今後ますます、政治は“他人ごと”でいられない時代に
育児、仕事、コロナ禍… 突きつけられる現実
Oggi読者のみなさんが抱いている将来の不安には、共感しかありません!
私は以前NHKに勤めていましたが、当時のお給料は手取りで20万円程度。20歳くらいのときは子供が6人欲しいと考えていましたが、「このお給料で子供たちを育てるのは無理だ」と現実を突きつけられました。
育児と仕事を両立できないと言って辞めていく先輩も見てきましたし、子育てをしにくい社会も問題ですよね。
また、ゲームやマンガなどひとりで楽しめる趣味が増えた一方で、人とのコミュニケーションが減っていて、孤独を感じやすいこともコロナ禍で浮き彫りになりました。
恋愛すらマッチングアプリで「いいね!」を押して、知らない人とゼロからコミュニケーションをとるのって… しんどいです。
ひとりの意見でも政治を動かせるかもしれない
今後、物価高や円安などで経済が停滞し、生活が厳しくなればなるほど、私たち自身や家族が行政に頼ることも増えてくるでしょう。
それは決して悪いことじゃない。そうなったとき、政治は“教養として知っておいたほうがいいこと”ではなく、もっと差し迫った“自分ごと”になります。
以前、「保育園落ちた日本死ね!!!」と書き込まれた匿名ブログをきっかけに待機児童問題が注目を集め、国会で議論されたことがありました。ひとりの意見でも政治を動かせるかもしれないのです。
SNSで発信するほか、自分の選挙区の政治家なら意外なほど簡単に会って話ができますし、常にネタを探している新聞の地方版や地元紙といったメディアに問題提起をするという手もあります。
どんな社会がいいのか、もっとみんなで話したい
海外から日本を見つめ、あるべき姿を探る
実は昨年末にヨーロッパとの二拠点生活を始め、“主権者教育”について取材しています。
たとえばスウェーデンでは、子供たちが話し合いや投票で、校庭の遊具を決めたり校則を変えたりしています。
大人と対等に話せる文化があって、「自分の行動で何かを変える」という成功体験を幼いうちからたくさん積んでいる。実際の選挙の投票率も8割超! と驚くほど高いんですよ。
今の日本では、政治思想が異なる人同士が、建設的な対話をしているところをあまり見ません。でも30年後には、だれもが想像力を働かせて他者の立場を理解し合える、分断のない世の中になっていてほしい。
そのためにも意見を伝えることは大切。ひとりが百歩進むより、百人がそれぞれ一歩進むほうが社会は確実に変わっていくはずです。
2022年Oggi10月号「私たちの未来予想図2022」より
取材・文/森本恵子 構成/スタッフ・オン
再構成/Oggi.jp編集部
たかまつなな
’93年生まれ。小学4年生のときに社会問題に興味をもち、政治を身近に伝えられる手段としてお笑い芸人となる。その後、株式会社「笑下村塾」を設立し、全国の学校で主権者教育の出張授業を行う。政治や教育現場などを取材し、社会問題をわかりやすく伝える活動も。