【32歳・仕事打ち切りの恐怖に負けて不倫をしたケース】
麻衣子さん(仮名)は、20代後半でフリーランス広報として独立。最初のうちは仕事に恵まれたものの独立後1年も経つとだんだんと仕事が減り、先行きに不安を抱え始めたのだそう。そんなとき、会社を経営する早川さん(仮名)と出会い、早川さんの会社の広報を任されたことがきっかけで不倫へと足を踏み入れ…。
「仕事がなくなったらフリーランスは生きていけないので、早川さんの会社が月額で契約をしてくれたのはとてもありがたかったです。でも契約から1ヶ月もしないうちに、早川さんからプライベートな付き合いにも誘われるように…。
最初のうちは断っていたのですが『食事くらいいいじゃん』『一緒に仕事をするなら、もっとお互いを知り合わないと』などと言われて、押しに負けてお供するようになりました。
早川さんは既婚者ですが、容姿のかっこよさから社の女性社員たちからは人気がありました。私も食事くらいならいいかと思い、徐々に一緒にいる時間が増えていきました」
ふたりで食事をする仲になった数週間後、麻衣子さんは早川さんから突然ホテルに誘われたのだそう。流石に体の関係を持つのは… と最初は断ったものの、強引な早川さんに根負けして一夜を共にしてしまったと言います。
「そのときも早川さんは強引で『君のために高級フロアを予約したのに』と怒り始めたので、関係を切られたくない一心で着いて行ってしまったんです…」
「仕事のため」と割り切って不倫… しかし心はどんどんズタボロに
強引な早川さんに流される形で、不倫関係になってしまった麻衣子さん。当初は『彼に気に入られていたほうが仕事もやりやすいし…』とプラスに考えるようにしていたそうですが、半年も経つと心がだんだんと崩れていくのが自分でもわかったと話します。
「不倫なんてやっぱりダメだと思ったのですが、“仕事のため”と関係を続けていました。早川さんのことは尊敬はしていましたが、好きという感情もそこまでなかったような気がします。
しかし、早川さんは私によく『愛している』と言ってきて、私もそれに合わせて好意があるフリをしていました。彼は家庭がある人ですから、おそらくその場の気分で口にしていただけだと思うのですが… すごく虚しい関係性でしたね」
自分がしていることに後ろめたさを感じるようになった麻衣子さんはどんどん心のバランスを崩していき、「このままでは自分がダメになる」と思い、早川さんに本心をぶつけることを決意しました。
別れ話に激怒した不倫相手は私情を仕事に持ち込み…
「精神的に限界を感じ、“これ以上、私的な関係を続けたくない”と私から早川さんに告げ、関係を終えようとしました。ところが彼は私からの別れ話に激怒してしまって。
その日の話し合いでは最終的に『不倫関係は終える。でも仕事にはお互い私情を持ち込まず、今まで通りに働く』ということで決着がついてホッとしていました。ですが、その後すぐに私は裏切られてしまったのです」
別れ話をした月末、まだ契約期間が残っていたにもかかわらず早川さんの会社から契約終了の通知を受けることになったと麻衣子さんは話します。
「会社の担当者に問い合わせしましたが、“社長の意向で…、予算もなく…”という曖昧な返事しかもらえませんでした。そして結局私は、不倫を清算すると同時にメインだった仕事も失うことになりました」
仕事を失いたくない一心で不倫をしていた麻衣子さんは、その後しばらくのあいだは立ち直ることができなかったとのこと。
「当時は仕事のためにしていたことですが、実際には自分を壊してまで犠牲を払った代償のほうが大きすぎました。あのとき、社長が夜の誘いをしてくるような会社にはさっさと見切りをつけて、新しく取引先を探すべきだったんだと思います。でも当時の私は視野も狭く、とにかく仕事が切れるのが怖かったんですよね。
友人たちは『悪いのは早川さんだよ』と慰めてくれます。私も早川さんに対しては穏やかな感情なんて生まれてこなくて、今でも思い出すと不快感しかありません。これからもし同じような境遇になってしまう人がいたら、私のようになってもらいたくないので、そういう誘いには応じることなく正しい対処をしてもらいたいですね。イヤイヤながら不倫なんてしても、結局はマイナスの感情や結果しか残りませんから…」
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並木まき
ライター・時短美容家。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。