キーワード集を作って「拡張話法」を自在に操る
さて、前回までは「拡張話法」のやり方について、お話しさせていただきました。聞き方も含めて話し方。ここまではご理解いただけたと思います。
しかし、ひと口に「相手の話を広げる」と言っても、話す内容に応じて、色んなパターンがあります。
「こんな時はどうすればいいのか?」「あんな時はこの言葉が有効だ」など話を広げるキーワードをリスト化しておいて、シチュエーションによって使い分ければいいのです。
言葉のストック
そこで、私がストックしているリストの一部をご紹介いたしましょう。
「そうだよね、わかるよ」
「大変だったね」
「そうなんだー、よくがんばったね」
「よかったねー、私も嬉しい」
「へー、それはすごい」
「やっぱりー」
「さすがだね」
「うん、なるほど、なるほどー」
「へー、それでどうなったの?」
「さあ、面白くなってきたね」
「とても勉強になりました」
「ありがとう、本当に嬉しい」
「大丈夫、必ずうまくいくよ」
「私はあなたの味方だからね」
「一緒に考えよう」
「あなたのおかげです」
「助かります」
「これからもよろしくお願いします」
まだまだたくさんあると思いますが、これらのキーワードを意識的にストックしておいて話すのと、その場しのぎで話すのとでは結果がまったく違ったものになります。
これらのキーワードに、あなたなりの質問を使って相手の言いたいことを広げていけば、あなたは必ず相手にとって必要な人になります。
「トイレ」「天井」「スマホ」で「拡張話法」を自分のものにする
では、拡張話法のキーワードをどうやって覚えるのか?
これにもやり方があります。
人の心というのは、大きく分けて「意識」と「無意識」でできています。
例えば明日テストがあるという日に、一夜漬けで覚えるという記憶法は、意識の力を使っています。
意識の力を使った記憶法の場合、テストの時まではなんとか覚えていたとしても、テストが終わった瞬間から、忘れてしまいます。
そこで、私は「無意識の力を使う」ことをお勧めしています。「無意識の力を使う」とは、結局のところ「習慣化する」ことです。
習慣化したものは、滅多なことであなたの心の中から消えることはありません。
習慣化するために大切な「2つの場所」
では、どうすれば習慣化できるのか。
それは自分の無意識が発動する瞬間、つまり、ぼーっとしている状態の時に目につく場所にキーワードを貼っておくのです。
例を挙げましょう。1つめが、
トイレ
です。
トイレ学習の威力は、説明の必要はないでしょう。なぜなら、誰でも一日に一度以上は入るところで、貼っておくと必ず目に入る場所だからです。
そこにただキーワードを貼っておけばいいだけです。
続いて2つめ。
寝起きと寝る前。つまり、天井に貼っておくのです。
天井もトイレと同じく、寝起きと寝る前に必ず見るところです。
こうして、キーワード集をいつも自分が目につくところに貼っておくことで、無意識の力に働きかけ、それがいつの間にか習慣化するのです。
スマホを見るだけで、キーワードはすんなり頭に入る
そして、今はもっと便利なものが登場してくれました。
誰にも見られず、そしてあなただけがいつも目にするもの。寝起きでも寝る前でも目を通すもの。
もうおわかりでしょう。スマートフォン(以下スマホ)です。
そう、3つめは、
「スマホの待ち受け画面に貼る」
です。
ほとんどの人が、スマホの画面を毎日見ます。おそらく現代人で、1日1回もスマホの画面を見ないという人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
スマホの画面を1週間から10日ほど見れば、大体のキーワードは頭に入ります。暗記したら元の画面に戻せばいいのです。
もし、人から見られて恥ずかしいという場合は、例えば3日間だけ表示すると決めて何度もそれを見返せばいいのです。
考えてみてください。
たったこれだけのことで、これから先、あなたの話し方やコミュニケーション能力が飛躍的に上がるとしたら、やらない手はないでしょう。
しかも、1円もかからないわけですから、やって損するということはないはずです。
人から好かれる人のチャンスや生涯にわたって得られるメリットは、コミュニケーションの苦手な人と比べると、恐ろしいくらい差がつきます。
もちろん無理にとは言いません。
ただ、少しでも「やってみようかな」と思ったら、今すぐやってみることをお勧めします。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
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永松 茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で数多くの講演、セミナーを実施。「人のあり方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累積動員数は延べ40万人にのぼる。2020年1番売れた会話の本『人は話し方が9割』(すばる舎)をはじめ、著書多数。