【目次】
・「愚鈍」の意味とは?
・「愚鈍」の使い方を例文でチェック
・「愚鈍」の類語にはどのようなものがある?
・「愚鈍」の対義語にはどのようなものがある?
・「愚鈍」に関する格言集
・最後に
「愚鈍」の意味とは?
「愚鈍」。この二字熟語の第一印象はいかがですか? 漢字を見ただけで、なんとなく重々しいイメージを抱く方がいらっしゃると思います。あまり馴染みのない言葉ですが、今回は「愚鈍」の意味や使い方、格言をご紹介します。
「愚鈍」の読み方
読み方は、愚鈍(ぐどん)です。「愚」は「か」という送り仮名を振って訓読みで「おろ・か」、音読みで「ぐ」と読みます。「愚痴(ぐち)」や「愚策(ぐさく)」などと使うことが多いです。
「鈍」は「い」という送り仮名を振り、「にぶ・い」と訓読みします。音読みでは「どん」、「鈍感(どんかん)」や「鈍器(どんき)」などと使われますね。
「愚鈍」の意味
無知でまぬけなことを指して使い、理解や判断をする力が劣るさまを表します。「愚鈍」を「愚」と「鈍」に分けても、「愚か」や「鈍い」といった意味になるので、あまりいい意味では使われません。
「愚鈍」の使い方を例文でチェック
なかなか使うタイミングに悩みそうな、「愚鈍」という言葉の使い方を例文でご紹介します。
1:「社長が愚鈍で嫌気が差してくる」
自分の上司や同僚などが、うまく仕事をこなせていないときに使い、辟易した気持ちを表します。愚鈍だと思う相手に向かって直接言ったり、相手の耳にうっかり入ってしまったりすると、関係悪化に繋がるので注意が必要です。
2:「彼は愚鈍なところがあるが、心優しくて良い青年だ」
この例文も1と同じように、「愚鈍」である本人がいない場で使います。理解や判断能力は劣っているかもしれないけれど、心優しい性格を持っているね、というように相手を分析した結果を表すのに使います。
3:「時々、愚鈍な自分にゾッとする」
この例文は、自分の浅慮な思考や行動に気付いたときの使い方です。「愚鈍」という言葉は良い意味を持たないので、自分を卑下するときに使うか、使う相手に気付かれないように使うことがほとんどです。
「愚鈍」の類語にはどのようなものがある?
「愚鈍」と似た意味を持つ言葉をすぐに思い浮かべることが出来ますか? ぱっと「愚鈍」の言葉が思い出せなくても、言い換えられる表現があります。
1:間抜け
「愚鈍」よりも日常的に使われます。また、言葉のニュアンスも「愚鈍」より軽くて使いやすいのではないでしょうか。「君は本当に間抜けだなぁ」など、友達との軽口で使うこともあるかもしれませんね。
2:愚昧
「ぐまい」と読みますが、あまり耳慣れない言葉かと思います。意味は「愚鈍」とほとんど変わらず、おろかで、ものの道理に暗いことや、その様子を表します。
3:荒唐無稽
読み方は「こうとうむけい」です。「荒唐無稽」は四字熟語で、「荒唐」と「無稽」に分けることが出来ます。「荒唐」は「言説によりどころがなく、あやふやであるさま」と、「物事の状態が大きくて、つかみどころがなくはっきりしない様子」という意味があります。
「無稽」も同じように、根拠やよりどころがないことを指すので、ふたつが合わさって、言動に根拠がないことを、「荒唐無稽」というのです。
「荒唐無稽なアイデアすぎて、開いた口が塞がらない」というように使います。
愚鈍の対義語にはどのようなものがある?
「愚鈍」と反対の意味を持つ言葉は、「賢い」や「機転が利く」などです。今回は、日常的に使いやすい対義語を3つご紹介するので、ぜひ、参考にしてみてください。
1:利発
賢くて、頭の回転が速いことを「利発」と言います。「利発そうなお子さんですね」という場合は、ただ「学校の成績が良い」や「IQが高い」だけでなく、「想像力が豊か」「自分で考えて行動できる」といった意味での「賢さ」を指している場合が多いです。
2:才気
「才気に恵まれた女性」といったフレーズを耳にしたことはありませんか? 物事の動きに対して、適当な判断を下せる精神能力を「才気」といいます。「才気に恵まれる」「才気に富む」「才気にあふれる」などと使われ、知的な印象を与えてくれる言葉です。
3:理知的
「理知」というのは、理性と知恵のことを指します。また、本能や感情に支配されることなく、深い知識に基づいて物事を論理的に思考したり、判断したりする能力のことです。つまり、理性と知恵に基づいて判断したり、行動したりできる人のことを「理知的」な人といいます。
「愚鈍」に関する格言集
昔から「愚鈍」と呼ばれる人たちは、少なからずいます。偉人たちが残した格言を胸に刻み、自分が「愚鈍」な人にならないように気を付けましょう!
1:「愚鈍な味方は有能な敵より恐ろしい」
この格言は、かの有名なナポレオンの言葉です。「有能な敵は、戦いの中でむしろ自分を成長させてくれるが、無能な味方は自分たちの足を引っ張る存在でしかない」という意味になります。
2:「あらゆる愚鈍を汲みつくし、底にある英知に到達する」
カール・ルートヴィヒ・ベルネというドイツ人文芸評論家の言葉です。はじめから知性に富んだ人はいません。自分が無知であることを理解して物事を学んでいくことで、初めて英知に辿り着くことが出来るのです。
3:「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」
孔子の有名な言葉ですね。「優れた人は主体性を失うことなく他人と協調することができ、しかしむやみに同調することは無い。つまらない人は簡単に同調するが、心から他人と協調することはない」という意味になります。つまり「愚鈍」な人間は、自分の意思を持たず、他人の意見に従ってばかりで、薄っぺらい人間だということです。
最後に
いかがでしたか? 「愚鈍」という言葉は、なかなか日常生活で使う機会が少ないかもしれません。ですが、いざという場面で自然に使えたら、相手に「語彙力が豊かな人だな」という印象を持ってもらえると思います。
ここぞ! という場面で、ぜひ、使ってみてください。
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