アメリカで痛感、そして実感した、人との縁を大切にするコツ
森喜朗氏の問題発言が世の中を席巻していた日本をニュースで見ました。先日アメリカでは、女性主導のマッチングアプリ「Bumble」が米ナスダックに上場し、CEOである若干31歳のホイットニー氏が子供を抱えてプレスの前に登場。
年齢も関係ないし、小さな子供を育てていても関係なし。会議で喋りまくろうが、多くを語らなかろうが、勝つ人は勝つ。それだけです。壮大な戦略と、途切れることのない熱意を持ち続けるだけ。あの光景はそう物語っていた気がします。
そんな今回も最近「はっ」と意識化したTipsを共有したいと思います。
最近どう? アメリカで泥臭く働いていたからこその植え込み作業
私がN.Y.で経営している会社は、web情報サイトの運営をしながらも、そのほか依頼があれば、市場リサーチやPRなど、アメリカにおける委託・代行業務を引き受けることもあるのですが、黙っていてもお客さんは来ないので常に自分で売り込みをしなければなりません。
以前、テレビ局社員だった時は、会社の認知度が絶大でしたし、営業や広報を担当したことがなかったので、余計に自分から仕事を取りに行くという感覚が皆無でした。ボーとしていても、仕事は溢れるようにあるわけで。
そんな甘やかされた環境にいたせいで、自分のステークホルダーと常に連絡を取り合い、情報交換し、関係を積み上げていくという作業が本当に嫌いで、苦手でした。仲良しの人以外と深い関係を作りたくないとすら思っていました。芸能事務所の人から飲みに行こうと誘われても、9割は断っていました。今思えば、業務怠慢だったのかもしれません。
そんな私が急に何のコネクションもないN.Y.という荒野に自らの意思で足を踏み入れたら、驚くほどにコミュニケーションに苦戦を強いられました。
前職の感覚が残っているせいで、しばらくは「何でこんなに売り込みの連絡をしているのに、誰からも発注が来ないの?」と目が点でした。すぐに営業が嫌になりました。でも小さな会社なので、私が頑張らないと潰れるわけで…。
そんな悪戦苦闘を半年くらいしているうちに、少しずつコンタクトが続く人たちが増えていきましたが、今度は数が増えると、こまめに連絡を取ることが減り、いつの間にか数ヶ月連絡していないなんてことも発生。
「あ! 最近どうですか? って連絡しなきゃ」と、毎日自分にリマインドしていました。なぜなら、どこから仕事を頂けるか分からないので、私の会社の存在が常にクライアントの頭の隅にあるように植え込まなきゃと、いつも焦っています。
そう、この植え込み。私はこの作業をここ1年常に意識しています。
“keep in touch”、人との縁を大事にする魔法の技
誰でも、日々誰かに新しく出会っていくわけですが、そこから継続的に関係を構築していくことへの労力を惜しむ人が多い。以前の私がその代表です。よほどのメリットを瞬間的に感じない限り、コミュニケーションを続けることが面倒になってしまいます。
ただ、私が知りうる優秀すぎる人たちは皆さんこのコミュニケーションを怠っておらず、どんなに頭が良くても、やはり人との繋がりの中でしか人は成功できないんだなと、色んな方とお付き合いするようになって痛感しています。
半年ほど前にたまたま友人から「勉強になるよ」と紹介された、異常に経歴がすごい男性と話す機会がありました。商社やコンサルや、ありとあらゆる業界から引っ張りだこ状態で、人脈のモンスターみたいな人。
私には共有できる話題がない気がして、最初はとても気後れしました。その方は私の目標や悩みを聞いて、色々アドバイスをくださいましたが、さすがにやっていることの領域も違ったので、これで切れる縁かなと実は思っていました。
しかし、その方はその後も何てことないタイミングで調子を尋ねる連絡をくださり、いつの間にかこの半年間、「最近どうですか?」のやり取りが定期的に続いています。
その度に、「それ企画書にして、あの社長に持って行こうよ!」なんていう、大きな一歩を毎回繰り出してくださるので、たまに連絡するのが楽しくなってしまいました。
その方との先日のやり取りで「keep in touchって、案外やっている人が少ない魔法の技だよ」と言われました。
この関係強化は基本の「キ」のように見えて、意識的にはそう簡単に実現できない行為だと。そこを意識している彼は、だから人脈モンスターなんだと合点がいったというわけです。
今あなたが知り合った、目の前にいる人が、この先あなたの人生にどんな影響を与えてくれるかなんて、誰も予測できません。ただひとつだけ言えることは、知らぬうちに向こうから定期的に連絡が来ることは奇跡的なことで、その縁は自分で続けていくしかありません。
ほんとにちょっとした、定期的な、『最近どうですか?』これが月に10回あれば、3回くらいは驚きの発見が生まれるかもしれない。
Keep in touchの威力をぜひ意識的に試してみてください。
◆これまでの連載はこちら
古瀬麻衣子
1984年生まれ。一橋大学卒。テレビ朝日に12年勤務。「帰れま10」などバラエティ番組プロデューサーとして奮闘。2020年、35歳で米国拠点のweb会社「Info Fresh Inc」代表取締役社長に就任。現在NY在住。日本人女性のキャリアアップをサポートする活動も独自に行なっている。
Instagram:@maiko_ok_
HP