのものはなく、ただそれだけというのが語源です。
一にも二にもの例文をみてみましょう。
・会議の時間が迫っており、一にも二にも資料の作成が必要だ
・試合に勝つためには、一にも二にも練習をしなければならない
もっぱらは例文を見て覚えよう
もっぱらの意味は2通りあるため、違いを理解しておきましょう。ひとつのことに集中するという意味と、「主に」「主として」という意味があり、後者は法律の場面でよく使われます。
もっぱらには「ひたすら」や「脇目も振らず」など類義語も多く、一緒に覚えれば語彙を増やして表現を豊かにできます。例文も参考に、もっぱらの意味を正しく覚えましょう。