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2021.03.15

話題のワクチンはなぜ筋肉注射? 薬の用量・用法の決め方【国立がん研究センター医師コラム】

薬の用法用量はどのように決まっている? 全世界で求められている新型コロナウイルスのワクチンは、どう投与されるのでしょう? 国立がん研究センター研究所でがん幹細胞研究分野分野長をつとめる増富先生の健康コラム。

国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉

お薬の用量・用法 – 筋肉注射か皮下注射か?

(c)Shutterstock.com

もう25年くらい前だと思いますが、「目薬をお酒に入れて飲むと、すごく酔う」というデマがありました。当時、本当かどうか試す「実験」をしてみましたが全く普段と変わりませんでした。

今日は、「お薬の用量と用法」について書こうと思います。「用量・用法」というと難しい言葉ですが、「どれだけの量を、どうやって身体に入れるか」ということと同じ意味です。

まずその前に、日本では(世界でも同じですが)、人が体内に摂り入れて良い物は、「食べ物とお薬だけ」と法律で決まっています。そのうち、お薬に関しては、「どれくらいの量をどうやって体内に取り入れるか」が厳しく規制されています。

それ故、「お薬」として認定してもらうためには超厳しい審査を受けなくては、国は「お薬」として認めません。認められると、「お薬の効果」を公に表現しても良いのですが、食べ物は効果をうたっては違法になってしまいます。ですので、多くの健康食品は、本当は効果を大々的に宣伝してお薬として売りたいところなのですが、「お薬」として国に認めてもらうための高いハードルを越える苦労を避けて「食べ物」として販売しているわけです。

薬をどのように身体にいれるか?

(c)Shutterstock.com

では、お薬の用量・用法に話を戻しましょう。用量は、「どれくらいの量を投与するか」ですので、何ミリグラムという絶対的な数値で表せます。問題は用法です。「いつ、どのように」なので色んなバリエーションが出てくるわけです。

例えば、食前なのか食後なのか、そして、口から飲むのか、注射で入れるのか、あるいは塗るのか、貼るのか、などなど。この点も、厳密に決定しておかないとお薬として認めてもらえないわけです。全てのお薬に、この用量・用法が定められています。ではこの「用法」、お薬の開発から、国の審査までに決めて行くわけですが、どうやって決めるか少しお話ししましょう。

答えは、「(社会のニーズと科学的な証拠のバランスで)結構、適当に」決めるのです。でも一度、審査に通ると、変更のためにも莫大な労力と時間を要して再審査が必要になるので、効果もあがり、利益もあがり、患者さんも楽ちん、な方法をよくよく考えて、審査申請をしなければなりません。

「注射より飲み薬の方が楽ちんだし、しかも、患者さんも喜ぶよね。だけど、飲み薬だとなかなか効果のある濃度にまでお薬の濃度が上がらないから、注射しかないな」みたいな感じです。

新型コロナウイルスのワクチン注射

(c)Shutterstock.com

そう、今話題の新型コロナウイルスのワクチンの「注射の仕方」、すなわち「用法」もこうやって決まってきたわけです。では、筋肉注射なのか皮下注射なのか? 今話題の、この言葉。どうやって決まってきたか?

あくまで、推測です。日本は、従来からワクチンの投与方法は基本的に皮下注射。一方、米国を始め、欧米各国は従来から筋肉注射が主流。おそらくこれだけの理由だと思います。結構、適当に決まったんだと思います。

筋肉注射と皮下注射で、ワクチンの効果にそれほど差があるとは思いませんが、申請時の「約束」を厳密に守らなければならない「お薬」の投与方法は、まず米国で認可された方法で日本でも認可したのだと思います。

さらにいえば、筋肉注射より皮下注射の方が少しテクニックがいります。日本のお医者さんは、手先が器用な人が多いので、皮下注射も簡単そうにやってくれますが、僕の知ってるアメリカ人の友人ならきっと無理だろうなと思います。テレビで見ていても、日本の先生や看護師さんは本当に注射が上手です。

用量・用法を守ったお薬の投与は大切ですが、日本のお医者さんの打つ、筋肉注射はキット痛くないと思います。「痛み」は、誰がどう打つかで随分と違うと思います。お薬の認可に、用量・用法に加えて、痛みの度合いを入れれば、日本のワクチン開発は世界最速で進んだのかもしれません。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

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国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野分野長 増富健吉

1995年 金沢大学医学部卒業、2000年 医学博士。
2001年-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所。2007年より現職。
専門は、分子腫瘍学、RNA生物学および内科学。がん細胞の増殖と、コロナウイルスを含むRNAウイルスの増殖に共通の仕組みがあることを突き止めており、双方に効く治療薬の開発が可能かもしれないと考えている。
専門分野:分子腫瘍学、RNAウイルス学、RNAの生化学、内科学。
趣味:筋トレ


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