たとえ落ち込むことがあっても現役時代に染み付いたメンタルコントロール力で乗り越えられる
力丸:これからどのように仕事をしていきたいか、考えることはある?
森脇:まだ型にハマっていない新しい会社で、アイディアをいろいろ出すことを期待されていて。入った時は「こんなんどうですか?」と思いつくままに言っていたけど、それを実現させることはとても難しい。だから、今はもうちょっとやれる自信を持ってから言おうと思っているよ。これからはねー、上司の○○さんみたいになりたいです!
力丸:えっ、個人名(笑)!
森脇:ははは! 在団中からずっとお世話になっている、生徒からもとっても慕われている方。その方のように、仕事じゃないところでもサポートしたりちょっとした頼み事に応えたり、周りを助けられる人になりたい。私はまだ自分の業務に追われていて慌ただしいから、公演が終わるまでの長いスパンの中でちょっとした細かい動きも取りこぼさず、みんなの思いを汲んで仕事に携わりたいかな。
退団同期の望海(風斗、のぞみ・ふうと)さんや真彩(希帆、まあや・きほ さん)と何ヶ月おきかにオンラインで会っているんですが、いつも応援してくれてる。退団同期には、仕事で携わった舞台(『アプローズ』)に出ていただいた彩凪(翔、あやなぎ・しょう)さんや笙乃(茅桜、しょうの・ちお)さんもいるから不思議な感じだよ。莉帆ちゃんは?
力丸:「石の上にも3年」ということわざがあるように、なにかをやる時は3年は続けないと意味がないと思っているの。今年社会人3年目で、小さい目標だけどそれは達成できたかな。これからはもっと自発的に仕事を進められるようになりたい。なにか資格を取りたいな。お給料に関係してくるし、転職を考えた時にも有利になるから。
森脇:応援してる。私たちは高卒でありがたく今の会社に入れたけれど、莉帆ちゃんは大学に行こうとは思わなかったん?
力丸:大学じゃなくて、実務で経験を埋めたいと思ったんだよね。ゆっちんはずっと留学したいって言ってたもんね?
森脇:いまだに、コロナじゃなかったら… と思う時がある。エジプトやトルコの歴史が好きだから、そういう方面にも興味があるよ。
力丸:その向学心がすごいよ。
森脇:具体的な目標を言うと、シリーズ化ができるような舞台を作りたいな。在団生が「OGさんがやってるこの公演、いいな」って思ってもらえるような舞台。劇団の中の人から憧れられて、劇団外の人から宝塚歌劇団を知ってもらうきっかけになる、ちょうど真ん中地点にあるようなシリーズを考えたい。
力丸:OGさんで脚本を書いてくれたり、音楽を担当してくれたりする方もいそうだよね。ゆっちんが会社員になってくれて、この立場ならではの悩みを相談できる同期がいるのは心強いよ。
森脇:この年齢でセカンドキャリアを始めている人はタカラジェンヌくらいしかいないと思う。わからないことがあっても周りに聞きにくいし、今まで見てきた世界も違って、なかなか難しいところが多いよね。
力丸:うん、「こんなこともわからないの?」って思われたらどうしよう、とか。
森脇:「テヘッ」って言いながら聞く。「すみません、これ初めて聞いたんですけどなんですか?」って。2年後とかにそれをやっていたらダメやけどなぁ。
力丸:あ、ひとつ悔しいことを思い出した。会社に入りたての頃にお会いした、年齢がずっと上の方たちに、「畑違いでよくこの仕事に就いたね。わからないでしょ? そういう時は笑っておけばいいんだから」って言われたの。その時は本当に悔しくて、「早くいろいろわかるようになりたい」って思った。今でも言われることがあるけど、今はもう少し余裕のある受け止め方ができるようになったよ。でも「いつか見返したい!」という気持ちはある。
森脇:ハングリー精神はあるやん、私たち。
力丸:みんな負けず嫌いだよね。
森脇:滅多に泣かないんだけど、ある夜に1回悔し泣きしたん。でも朝はケロッと。立ち直りは早いなぁ。現役時代、自分ではどうにもできないことやうまくいかなかったりすることはたくさんあったけど、それで立ち止まっていても初日は待ってくれないから。止まらず、「よし、なんとかするぞ」みたいな立て直し方は身に染み付いているやんな。
力丸:うん、それはとてもありがたいよね。落ち込んだままではいられない。メンタルコントロールができるよね。
元男役としての雰囲気作りは今でも!? 元タカラジェンヌあるあるや現役時代の裏話
力丸:せっかくの同期対談だから、現役時代の裏話も披露しちゃいましょうか。
森脇:莉帆ちゃん、北九州出身やん?(音楽学校の)本科生の時は九州四国勢が多くて九州弁すごかったな。
力丸:いまだに出る時あるよ。ゆっちんもね…(笑)
森脇:私は大阪弁が抜けなくて、スカイステージの収録時には毎回迷惑をかけていました。MCが全部止められるねん(笑) 莉帆ちゃんの「電気つけっぱなしやったけぇー」っていう九州弁がほっこりしていてかわいくて、予科の時はいつもマネしてた。予科生の頃は毎日のように鍋をしてたよね? 寮に帰って、着替えるかお風呂に入るかしてから部屋に集まり、買い出しに行く人、準備する人、野菜を洗う人、切る人… ってチームに分かれて。お鍋がひとつじゃ足りないからいくつか使うと、電気が消えちゃって(笑)
