【目次】
・「丁々発止」とは?
・「丁々発止」と喧々諤々の違いとは?
・「丁々発止」の使い方を例文でチェック
・「丁々発止」の類語にはどのようなものがある?
・最後に
「丁々発止」とは?
「丁々発止」という言葉を知っていますか? あまり馴染みのない言葉ですが、ビジネス会議や政治の場面などで使われる四字熟語です。今回は「丁々発止」の意味や語源、類語などを紹介します。正しい意味を覚えて語彙力アップを目指しましょう。
「丁々発止」の読み方と意味
「丁々発止」は「ちょうちょうはっし」と読みます。意味は、「激しい音を立てて、刀で打ち合うさま」「激しく議論を戦わせるさま」です。つまり、刀や言葉でお互いに激しくぶつかり合うことを表す四字熟語となります。もともとは「刀で争うこと」という意味を持つ言葉でしたが、のちに転じて、「激しく議論するさま」としても用いられるようになりました。
「丁々発止」の語源
「丁々発止」の「丁々」とは、「木材や金属がぶつかり合って甲高い音を出すこと」で、「とうとう」と読むこともあります。「発止」にも「堅いものがぶつかったさま、その音」という意味があり、どちらも物がぶつかった時に響く音を指す言葉です。この似た意味を持つ二つの言葉を組み合わせたことから「丁々発止」という四字熟語が生まれたとされています。
「丁々発止」と喧々諤々の違いとは?
「丁々発止」の類語には、「喧々諤々」があります。「喧々諤々」は「けんけんがくがく」と読み、意味は、「大勢の人が口々に意見を言って騒がしいさま」です。「丁々発止」との違いとしては、「丁々発止」は、一対一で意見を述べ合っている状況ですが、「喧々諤々」は大勢の人が好き勝手に意見を言い合っている無秩序なさまを表します。
また、「丁々発止」する人は確固とした意見やポリシーを持っていますが、「喧々諤々」の人々の中には意見ではなく野次や噂を飛ばしているだけの人も含まれています。この2点が大きな違いといえるでしょう。
「丁々発止」の使い方を例文でチェック
「丁々発止」は、刀や言葉で争う様子を表す言葉。ですので、使うシーンは自然と真剣な場面が多くなります。ここで挙げた例文をチェックして使い方を覚えてみましょう。
1:次期社長の座をめぐり、社内では丁々発止の議論が行われていた。
「丁々発止」は、「激しく議論を戦わせるさま」を表す言葉なので、派閥やチーム同士の争いの場面で使われます。お互いが強い意志や主張を持ち、譲ることがないような緊迫した状況です。決して和気藹々とした場面では使用せず、ビジネス会議や政治、大学のディベートなど真剣な場面で使われる言葉ですね。
2:戦国時代は至る所で丁々発止の激闘が繰り広げられていた。
先述したように「丁々発止」の元々の意味は「激しい音を立てて刀で打ち合うさま」。戦で勝つために命がけで刀を振るっていた武士同士の争いにも当てはまる言葉です。現在では、刀で戦う代わりに議論を戦わせることが主になったことから徐々に言葉の意味も変化したのかもしれませんね。
3:丁々発止のやり取りが続き、予定時間を大幅に過ぎてしまった。
議論が白熱すると、会議が長引いてしまうこともあるでしょう。このようにお互いが一歩も引かないような激しいやり取りの時に「丁々発止」は使用します。自分の意見やポリシーを持って争っていることがこの言葉のポイントです。
「丁々発止」の類語にはどのようなものがある?
「丁々発止」の類語は、先ほど説明した「喧々諤々」の他にも、「諸説紛紛」「議論百出」「談論風発」などが挙げられます。いずれも議論の場で使われることが多い言葉ですが、それぞれの持つ意味は微妙に異なります。詳しい意味と他の言葉との違いを意識してみていきましょう。
1:諸説紛紛
「諸説紛紛」は、「しょせつふんぷん」と読みます。意味は、「いろいろな説やうわさが入り乱れて、真相が明らかでないさま」です。いろいろな情報が錯綜しており、なかなかことの真相にたどりつかない状態のことをいいます。「丁々発止」は、お互いに議論を戦わせることに重点をおいた言葉ですが、「諸説紛紛」は、様々な意見や噂が入り乱れているさまを表す言葉です。
・巷で話題になっている医療ミスは諸説紛紛として原因が掴めない。
2:議論百出
「議論百出」は、「ぎろんひゃくしゅつ」と読みます。文字から想像できるように「たくさんの様々な意見が出ること」という意味です。「丁々発止」には、「激しく議論を戦わせること」という意味がありますが、「議論百出」は、単にたくさんの意見が出る状況を指す言葉。ここでいう「百」は「数が多いこと」という意味があります。
・議論百出したことで、政治における問題点が浮き彫りになった。
3:談論風発
「談論風発」は、「だんろんふうはつ」と読みます。「談話や議論が活発に行われること」という意味です。まるで風が起こるように、勢いよく議論や談話が行われているさまを表します。仲のいい友人同士が集まって話に花が咲く時などにも使用されるところが「丁々発止」との1番の違いです。血気迫るような緊迫感よりは、前向きな意見が飛び交い活気のある状況を指します。
・同窓会で久しぶりに旧友と会い談論風発した。
4:火花を散らす
「火花を散らす」とは、「互いに激しく刀を打ち合わせて戦うこと」「激しく争うこと」です。もともとは刀を交えて斬り合うことを意味する言葉でしたが、のちに転じて激しく言い争う時にも使用されるようになりました。刀と言葉、2つの意味がある点が「丁々発止」と同じですね。
・会社の主導権をめぐって役員同士火花を散らした。
最後に
「丁々発止」の意味や語源、使い方や類語は理解できましたか? 「丁々発止」とは、「激しい音を立てて、刀で打ち合うさま」「激しく議論を戦わせるさま」という意味です。刀で争うことと言葉で争うこと、2つの意味を併せ持っていることが特徴ですね。
文字からは意味が想像しにくい言葉ではありますが、「丁々」も「発止」も、堅いものがぶつかったときの音を表す言葉ということを覚えておけば、「激しい議論を戦わせること」という意味を導き出すことができそうです。「諸説紛紛」「議論百出」「談論風発」などの類語も合わせて覚え、より状況に適した言葉遣いができるようになりましょう。
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