夫の不妊治療の再検査、そこで分かった問題とは?【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、不妊治療における金銭リスクのお話をお届けしました。今回は、夫の男性不妊治療のお話。
総合病院で再検査、男性不妊の可能性を正しく知るために必要な検査とは?
思ったことがすぐに顔にでる私と、外ではポーカーフェイスを気取る夫。妊活を始めて3年目の私たち夫婦は、これまでいくつかの病院を訪れ、さまざまな先生のお話や、検査を受けてきました。
その中には、不妊治療の早期ステップアップを勧めてくれた先生もいましたが、本当に必要なのか? と疑問に思い、セカンドオピニオンをとりに総合病院へ行くことに。そこで、夫の基礎検査の内容が不十分であるという指摘を受け、その日のうちに男性不妊専門医による精液検査・超音波検査・触診が行われることになりました。
検査に過去のデータが使える病院であるか予約のときに要確認
精液検査の場合、検査の前に血液などの基礎検査が必要になる、と先生から話を受けました。
しかし夫はその病院で毎年人間ドックを受けていたことが幸いし、再検査は不要ということに。血液検査や尿検査などは「異常がなし」だったので、すぐに精液検査を受けることができました。でもし1年以内の検査データがなければ、基礎検査も再検査が必要だったそう。
「時間もお金も、重複してかからなくって良かった~」なんて呑気な話をしながら、夫は精液検査・超音波検査・触診のため検査室へ。
ちなみにこれは後から知ったことですが、医療機関によっては「他院で受けた基礎検査の結果は利用できない」としているところもあるようです。転院する際などに、紹介状があっても一から全部基礎検査のやりなおしが必要となる場合は、働き世代の私たちにとって負担が大きいので、予約のときに確認しておくといいかもしれません。
WHOの基準=妊娠できる基準ではない! 奥深き精液検査の世界
夫の精液検査が終わり、待合室で雑誌を読みながら一時間くらい待っていると、私たちは一緒に診察室へ呼ばれました。
男性不妊専門の男性医師・I先生から、まず精液検査の結果を紙で渡され、私たちは検査結果を凝視。1年前に別のクリニックでもらった精液検査の結果は精液量・精子濃度・前進運動率・正常携帯率・白血球の5項目しかなかったのですが、ここで渡された紙には精子の動きを示した画像付き!
検査項目も上記の5項目に加え、総精子数・精子運動率・運動精子濃度・総運動精子数・平均速度などとても細かいデータが記載されていました。同じ精液検査といってもこんなにも情報量が違うなんてびっくりです。
I先生「今日セカンドオピニオンだったんですね。いいことです! これが精液検査の結果なんだけど…」
夫「精液検査でもこんなに違うんですね。驚きました」
I先生「うん、そうでしょ。もう説明受けてると思うけれど、これ1回きりじゃなくって、何度か禁欲期間を変えて、一番精子が調子いいタイミングを知ってほしいんです」
夫「はい、お願いします」
I先生「今回と、昨年、受けられたときの結果と比べてみると、禁欲期間はどっちも同じで、どの項目もWHOの基準値はいずれも上回っています。悪くはない。前のクリニックの先生がおっしゃっていたように、確かにここには大きな問題はない。ただね、WHOの基準値が妊娠できる基準というわけではないのですよ」
ふむふむと、興味深く話を聞く私たち。I先生はおだやかに続けました。
I先生「今回の検査は、禁欲期間が2日ということですから、次回は5日とか7日、もしくは1日にしてみたり期間を変えながら、検査したいので、また来週くらいに来られますか?」
夫「はい、大丈夫です。お願いします」
I先生「でね、気になるのは“精索静脈瘤”なんだけど…」
夫「はい…。そうですよね」
私「ん?! セイサクジョウミャクリュウ…?」
いきなりまた知らない言葉が出てきて、精液検査の結果用紙にそういう項目があるのかと探してしまった私。ですが、この精索静脈瘤というのは、精液検査ではなく、超音波と触診で診断された症状の名前でした。夫は検査の途中でだいたいの話を聞いていたそうです。
聞きなれない言葉に私は困惑し、夫とI先生の間にも不穏な空気が…。次回は、精索静脈瘤と不妊の関係についてのお話をお届けします。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。