【目次】
・「神出鬼没」の意味や使う場面とは?
・「神出鬼没」の使い方を例文でチェック
・「神出鬼没」の類語は?
・「神出鬼没」の英語表現もチェック
・最後に
「神出鬼没」の意味や使う場面とは?
「神出鬼没」、皆さんこの四字熟語の意味をご存知ですか?「神」や「鬼」が出てきて、なんだか日本の昔話のような言葉ですよね。意味は知っているけど、背景までは説明できない人もいるのでは? 今日はそんな「神出鬼没」の言葉の由来から、どのような場面で使うのか、簡単な例文を用いてしっかりと解説していきます。ぜひ、これを機に覚えていきましょう。
◆神出鬼没の意味
「神出鬼没」は、<しんしゅつきぼつ>と読みます。意味は、自由自在に現れたり隠れたりする様子を表す四字熟語です。では、どうして神様や鬼が関係してくるのか、次に言葉の語源について、深く掘り下げていきましょう。
◆神出鬼没の語源
昔から、神様や鬼神(きしん)とは、人間を超越した存在で、その所在は不確かなものと言われています。人間の生息する次元にはとどまらず、何の前触れもなく突然現れたり消えたりするものとして人々から認識されていました。「神出鬼没」は、自由自在に出没する神様や鬼神をたとえた四字熟語です。
古くは中国の『淮南子(えなんじ)』が出典とされています。『淮南子』は、前漢の武帝時代、淮南子劉安によって編纂された思想書の事。その中の、戦いの策略について述べられた、巻十五『兵略訓』の中に「神出鬼行(=神出鬼没)」という言葉が登場しているんです。
簡単に要約すると、以下の通りです。
“用兵に長けている者の行動は、神出鬼没である。星が輝くように、天がめぐるように、一挙一動は、前触れもなく、傷跡も残さない。鷲の舞い、麟の走り、鳳の飛び、龍が昇る姿に似ていて、動き出す様は疾風の如く、駆け抜ける様は稲妻の如くである”
ここで出てくる「神出鬼没」は、実戦における戦略を述べるというよりは、いい兵士とはこうあるべきであると、兵法哲学について触れているという説が濃厚のようです。
「神出鬼没」の使い方を例文でチェック
ここまで、「神出鬼没」の意味、そして由来について学んできましたが、理解できましたでしょうか? 次に現代においてどのように使うのか、具体例を用いてわかりやすく説明していきますので、じっくり見ていきましょう。決して難しくはありません。
1:「現れたと思ったら、あっという間に帰っていったね。彼っていつも神出鬼没だよね」
こういう人ってたまにいませんか? (笑) まるで嵐のように現れ去っていく、いい意味でフットワークが軽いと言えますね。
2:「あのお店には神出鬼没のメニューがあるんだ。食べられるか食べられないかは店主のみぞ知る」
なかなかお目にかかれないけど出会えたらラッキー、店主のその時の気分によってのみ作られる、まさに神メニューと言われるやつです。そんなお店が近くにあったら楽しいですね。
3:「うちの社長は神出鬼没だから気を付けて。いつもサボっている時に限って急に現れるんだよね」
社員の人たち皆困りますが、こういう上司や社長がいる会社、意外と少なくないのでは? タイミングの悪い状況に限って、ばったり会ってしまうんですよね…。まさに神出鬼没…。皆様お気をつけくださいね。
「神出鬼没」の類語は?
次は、「神出鬼没」の言い換え表現について、ご紹介していきます。
1:「出没自在」
「出没自在」は、漢字の通り、「自由に現れたり隠れたりする様子」を表しています。「神出鬼没」とほぼ同じ意味で使えることができます。
例文:「うちのオーナーはまるで出没自在だよ、今日もなんの連絡もなく現れて、現場のみんなてんやわんやだったよ」
2:「神変出没」
「神変出没(しんぺんしゅつぼつ)」は、人間にははかり知ることのできない、予測できない変化のことを言います。
例文:「あの二人の番組は、どこに向かうかわからない、どう転ぶかわからない、神変出没の本格談義が見物でおもしろいんだよね」
3:「鬼出電入」
「鬼出電入(きしゅつでんにゅう)」は、目に留らない速さで現れたり消えたりする様子、また出没が奔放自在で予測できない様子を表す言葉です。鬼神のように、足跡がなく自在で、稲妻のように速やかに現れることから由来しています。こちらも「神出鬼没」と同様に、『淮南子』が出典とされている古くからある四字熟語です。
例文:「彼女のイリュージョンはまさに鬼出電入! どうやって姿を消したのかさっぱりわからなかった~」
「神出鬼没」の英語表現もチェック
「神出鬼没」の英語表現もあるの、ご存じですか? 日本語と同じようなニュアンスのフレーズを2つご紹介します。1つ目は、「appears and disappears like a phantom」=「お化けのように現れたり消えたりする」という意味になります。
2つ目は「elusive」=「捕まえにくい、見つけにくい」という意味の言葉です。まさに神出鬼没な謎の芸術家、バンクシーを例に挙げてみましたので、以下例文をぜひ参考にしてみてください。
・The graffiti artist Banksy appears and disappears like a phantom.
(グラフィックアーティストのバンクシーは神出鬼没だ)
・Even Banksy, The elusive street artist, is stuck working from home these days, like us.
(あの神出鬼没な芸術家のバンクシーでさえ、最近では私たちと同じように在宅勤務をしている)
最後に
神出鬼没の使い方、いかがでしたでしょうか? 古来中国から続く四字熟語の世界、現代でも使える言葉が多くあります。その中でも「神出鬼没」は比較的使いやすい言葉だと思いますが、語源や背景を知ることでより理解が深まりおもしろいですよね。四字熟語を日常的に活用できる大人になれたらかっこいいと思いませんか? ぜひこれを機に一つでも多く覚えておきましょう。
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