採卵後に後悔に襲われた夫、その理由は…【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、採卵後に移植のスケジュールが後ろ倒しになった理由の話をお届けしました。今回は、顕微授精ができないと知った夫が落ち込んでしまったお話。
請求額に驚きつつも前向きな私、一方夫は…
採卵、採精を無事に終えた私たち夫婦は、その後、診察室で医師から結果や今後の流れの説明を聞きました。診察室を出て、引き続き採卵9個と過去最高の元気な精子の結果に浮足立つ私。採卵当日は、フロモックスという抗生物質の薬も処方されました。
診察を終えて、お会計。見積もりの時点でわかってはいたけれど、いざ本当に30万を超える請求を目の当たりにすると、腰を抜かしそうになりました。普通に妊娠できればかからないお金が、どんどん出ていく。
でも不安や切なさはもう吹き飛んでいました。クレジットカードのポイント貯めて、また旅行でも行こう! となるべく前向きに自分を奮い立たせ、あとは卵子と精子の生きる力を信じていくしかない。
そして私は、病院のロビーでスマホを見ながら待っている夫のもとへ向かいました。
私「いやぁ、今までの不妊治療で、今日が一番高額だったわ~。結果がついてきたから、なんかもうお金どうでもよくなっちゃったけどさ。ホントよかったよね」
と、話しかけて、ここでやっと夫がものすごく凹んでいることに気がついたのです。
夫の誤算。後悔に押しつぶされそうになる…
夫「まさか顕微ができないなんて思わなかったよ…」
私「え? 顕微授精? まぁ、でも精子も今までで一番いい状態だったし! ふりかけ法の体外受精で大丈夫じゃない? お肉食べに行こうよ」
夫「よくないよ。キミがあんなに苦労して採卵したのに…」
私が採卵周期の体験談をネットやSNSで読み漁っていたように、夫も精索静脈瘤の手術をした人たちの発信する情報や体外受精にステップアップした男性側の話を自分でかなり調べていたようです。
そのなかで、「精子に問題があったので顕微授精をしました!」という人たちの話を参考に、自分も追加費用を支払ってでも顕微授精の方法を選ぼうと思っていたようで…。
体外受精のステップに入ってから、基本的に全部医師にお任せしていくつもりだったこともあり、実はここの受精方法については夫婦間でもほとんど話し合いをしていませんでした。なので、病院を出たあとも、ウキウキする私とドンヨリする夫。夫婦間での温度差がすごかったです。
採卵後、すき焼きを食べながら頭を抱える夫
朝ごはん食べていないし、採卵でたくさん緊張や怖い思いをしたし、ものすごくおなかが空いていた私は、お気に入りのすき焼き屋さんでランチをすることに。
メニューを選んでいる時も、ご飯を食べている時も、夫はずーっとスマホを見ながら半泣き状態…。
私「元気だしてよ…」
夫「見てよ、ここのクリニックはさ、お金さえ払えば患者がふりかけにするか顕微にするか選べる。こっちの病院は半分ふりかけ、半分顕微とかって、患者の希望で割合を調整することもできるみたいだよ。あ~病院選びを間違えた~!! わーん!!」
私「そんな風に思わないよ。私は。昨日の夜も眠れなくていろいろ考えていたんだけど、ちゃんと男性不妊の治療をしてから体外受精できてよかったと思っているよ。今日、一番大事な日に、精子が過去最高記録のスコアって、よかったじゃん。ガッカリするところじゃないって…」
夫「そういう問題じゃないんだよ。僕のアベレージでいけば、普通に顕微させられるレベルだったのに。男性不妊の場合は顕微してる人、多いんだよ」
私「…」
私としては、やりきった! という達成感のほうが強かったのですが、顕微授精をするつもりでいた夫は、病院の規定でいきなりできなくなったことのショックがとても大きかったようです。
すき焼きを食べながら、夫の熱弁は続きますが、それはまた次回。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。