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この記事のサマリー
・「胆力」は、恐れず動じない精神力を表す言葉です。
・「胆力」の類語には、「度胸」や「肝っ玉」があります。
・英語では“courage”が近く、信念を貫く姿勢を示せます。
大事なプレゼンでハラハラしたり、予期せぬトラブルに頭が真っ白になったりすることって、ありますよね。そんなとき、「動じない精神力があればいいのに」と思います。この記事では、そんなときに気になる「胆力」 という言葉について、意味や使い方、そしてどうすれば身につけられるのかを解説します。
この知識が、あなたの日常やビジネスシーンで役立つことを願っています。
「胆力」とは? 意味と読み方を確認
まずは、「胆力」の意味から確認していきましょう。
「胆力」の読み方と意味
「胆力」は「たんりょく」と読みます。辞書には以下のように記されています。
たん‐りょく【胆力】
事にあたって、恐れたり、尻ごみしたりしない精神力。ものに動じない気力。きもったま。「―を練る」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「胆力」とは、どんな状況でも動じず、冷静さを保って物事を判断・実行できる精神的な力のことです。困難な状況を乗り越えるための、芯のある強さを指します。
「胆」に秘められた意味
「胆」は、もともと体の臓器である「肝臓」を指します。「胆」について、辞書では次のように説明されていますよ。
たん【胆】
1 肝臓。きも。
2 からだの中で、勇気や度胸の生じるもとと思われているところ。きもったま。
「世に骨無き人は多く―有る人は稀なれば」〈露伴・風流魔〉
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
この「胆」は勇気や気力を司るものとされてきました。

「胆力」の使い方と例文
言葉は意味を理解するだけでなく、実際に使えるようになると、より身近なものになります。ビジネスや自己啓発の場面で「胆力」という言葉をよく使いますが、日常の会話の中でも取り入れることができますよ。
ここでは、代表的な使い方と例文を紹介します。
「胆力を養う/練る」
「胆力」は、「養う」や「練る」といった動詞と組み合わせて使うことが多い言葉です。精神的な強さを身につけるための努力を表す際に使用します。
例文:
「若手社員には、さまざまな経験を積んで胆力を養ってほしい」
「失敗を恐れずに挑戦し、胆力を練ることが大切だ」
「胆力がある人」
「胆力がある人」とは、予期せぬ事態が起きても慌てず、冷静に判断できる人を指します。ビジネスの会議やスポーツの試合など、プレッシャーのかかる場面でも落ち着いて行動できる人がいたら、当てはまります。
例文:
「急なトラブルにも動じず、彼は胆力のあるリーダーだと感じた」
「胆力のある同僚は、大きなプレッシャーの中でも落ち着いてプレゼンを成功させた」

「胆力」を会話で使う
「胆力」は文章の中で使われることが多いですが、相手を励ましたい場面でも使うことができますよ。
会話例
A:「大きな商談、うまくいくか不安です…」
B:「大丈夫、これまでの経験で十分胆力はついていますよ」
「胆力」の類語・言い換え表現との違い
「胆力」は精神的な強さを表す言葉ですが、似た表現に「度胸」や「気骨」などがあります。どれも近い意味を持ちながら、微妙に意味が異なります。ここで整理しておくと、使い分けに迷う場面でも安心ですね。
「度胸(どきょう)」
「度胸」は、物事に動じない心を表す最も一般的な表現で、挑戦的な行動や思い切りのよさを示す言葉です。「胆力」はどちらかというと硬い表現ですが、「度胸」は一般に広く使われていますね。
例文:「初めてのプレゼンにも堂々と挑むとは、なかなか度胸がある」
「肝っ玉(きもったま)」
「肝っ玉」も、物事に動じない精神力を表します。「胆力」は文章表現にも馴染みますが、「肝っ玉」は俗語的表現だといえるでしょう。
例文:「恫喝されても動じないなんて、肝っ玉が大きい」
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
「胆力」を養う方法
「胆力」は、生まれつきの資質ではなく、日々の経験を通して育まれるものです。普段の生活に工夫を取り入れることで、動じない心を鍛えることができますよ。ここでは、実生活で実践しやすい方法をいくつか紹介します。
知識と経験を積む
視野を広げ、さまざまな経験を積むことは、胆力を養うための近道です。新しい知識を吸収したり、多様な人と関わることで、予期せぬ状況にも対応できる判断力が培われます。
思いがけないトラブルに直面したとしても、ありとあらゆる経験を積むことで、慌てずに適切な行動が取れるようになりますよ。
小さな挑戦を積み重ねる
いきなり大きな壁に挑むのではなく、日常の小さなハードルを一つ一つクリアしていくことも大切です。例えば、人前で短いスピーチをしてみたり、慣れない仕事にあえて挑戦してみたりするのもいいでしょう。
少しずつ成功体験を重ねることで「自分にはできる」という自信が芽生え、結果として胆力を鍛えることにつながります。

「胆力」の英語表現
ビジネスや国際的な場面で「胆力」を英語に置き換えるとき、どの表現が適切なのでしょうか? 英語には勇気や度胸を示す語が複数あり、それぞれ意味が少し異なります。ここでは代表的な表現と使い方を紹介します。
“courage”
“courage” は、困難や危険に直面しても恐れずに立ち向かう精神的な強さを意味します。「胆力」に最も近い表現といえるでしょう。
例文
“He had the courage to live according to his own beliefs. ”
(彼は自分の信念に従って生き抜く胆力を持っていた。)
さらに、“courage” を使った慣用句を知っておくと、国際的な場面でも表現の幅が広がります。
例文
“have the courage of one’s convictions”
(自分の信念に基づいて行動する)
“ take one’s courage in both hands”
(思い切って挑戦する)
“bravery”
“bravery” は、危険を顧みずに行動する勇敢さの意味です。戦場や競技など、行動に表れる勇気を語るときに用います。
例文
“The firefighter showed great bravery in saving the child.”
(その消防士は子どもを救出する際に大きな勇敢さを示した。)
参考:『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)
「胆力」に関するFAQ
ここでは、「胆力」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q. 「胆力」と「度胸」は同じ意味ですか?
A. 「物事に動じない心」という意味で共通しています。
「度胸」は一般に広く使われ、「胆力」は文章で使われることの多い硬い表現です。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
最後に
「胆力」とは、恐れや動揺に左右されず、物事に冷静に向き合う精神力を指す言葉です。現代のビジネスシーンでも、重宝される力だといえるでしょう。この記事を一つの参考に、胆力を養ってみてはいかがでしょうか。
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