自分の意見を言いたい… ホルモン剤も卵管検査も嫌だ【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、初めて受けたフーナーテストの話をお届けしました。今回は、転院先の先生に意見を言えない私が翻弄される話。
◆人工授精や体外受精へのステップアップを急いで! 前のめりになる医者
私32歳、夫38歳の夏、不妊症と認定されてしまい、すぐにフーナーテストを受けてみたのですが、結果はまさかの全死滅。診察室では、そんなことってあるわけ? と大ショックを受けている私に、都会的な雰囲気の女医さんから淡々と説明が続きました。
医師「一生懸命、探したんですけれどね、動いている精子の確認はできなかったんですよ。クロサワさんの場合、ご主人の精液検査の結果に問題はなかったので、タイミング法ではなく、早めに人工授精や体外受精へのステップアップを検討したほうがいいと思います。そのためにはまず超音波子宮卵管造影の検査もしていただく必要があって…」
私「あの、薬の治療は、なるべくやりたくないんですけれど…。ホルモン剤とか誘発剤は怖くて。卵管の検査も痛いんですよね?」
今にも逃げ出したい気持ちで、質問を畳みかけてしまう私。
医師「卵管の検査の痛みや薬に対する反応は個人差が大きいので何とも言えませんが、奥様の年齢でしたら、使える助成金も多いですし、早めに決断すると…」
私「待ってください、卵管の検査はしないといけないんですか?」
医師「はい、超音波子宮卵管造影をしてからでないと、人工授精しても、卵管が詰まっていたら意味がないでしょう。必ず先にこちらをやっていただきます。卵管造影すると自然妊娠もしやすくなりますよ。それとAMHが…」
そういって、AMHと年齢の相関図の表を出してさらに説明が続きました。
医師「奥様のAMH、1.77というのは40代くらいの数字なんです。ほら、ここ」
私「…え!」
去年、そんなこと聞いたっけ? 40代って何の話? この表はなんなんだ! 頭のなかが真っ白に。基礎検査の時に、忘れることにしたAMHが、“全死滅”という衝撃的な言葉のあとによみがえってくるとは。
医師「体外受精をするときに採れる卵胞のストックには限りがあって、これは年齢とともに減少するので増えるものではないんです。幸い、クロサワさんたちがお住いの自治体は助成金がこちらの資料なんですけれども、東京都の助成金はこのようになっていて…」
そういうと、助成金に関する資料をずらっとテーブルへ並べられました。黙ったまま手にとって眺める夫。
私「…(体外受精の助成金?! 私はこんなに健康なのに。生理もズレないし、排卵もできてるって言ってたのになんで)」
心の中で思うことが、ぜんぜん整理できず、言葉が出てきません。
◆専門医を前に、自分の希望を伝える難しさを痛感
医師「年齢とともに、妊娠できる確率は下がります。費用の助成には年齢制限や回数が決まっていますから、しっかり期限を決めてステップアップをしていけば…」
すごく気さくで物腰のやわらかい先生。だけど、初めてこのクリニックへきたときから、私はいつもこの静かにまくし立てる感じのペースに流されてる。自分の考えを言わなきゃ。どうしたいのか、意見をハッキリ言わなきゃ。あぁ、どうしよう。わからない。そう思った時…。
夫「あの!」
急に大きな声で、夫が先生の説明を遮ったので私はビクンとしてしまいました。
夫「今日は家に帰って、妻と話し合ってもいいですか?」
医師「もちろん! 大丈夫ですよ。ただですね、最終的に奥様の卵巣年齢の問題もあるので、リミットが迫っています。早くしないと結果を出しにくい状況だと思いますが、今なら助成金がフルで活用できますので、よかったらこの資料お持ち帰りください」
夫「ありがとうございます。勉強になりました。じゃあまた改めて」
夫のおかげで診察室を後にすることができました。本当に息が詰まりそうで、何も言えない私を見かねて、夫は先生の話を遮ったのでしょう。改めて2人で結果を聞きに行ってよかったと思えたのでした。
次回は、診察結果に落ち込んでいた私を助けてくれた夫との会話についてお届けしようと思います。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。