嫌われる人の話し方、その共通点
話し方によって好かれる人もいれば、嫌われる人もいます。ここでは、嫌われる話し方をする人の共通点をざっと挙げていきましょう。
1. 「4Dワード」を連発する人
「でも」「だって」「どうせ」「ダメ」これら4Dワードをよく口にする人は嫌われます。
特に気をつけたいのは「でも」。「○○が好き」と言ったそばから「でも、あれは、こういうところがダメだよね」などと言われて、いい気持ちになる人はいません。
もちろん流れで使わざるをえないことはありますが、あまりに「でも」で切り返してばかりいると、会話全体がネガティブトークになってしまいます。
そんな時は「そうだよね。ただこういうのはどうだろう」と、まず相手を肯定してから自分の意見を話すと柔らかくなります。
「だって」「どうせ」も同様です。「だって○○だもん」「どうせ○○だからダメ」など、「だって」「どうせ」はあきらめや言い訳と連動しやすい言葉なので、多用すると「ネガティブな人」という印象になってしまいます。
言葉のクセは「人格のクセ」です。知らないうちに「ネガティブな人」という印象を持たれないよう、日頃の言葉遣いに気をつけてください。
2. つっこんだ男女関係や、下ネタを話す人
ここでいうつっこんだ男女関係とは、「自分がいかに遊んでいるか」という話のことです。
笑顔で「そうなんだー」と周りの人が聞いていたとしても、心の中で「何この人? あまり深入りするのはやめよう」と思われているのがオチです。現実がどうであったとしても、異性関係にだらしがないということをわざわざ公言する必要はないのです。
特に下ネタは、最もひんしゅくを買いやすい危険をはらんだ話題です。
気の置けない女性同士、男性同士では盛り上がることがあるかもしれませんが、よく知らない間柄では基本的に控えたほうがいいでしょう。下ネタを話す人はウケを狙っているのでしょうが、何を面白いと思うかは人それぞれです。
その中でも下ネタはリスクが高いので、別の話題をしたほうが無難です。もし下ネタが振られてきた時は自分の話はできる限り避け、相手の話を笑いながら聞くというスタンスがいいと思います。
3. お笑い芸人の真似事をする人
「オチがない」と人を責める、いじる、勝手にボケてツッコミを求める……。お笑い文化が浸透した影響なのか、芸人さんのような言動をする人がいます。
しかし、私たちが理解しておかなくてはいけないのは「芸人さんたちはあくまで『笑いのプロ』である」ということ。
なかでも「いじる」というのは「いじられる」側も含め、プロだけに許された高度なテクニックです。
芸人さんたちの間では、いじり役、いじられ役という暗黙の了解が成立しています。これはプロレスでいえば、ヒール役とヒーロー役がいるのと同じ。素人が安易に真似をすれば、人を傷つける危険があります。
どんなに周りが面白がっても、言葉で相手を傷つけた時点で、100パーセント言った側に非があります。「面白がっていただけで、悪気はなかった」という言い訳は通用しません。
素人が玄人の真似事をすると「ひどい人」という印象を抱かれかねないので、注意が必要です。
4. 話をまとめてしまう人
コミュニケーションにも、洋服と同じく「TPO」があります。
会議ならば、最後に意見をまとめて議論を終わらせる必要もあるでしょう。しかし、パーティや飲み会など色々な人との他愛のないフリートークの場でそれは必要ありません。
「何を話したかあまり覚えていないけど、あの人との時間なんか楽しかったー」と思ってもらえたらそれで成功なのです。そこで会議の場と同じように、無理やり話をまとめようとしたり結論を出そうとしたりするのは野暮というものです。
これまで何度か紹介してきましたが、話し方の基本は、相手の話を引き出し、広げ、気持ちよく話してもらえるような聞き上手になること。話をまとめ、終わらせるという正反対のことをしてしまわないよう気をつけておきましょう。
5. 相手の話を奪う人
「自然に会話が始まる鉄板ネタ3! 食べ物・出身地、あとひとつなーんだ?」の記事で共通点探しのメリットをお話ししました。
その時に気をつけたいのは、相手との共通点が見つかっても相手から話を奪ってしまわないようにするということです。
例えば、互いに無類のコーヒー好きという共通点があったとしましょう。あなたにも一家言ある話題ですから、たくさん話したくなるのも人情。しかしそんな時こそ「そもそも共通点を探したのは、相手にもっと話してもらうため」という基本姿勢に立ち返りましょう。
せっかく共通点を発見したのに、相手から話を奪ってしまったら、相手は「コーヒー好き」と言ったきりあなたの話を聞き続けるハメになってしまいます。
自分も話したい話題になった時には、以前紹介した「拡張話法」で話を広げ、相手がひとしきり話し終えたところでゆっくりと自分の話を切り出していきましょう。
6. すぐになれなれしい口をきく人
知り合って間もないのに、急にあだ名で呼んだり、呼び捨てにしたり、タメ口をきいたりする人。つまり「すぐになれなれしい口をきく人」です。
人は、目上であれ、目下であれ、立場が上であれ、下であれ、知り合ってすぐになれなれしい口をきく人に不快の念を抱きます。
やはり最初は「さん」づけで呼び、敬語で話したほうが無難でしょう。「さん」づけで敬語でも、いい話し方をしていれば相性がいい人とは自然と仲良くなります。
その流れの中で、あだ名やタメ口への変化は自然発生的に起こるものです。わざと一方的に使っても、相手に違和感を与えるだけです。
7. 負け惜しみを言う人
人には生来、自分と他者を比べる習性があります。例えば同僚や競合する同業者、自分の子どもと同い年の子どもが何かで大きな結果を出した時、あなたはどんな心持ちになりますか?
「すごいな」という気持ちを抱くのと同時に、多少嫉妬の念が入りませんか? それは人として自然な情であり、否定されるべきものではありません。
しかし、それを表に出すかどうかは別問題です。嫉妬からつい負け惜しみを言ってしまったら、周囲のあなたへの印象は残念なものになります。
人を称賛すると、自分の価値が下がると思い込んでいる人がいます。しかし、そんなことはありません。下がるどころか、素直に人を称賛できる人は同じく称賛されます。「あの人は器が大きいなあ」と、より好印象になるのです。
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永松茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で数多くの講演、セミナーを実施。「人のあり方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累積動員数は延べ45万人にのぼる。2021年上半期1番売れた会話の本『人は話し方が9割』(すばる舎)をはじめ、著書多数。