この記事のサマリー
・「発足」の読み方は、「ほっそく」もしくは「はっそく」です。
・意味は大きく2つあり、「出発すること」と「活動を始めること」。現代では後者の用法が主流。
・「設立」は制度的・法的に組織をつくること、「創立」は「初めての立ち上げ」を指します。
「発足」という言葉は、ニュースやビジネスの場で耳にする機会が多いものの、正しい意味や読み方に迷う人が少なくありません。「設立」や「創立」との違いもいざ聞かれると答えにくいものですよね。
そこで、本記事では、「発足」の正しい意味や読み方をわかりやすく整理しつつ、設立・創立との違いからよくある疑問まで丁寧に解説します。
「発足」とは? 読み方と意味の基礎知識
まずは「発足」の読み方と意味から整理していきましょう。
「発足」の読み方
「発足」は「ほっそく」または「はっそく」と読みます。現代では、「ほっそく」と読まれることが多いでしょう。
「発足」の意味
「発足」は大きく2つの意味を持ちます。1つ目は「旅立つこと、出発すること」。2つ目は「活動を始めること」。
現代では「新政権が発足する」「委員会を発足させる」といった、組織や活動が始まる場面での用法が一般的です。つまり、何かが「動き出す瞬間」を表す言葉だと覚えておくと理解しやすいでしょう。
辞書には次のように説明されています。
ほっ‐そく【発足】
[名](スル)
1 組織や機構などが設けられ、活動を始めること。はっそく。「米価審議会が―する」
2 出発すること。はっそく。
「力無く故土(こど)に向けて―する」〈太宰・竹青〉
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「発足」の英語表現
英語で「発足する」と表現したい場合には、“bigin”、“make a start”、“be inaugurated”などが使えるでしょう。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「発足」の使い方と例文集
実際にメールや会話で「発足」をどう使えばいいのでしょうか? ここでは、シーン別の例文を紹介します。
ビジネスでの例文
ビジネスの現場では、組織やプロジェクトが新しく動き出す場面で「発足」を用います。「発足」は文章語ですから、特に社内外に知らせるメールや資料などで使用することが多いでしょう。
「新規事業推進部が発足しました」
「4月からプロジェクトチームを発足いたします」
「委員会発足のお知らせを関係部署に共有します」
これらの例文は「活動の開始」を表します。
挨拶やスピーチでの例文
「発足式」や「発足会」といったフォーマルな場でも活用されます。式典や会合での挨拶文に加えると、場の趣旨を的確に表現できます。
「本日、○○研究会の発足を迎えられたことを大変うれしく思います」
「新組織発足にあたり、皆さまと共に力を尽くしてまいります」
「この会の発足を機に、地域の発展に貢献できれば幸いです」

「発足」と似た言葉との違い|設立・創立
「発足」と似た意味を持つ言葉に、「設立」と「創立」があります。ここでは、意味の違いを整理しておきましょう。
「発足」と「設立」の違い
「設立」は、会社や団体などの組織や施設、制度を新しく設けることを指します。辞書では次のように説明されています。
せつ‐りつ【設立】
[名](スル)組織・施設・制度などを新しくつくること。「財団を―する」「―者」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「発足」は、「組織や機構などが設けられ、活動を始めること」を意味します。例えば「会社を設立する」とは法人格を持つ会社を法的に立ち上げることを指し、「会社が発足する」とはその会社が活動を開始することを表すのです。
「発足」と「創立」の違い
「創立」は、学校や会社などを「初めてつくること」を意味します。辞書では次のように説明されていますよ。
そう‐りつ〔サウ‐〕【創立】
[名](スル)組織や機関を初めてつくること。創設。「会社を―する」「―記念日」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「発足」は、必ずしも「初めて」ではなく、既存の仕組みの中で新しい活動を始める場面にも使えます。
例えば「大学が創立される」はその大学そのものの誕生を指し、「大学に新しい学部が発足する」は既存の大学の中で新しい組織が動き出す場面を表します。
「発足」の言い換え表現
文章の中で「発足」を繰り返すと硬くなりがちです。言い換えとしては「開始」「スタート」「始動」などが使えます。
「新組織が発足する」→「新組織がスタートする」
「プロジェクトを発足する」→「プロジェクトを始動する」

「発足」に関するFAQ
ここでは、「発足」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「発足」はどう読むのが正しいですか?
A1.「ほっそく」または「はっそく」です。
Q2. 「発足」と「設立」は同じ意味ですか?
A2.「設立」は会社や団体を新しく設けることを指します。一方「発足」は、その組織や活動を始めることを指します。
Q3. 「発足」と「創立」の違いは?
A3. 「創立」は学校や会社などを「初めてつくること」を指します。「発足」は初めてでなくても、既存組織の中で新しい活動を始める場合にも使えます。
最後に
「発足」という言葉は、ニュースやビジネス文書で頻出する一方で、読み方や使い方に迷いやすい表現でもあります。その分、「設立」「創立」との違いを理解しておけば、文章や会話により的確さと知性を加えることができるでしょう。
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