ビジネスの場面で時々耳にする、「公私混同」という言葉。正しい意味は知っていますか? 「公私混同しないように」と注意する時に使われるように、職場で困った行動をとってしまう人に対して使われることも。そこで今回は「公私混同」の意味や使い方、類語、「公私混同」のよくある例を紹介します。
「公私混同」の意味とは?
「公私混同(こうしこんどう)」とは、「公事と私事を区別せず、一緒にしてしまうこと」。社会人には仕事とプライベート、それぞれ求められる役割があります。本来であれば、役割に応じて適切な対応を取らないといけないところを一緒くたにしてしまうのです。
特に「公私混同」の例としてあげられるのが、職場での出来事。例えば、会社の金銭をプライベートなものに使ってしまったり、上司が特定の部下をひいきすること、または、上司と部下が恋愛関係になる社内恋愛などが挙げられます。会話の中では「公私混同しないように」と注意する時に多く使われることから、基本的には、ネガティブな意味を含んだ言葉であると言えるでしょう。
使い方を例文でチェック!
「公私混同」は、普段の生活でどのように使われるのでしょうか? 主な使い方を例文で確認してみましょう。
1:彼は公私混同して、会社の経費で友人と食事に行っていた。
会社の経費を、プライベートでの飲食や遊び代に使ってしまう行為は立派な「公私混同」です。うまくごまかしているつもりでも、レシートの差額が合わないなどの理由で、会社から問いただされることも。内容次第では、厳重注意や給与の減額などの処分を受ける可能性も考えられます。
2:あの政治家は公用車を私的に使っていたようだ。まったく公私混同している。
政治家が公用車や政治活動費をプライベートで使用していたというニュースは、度々耳にしますね。公用車とは、官公庁や地方自治体などの公的機関が業務に使用する自動車のことです。公用車は基本的に市民の税金が使われているため、私的利用が明るみに出た場合は、時に強い非難を受けることになります。
「公私混同」のよくある例
「公私混同」には、ニュースになり罪に問われる重大なものから、ついやってしまいそうな身近なことまで様々なケースがあります。ここでは、日常生活における代表的な「公私混同」の例を3つ紹介します。
1:会社の経費を私的に利用する
ニュースなどでも、会社役員や社員が会社の経費を不正に利用したという話をよく耳にしますね。会社の経費を私的に利用することは、「公私混同」の中でも最もあってはならないことの一つです。例えば、プライベートの飲食代を会社の経費で落としたり、実際には自宅で使うものを「仕事で利用する」としたりした理由で、会社に費用を負担させることなどが挙げられます。
2:職場に関係のないものを持ち込む
仕事に全く関係ないものを職場に持ち込んでくる人はいませんか? 例えば、会社のパソコンで私用のメールを送ったり、仕事と関係のない情報をネットで閲覧していたりする行為も、「公私混同」と言えるでしょう。職場に慣れてくるとついつい無自覚に行ってしまいやすいため、しっかりと気を引き締めたいですね。
3:社内恋愛
社内恋愛も「公私混同」では定番のパターンです。職場という公的な場所に、恋愛という私的な感情を持ち込んでいる点で、「公私混同」と言えるでしょう。仲のいい同僚同士でいい関係になったり、部下が上司のことを好きになるなどが恋愛における「公私混同」のよくある例。私生活での喧嘩やイライラを職場に持ち込んでしまうことも考えられます。
もし社内恋愛をしている場合は、仕事中は業務に集中し、プライベートとしっかりと線引きをする必要があるでしょう。
類語や言い換え表現とは?
「公私混同」の類語や言い換え表現として、「公私混交」「公私混淆」、「情実」「狼藉」などが挙げられます。それぞれの意味をチェックしていきましょう。
1:公私混交・公私混淆
「公私混同」によく似た四字熟語が、「公私混交」と「公私混淆」です。どちらも「こうしこんこう」と読みます。「混交」と「混淆」は、「異なるものが入り混じること。ごちゃごちゃになること」です。「公私混同」のように、仕事とプライベートがごちゃ混ぜになることを表します。
2:情実
「情実(じょうじつ)」とは、「個人的な利害・感情が絡んで、公平な扱いができない関係や状態」のこと。「情実を交える」「情実にとらわれる」などと表現します。仕事の場面において、上司が個人的な感情で部下によってとる態度を変えたり、先生がお気に入りの生徒にだけひいきすることなどが当てはまります。
3:狼藉
「狼藉(ろうぜき)」とは、「無法な荒々しい振る舞い」や「乱暴な行い」のこと。それが転じて、ものが乱雑に散らかっているさまもあらわすようになりました。「公私混同」のように、公と私という意味はありませんが、あらゆるものが混ざった無秩序なさまが類似しています。
英語表現とは?
英語で「公私混同」とは、どのように表現するのでしょうか? 英語においても、日本語と同じように仕事とプライベートを混同するという意味で、「mix private and public matters」「mixing of public and private matters」「public-private confusion」などと表現します。「private」は「個人的な、私的な」、「public」は「公的な、公衆の」という意味です。
例文1・Don’t mix up public and private matters.(公私混同してはいけない)
例文2・It’s a public-private confusion to spend company money.(会社の金を使うなんて公私混同だよ)
例文3・You should separate work and private life.(あなたは仕事とプライベートを分けるべきだ)
最後に
仕事とプライベートを混ぜて考えてしまう「公私混同」。ほんの少しの気の緩みが、重大なトラブルに発展してしまう可能性もゼロではありません。仕事とそれ以外の趣味や家族との時間などはきっちりと分けて、社会人としての役割を果たすように心がけましょう。
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