大変だった2020年でも高まったカレーの需要とは?
人類史上でも滅多にない世界的な混乱が起き、精神的にも非常に慌ただしかった2020年。そんな1年を振り返る時期になってきました。カレーについて振り返るならば、今年はカレーの需要がさらに高まった年だったと言えるでしょう。
当初予定されていた東京五輪に向けて、カレー業界のみならず飲食店業界全体で新店や支店、姉妹店のオープンを計画、世界中からやってくるお客さんのためにハラルを意識したカレーのお店の準備も進んでいた中で巻き起こった新型コロナ感染拡大。
コロナ禍によって開店予定が中止になったところもありましたし、開店時期が大幅にずれたり、あるいは開店したもののすぐに閉店となってしまったり、長く続いていたお店が苦渋の判断で閉店となったり、飲食業界は大混乱だったのはみなさんも感じているでしょう。そんな中で高まったカレーの3つの需要を紹介します。
◆1. テイクアウトとしての需要
カレーはテイクアウトに適した料理であるということもあり、今までカレーを作っていなかった飲食店がこぞってテイクアウトカレーを作り出しました。
例えばフレンチのお店や焼肉専門店、ラーメン店などなど、それぞれテイクアウトに不向きなお店ほど、カレーの便利さに気付いて新しいカレーを作り出すという流れがありました。
店舗としては動いていないもののデリバリー専門のゴーストレストランも増え、その形にもやはりカレーは適しているということで、カレー専門店の数はそういう部分も合わせるとコロナ禍においても着実に増えてきている実感があります。
▲大阪オルタナのテイクアウトカレー
◆2. スパイスカレーを自分で作って食べるという需要
自粛期間が長引き、家にいても暇を持て余す。そうなると普段だとできない、手の込んだ料理を作ってみたくなる。そんなニーズに、ルウではなくスパイスでカレーを作るという、ここ数年でじわじわと盛り上がってきた流れが合流し、多くの人が自宅でスパイスカレーを作るようになりました。TVや雑誌など、さまざまなメディアでスパイスカレーの作り方が取り上げられましたよね。
いざ作ってみると、その世界の面白さに気付いて、それをきっかけにカレーを食べ歩くようになったという方も少なくないでしょう。
▲自作のスパイスカレー
◆3. レトルトカレーの需要増大
備蓄食料としてレトルトカレーが非常に便利であり、また、美味しいということに気付いた人が増えました。事実、ここ数年でレトルトカレーの味は、格段にレベルが上がっています。日常的にレトルトカレーを食べる人はそれに気付いていましたが、レトルトやインスタントの食品は食べないという人もいます。
そんな人たちでも、自粛期間は外に出てもお店が開いていないし、スーパーに行っても人が多いとなると、通販でレトルトを購入して食べてみるかという流れができ、実際に食べて美味しいことに気付いたわけです。
▲新宿中村屋のレトルトカレー
他の飲食店業界と比べると、カレーは上記のように需要が増えたのですが、安定だったかというとそんなことはありません。やはり外食産業としてのカレー業界は大打撃を受けましたし、今も受け続けています。
ギリギリ何とかなっているものの、このままの状態が続けば店を閉めざるを得ないという話はよく聞きます。特にサラリーマンの多い勤務地として知られる街や学生街のお店については、いまだ続くリモートワークの影響もあって客数は増えてこないという状態です。
住宅地は、それに比べれば影響は少ないのですが、それもやはり地域柄があり、住宅地でも徐々に客数が減ってきているという話も聞こえてきました。これはもしかすると失業や減給などの影響により、そもそも外食が贅沢となってしまったということも少なからず関係するのかもしれません。
どの業界も願っていることだとは思いますが、一刻も早く新型コロナが落ち着き、日常を取り戻せることを祈るばかりです。
次回、【2020年カレー業界振り返り<後編>】では、2020年にオープンしたお店の中から、特に印象深かったお店をいくつかご紹介したいと思います!
AKINO LEE カレーおじさん\(^o^)/
ヴォーカリスト、パフォーマーとして自身の活動の他、様々なアイドルの作詞作曲振付プロデュースを担当。ヴォイストレーナーとして後進の育成にも力を注いでいる。
音楽ライターとしても各種雑誌、ムック本などで執筆を担当。また、カレーおじさん\(^o^)/としても知られ、年間平均1000食以上のカレーを食べてきた経験と知識を活かしてTVや雑誌など各種メディアにおいてカレーについて語っている。
http://www.akinolee.tokyo/