コロナ禍のフランス、バカンスシーズンの様子をレポート!
南仏プロヴァンス旅 ル・カストレ
渡仏して迎えた初のバカンス時期は、まさにコロナ禍。多くのパリジェンヌ&パリジャンはヨーロッパのリゾート地へ向かうのが通例ですが、2020年の夏はフランス国内をメインに旅する流れになりました。この状況下の中、筆者は南仏旅へ。3部に渡ってお届けしてきました南仏旅の最終レポート、今回はル・カストレ編です!
日本から海外へ旅に出かけるにはもう少し時間がかかりそうですが、自由に渡航できる日がきたときの旅の参考になれば嬉しいです。
▶︎第1回記事
▶︎第2回記事
◆Le Castellet(ル・カストレ)門をくぐれば、中世の世界へ
今回の南仏旅の最終地点となったル・カストレ。丘の上に鳥の巣のような村が広がり、周辺を歩けば、すっかり中世の世界に迷い込んだよう。
滞在先から丘の上にある鳥の巣の村に向かうには、徒歩で40分ほどの距離。村をめがけ、坂道を登って行く途中の中間地点で「暑い… その上に長い一本道で人通りがなく不安!」と思い始めた頃、なんとオーストリアから来ている若いご夫婦に「同じ方向だから私たちの車に乗って行きなさいよ、暑い中大変でしょう」と声をかけられ、村の入り口まで乗せていってもらいました。「なんて心あたたかな方達なんだ」と感動。
車の中で、在住するパリで遭遇したロックダウンのことが話題にのぼり、「渡仏したばかりでそれは、大変だったね〜。でも、これから好転していくはずだよ。素敵な旅を過ごしてね!」とあたたかいお言葉を頂戴しました。異国の土地でもらった言葉で、ちょっと元気が出たのでした。
▲丘のふもとから村へ向かう途中、プロヴァンスらしい広大な自然を撮影することができました。
そして、ル・カストレに到着。
▲この門から鳥の巣の村に入りました。絵本の世界に入るみたいで、ワクワクしました
ル・カストレの村の中にある各店舗やカフェ・レストランでは店員さんがマスクを必ず着用。お店の入り口には手のアルコール消毒が置かれていました。旅人たちはマスクをしている人、していない人、まちまちだったかなと思います(2020年8月上旬時点)。
▲村の中を歩くと、絵になる建物が目に入り、写真をパチリ。南仏にはこのような鮮やかなピンク色の花々をよく見かけます。テコラッタ色の壁に映えて、とても美しいのです。
▲ル・カストレの小さな村をぐるぐると歩いていると、人々が嬉しそうに記念写真を撮る人気スポットに遭遇。透き通るような色の綺麗な空がのぞく、門を見つけました。木漏れ日がキラキラ反射していたこの場所は、この旅で心に残った景色のひとつです。
村の中を歩く中気づいたことがあります。コロナ禍の影響を特に感じたことの一つに、このような人気の南仏スポットでも「アジア圏からの旅人をなかなか見かけない」こと。国外から出て、旅行に出かけるのは難しい状況なのだと実感。
ヨーロッパ近郊から旅に来る人々はいたようですが、アジア圏からの旅人は圧倒的に少なく、ごくたまに見かける程度。見かけた彼らもフランスやヨーロッパ近郊の在住者と思われました。日本人でも人気のあるこの地に、再びヨーロッパ圏外からの旅行者が多く訪れ、活気が舞い戻る日が待ち遠しい!
旅行者の顔ぶれや人数の勢いが例年と違う状況なのだろうと思いますが、南仏で訪れた各街の人々は、色々な都市から訪れる旅人たちをあたたかい笑顔で迎えてくれました。旅人も迎える側も不安な表情はなく、朗らかであたたかなムード。このあたたかな雰囲気が、旅人がまた南仏へと戻って来たくなる理由なのだなと感じます。
いよいよ南仏旅ラスト日。ル・カストレでの滞在先のアイドル猫に、名残惜しみつつお別れを告げました。敷地内にてのんびり伸びをする猫くん。「君はマスクをしなくていいなぁ」なんて、猫を眺めながら思ったのでした。
駅に向かうタクシーに乗るところからマスクは着用必須です。旅で少し緩んだ気持ちを引き締めつつ、日常のパリに戻る列車に乗りました。
在住するパリではコロナ感染者の数が日に日に増えていき、とうとう10月4日より「新型コロナウイルス警戒最大ゾーン」に指定されました。またいつか刻々と変化するパリ情報をお届けしたいと思います!
大倉綾実(Ayami OKURA)
NYと東京でスタイリングとライティングを学び、2020年より渡仏。フランス語に奮闘しながら、ライター・スタイリスト・コーディネーターとして活動中。Instagram:@ayamiokura