働く私たちのひとり時間【既婚・子なし編】
暮らし方や働き方によって、時間の使い方は大きく変わってくるもの。それぞれのライフスタイルの中で、“ひとり時間”は、どのような価値を持つのでしょうか。今回は、ライフスタイルブランド「HAA(ハー)」の代表取締役を務める、池田佳乃子さんにお話を伺います。
▲池田佳乃子さん(34歳・夫とふたり暮らし)
いけだ・かのこ/映画会社、広告代理店を経て’18年に独立。地元別府の湯治宿・鉄輪温泉のPR活動を開始。’21年、深呼吸をテーマにしたライフスタイルブランド「HAA(ハー)」を立ち上げる。
池田さんのひとり時間|夫婦の時間とひとりの時間のメリハリを
東京と大分の2拠点生活。別府の湯治文化は究極のひとり時間
東京の広告代理店では毎日深夜まで働いていた池田さん。
「その時代から地方創生の仕事に携わっていたのですが、結婚後、自宅兼夫の建築事務所で私の故郷・別府の雑貨を販売しているうちに、地元への思いがより強くなり…。『大分でやりたい仕事があるんだったら、思いきって住んじゃえば?』という夫の後押しを受けて、独立を決意。東京と大分の2拠点生活がスタートしました。
▲池田さんが手掛けた入浴剤
別府の湯治文化は本当にすばらしくて! 温泉は何もまとわず裸で自然を感じる“究極のひとり時間”だと思っています。場所によって温度や香りがまったく違うので、毎日入っているうちに『今日は熱いな』とか五感が研ぎ澄まされていくんです。
ブランドを運営していると、他社製品を見て『売れていてすごいな』と落ち込むことも。でも温泉でひとり、お湯に触れる時間をとおして、『私は、この“は〜”とひと息つける感覚を商品にして届けたい!』と、改めてビジョンが明確になります」
それぞれの仕事や生活リズムを尊重
東京でのひとり時間はリサーチ、読書などインプットが中心。
「場所によって過ごし方を変えることで、メンタルが安定し、仕事のパフォーマンスも上がりました。夫とは生活リズムも価値観もまったく違うので、この生活はとても快適。月2週間だけの夫婦の時間を、より大切にできます。
この先子供が生まれたら、そのときに合ったスタイルに変えていこうとは思っていますが、ひとり時間もできるだけ確保できるよう、工夫したいです」
ある日のスケジュール
〈東京で仕事をする日〉
「今年から、事業の海外展開を始める」という夢のため、毎日2時間英語を勉強中。午後はリサーチ後、カフェに移動してデスクワーク。東京でのひとり時間はこの前後に確保。
東京の自宅では夫と同じテーブルで仕事。
〈大分で仕事をする日〉
大分では温泉つきのシェアハウスに居住。夕食後は趣味のウクレレに没頭。22:30には就寝。
▲温泉は1日3回入るのがマイルール
「小鳥のさえずりなど自然の音に敏感になるので、東京と比べずいぶん早くに目が覚めます。大分では基本的に終日ひとりですが、特に大事にしているのは1日3回の温泉タイム。朝と昼は、さっと浸かる程度。ちょっとしたコーヒーブレイク感覚で自宅や近所の共同浴場に出向き、気分転換しています」。
ひとり時間のMy ルーティン
どこにいても毎日1時間は運動の時間を確保
ボルダリングのほか、テニスや、ジム、自宅での筋トレも定番メニュー。夏はサーフィンに行くことも。
「体を動かすことで頭がスッキリし、新たな仕事のアイディアにつながります」。
別府にいるときは、夫との毎晩5分間のビデオ通話が習慣に
就寝前に、その日の出来事をお互いに報告。
「東京の自宅兼事務所には近所の子供たちがよく遊びに来るので、夫からその子たちの近況を聞くのが毎日の楽しみです」
2023年Oggi4月号「今、ひとり時間は『さみしい』んじゃなくて『かっこいい』」
撮影/深山徳幸 構成/佐々木 恵・酒井亜希子・吉田 梓(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部