力丸:古い寮だからすぐブレーカーが落ちるんだよね。あの頃は食べることがストレス解消だった。私は今より10kgくらい体重が多くて、ゆっちんに「どうしよう、破裂するー」って泣いて相談していたよね。食べなきゃいいのに。
森脇:寮でいきなり、うえぇぇぇーって泣き出して。「どした、どした?」って聞いたら「莉帆、もう太りすぎて破裂する」ってなぁ。めっちゃ真剣に泣いているからこっちは笑いが止まらなくて(笑)
力丸:今考えたら本当にどうでもいいことを、当時は真剣に悩んでいたよ。元男役あるあるとかある? 私は、仕事中に無意識に足を開いていること。
森脇:それあるね! 私は先日、普通に歩いていたら会社の人に「歩き方が男役やな」って言われた。あと、関連会社の女性社員さんと話す時にちょっと声が低くなっちゃう。
力丸:あはは! やらしー! それはあるあるじゃないよ(笑)
森脇:みなさんかわいくて、なんか変なスイッチが入っちゃうのかな。どうしても男役に戻っちゃう。真地佑果は声が低くてカッコいい人ではなかったけど、ちょっと演出したくなっちゃうのかな(笑)
力丸:かわいい人を見るのは好きだよね。
森脇:タカラヅカの娘役さんはいつもかわいくいてくれて、男役のモチベーションを上げてくれる存在。男役として、娘役さんがキレイに見えるようにありたいと精進してきたから、雰囲気作りがクセになっているというか。
力丸:うんうん、男役の時はスマートなエスコートを心がけていたので、今はついつい男性を見る目が厳しくなっているかも。「ここをもうちょっとこうしてくれたら、もっと素敵に見えるのに」って。あとは、男役だからというわけではないけど、リアクションが大きいかな。
森脇:あるね! 声が大きいのもある。この前、会社の女性社員に「森脇さんと直接話したことはないのですが、今日森脇さんの挨拶の声が上の階にまで聞こえてきていいなぁと思いました」と言われたので、大きな声の挨拶を続けようと思います(笑)
「(タカラヅカの)同期で、同じ会社員として話せる人がなかなかいなかったから、ゆっちんがそうなってくれてうれしかった」という力丸さん。社会人・会社員としての悩みや葛藤など、同じ立場だからこそ分かり合えることが多くあるのだそう。タカラジェンヌでいる期間より圧倒的に長く続く、退団後の人生。現役時代と同様、様々な道で輝き続けてほしいです。
撮影/黒石あみ 構成・文/淡路裕子
\森脇さんが携わっている舞台はこちら!/
シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート『Dramatic City “夢”』
【作品紹介】
シアター・ドラマシティは、1992年大阪・梅田茶屋町に最先端技術を駆使した劇場として誕生。同年12月には初の宝塚歌劇公演となる「TAKARAZUKA夢」を上演し、以来大阪の文化発信地として、宝塚歌劇をはじめとした様々なエンタテインメントを世に送り出してきました。開場30周年を記念し、同劇場に所縁の深い宝塚歌劇OGをお迎えして、懐かしの楽曲から定番のナンバーまでバラエティ豊かに盛り込んだスペシャルなコンサートを開催いたします。
【キャスト】
麻路さき 稔 幸 和央ようか 風花 舞 大鳥れい 北翔海莉 愛月ひかる
羽純るい 夢妃杏瑠 星吹彩翔 彩月つくし
【公演日程】
<東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)公演>
9月9日(金) 14:00開演/18:00開演★
9月10日(土) 14:00開演
<梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演>
9月16日(金) 14:00開演/18:00開演★
9月17日(土) 13:00開演/貸切公演
9月18日(日) 13:00開演
★=SPECIAL AFTER TALK SHOW!
登壇者:麻路さき、稔 幸、和央ようか、風花 舞、大鳥れい、北翔海莉、愛月ひかる
(司会)羽純るい
【チケット】
<東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)公演>
一般発売日:2022年7月30日(土)
座席料金:S席 11,500円/A席 7,000円
お問い合わせ:梅田芸術劇場 TEL.0570-077-039(10:00~18:00)
<梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演>
一般発売日:2022年7月30日(土)
座席料金:全席 11,500円
お問い合わせ:梅田芸術劇場 TEL.06-6377-3888(10:00~18:00)
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