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2021.02.04

体育会系夫の白いストッキング姿に不安が増すばかり…<30代の不妊治療vol.30>

妊活歴が3年目に突入した主婦ライター・34歳クロサワキコの不妊治療体験レポ Vol.30。夫の精索静脈瘤の手術や人工授精、体外受精とステップアップを重ねていくなかで感じてきたリアルな本音をお届け。今回は、手術の準備を終えた夫を手術室まで見送った時のお話。

夫は準備を終え手術室へ、私がしっかりしなきゃ…【30代からの不妊治療】

妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。

前回は、精索静脈瘤の手術前に夫がした恥ずかしいけど必要な作業のお話をお届けしました。今回は、手術の準備を終えた夫を手術室まで見送った時のお話。

いよいよ手術! T字帯と医療用ストッキングを履いた夫

小さいころから、朝礼のたびに貧血を起こしてフラフラになっていた私と、大学まで野球を続けていた体育会系な夫。2018年の冬、夫が男性不妊の原因のひとつと言われている精索静脈瘤の手術を受けた当日のお話です。

病院にお世話になるとしたら、絶対私の方だと思っていたのに…。そんな複雑な心境とは裏腹に、手術前の病室では、和やかな時間が流れていました。

夫は、私が売店で買ってきた「T字帯」の袋をあけると…。

「おぉ! マジでふんどしじゃないか。Tの字になってる!」と、興味津々の夫。

T字帯の付け方を一緒にスマホで調べながら着用しました。つけ方もふんどし的な感じ(ふんどしの正式な着用方法を知らないので恐縮ですが)、着用後のビジュアルは時代劇などで見たことのある、ふんどしそのもの。

医療用ストッキングは、履いてみたら足が真っ白に。「これで『犬神家の一族』のスケキヨごっこができそうじゃない?」とおどけて笑う夫はいつもと変わらない様子で、着々と手術の準備を進めていきました。

手術、怖くないの?

まったく。僕が調べた限り、精索静脈瘤の手術を失敗して、どうかしちゃった例はひとつもなかったからね。キミも大船に乗ったつもりで待っているといいよ。それよりさ、お昼ごはん、食べないの? 朝から何も食べてないじゃない。あぁ、腹へった…」

そういうと本当に夫のおなかがグゥ~となって、また笑いました。

「私のお昼はさっき売店でサンドイッチ買ってきてあるの。アナタの手術中はどうせお部屋で待機だし、その時に食べるから大丈夫だよ」

「気にしないで食べればいいのに。僕に気を使ってる? キミだっておなか減ったでしょう」

「いいの、大丈夫」

食いしん坊な私ですが、この時は空腹よりも、手術までの時間のことで頭がいっぱいでした。気にしないようにしていても、気になって仕方がない。手術の時間が近づいてくるにつれて、私はだんだん口数が減ってしまいました。「今日くらい私がしっかりしなきゃ!」と思いつつ、油断すると、泣いてしまいそう

ドキドキしながら予定時刻の13時を迎え、病室に看護師さんがやってきました。

いざ、手術室へ! 夫と笑顔でハイタッチ

(c)Shutterstock.com

看護師「では、手術室へご案内します」

病室へ迎えに来てくれたのは、あのライトな雰囲気の看護師さん。

ストレッチャーとか車いすで夫が運ばれていくのかとばかり想像していましたが、そのまま点滴をカラカラ引っ張りながら、地下にある手術室へ歩いて移動しました。思っていたのとちょっと違う。

「徒歩なんですね…!」

看護師「そうですね。手術室までは専用通路がありますので」

といって、通路沿いにあったスタッフ用の扉をあけると、業務用のエレベーターがあり、ほかの患者さんとすれ違うこともなく、すんなりと手術室の前へ到着しました。

手術室の自動ドアが開くと、すでに手術着に着替えているベテランの看護師さんが出てきて「こちらへ」と手術室のなかへ夫を促しました。

夫は私のほうへ振り返り「じゃ!」と笑顔で軽く手を挙げたので、私も「がんばって」と言って、ハイタッチ。夫のまなざしがいつもより真剣でした。この時、私はうまく笑えていなかったかも…。

次回は夫を手術室へ送った後起きた私の心境の変化のお話をしたいと思います。

これまでの記事▶︎不妊治療体験レポ

TOP画像/(c)Shutterstock.com

クロサワキコ

34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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