真夏のプロヴァンス旅
アヴィニョン&リル・シュル・ラ・ソルグ
7月に入ると、日に日にパリから姿を消していくパリジェンヌ&パリジャン…。そう、都心のパリは7月半ば〜9月に入るまで多くのお店が閉まり、パリの人々は郊外へとバカンスへ出かけ、閑散とした状態になります。ただ2020年は新型コロナの影響が大きく、例年とは異なり、フランス国内でバカンスをとる人々が多いようです。
「パリに暮らす筆者もアパルトマンから飛び出して、何処かで夏を感じなければ!」という思いに掻き立てられ、8月初旬に南仏・プロヴァンス地方に向かうことに。今回の旅では5つの街を訪れ、各土地で濃厚な思い出ができたので、その内容を3部に渡ってお伝えします。それでは、アヴィニョン&リル・シュル・ラ・ソルグ編、スタート!
マスクを着用して、いざTGVへ
日本でいう新幹線のような高速鉄道、TGVへ。マスクを付けての長距離移動はやはり息苦しいですが、皆しっかり「公共交通機関でのマスク着用ルール」を守って乗車していました。
▲「新柄コロナの影響で乗客は少ないかな?」と予想していましたが、さすがバカンス最盛期。ほぼ満席状態。
新型コロナ対策として、フランスでは公共交通機関を使用する際のマスク着用がマストとなっています。TGVではマスクを外している人が、「ちゃんと着けてね!」と添乗員に注意されているのを見かけました。パリのメトロでもTGVでも、列車内の取手に直接触れないように気を付けている人が多いです。
◆Avignon(アヴィニョン)に到着! 歴史に想いを馳せて
アヴィニョンといえば、アヴィニョン捕囚。ローマ教皇の座がローマからフランスに69年もの間移されていた場所として有名です。
中世のムードが漂う街中を練り歩いたのですが、凄まじい灼熱に包まれました(汗)。真夏のアヴィニョンは、日光のレベルがパリと比べ物にならないくらい鋭く、暑い!
アヴィニョンではパリと同じように、レストランやカフェの従業員がマスクを着用し、各店頭には消毒ジェルが設置されていました。人々は店舗内ではマスク着用を守るのですが、街中、いわゆる屋外でマスクをつけている人は、観光客も地元の人も多くはなかったです。多くの人々がテラスで太陽を浴びながらマスクを外した状態で会話を楽しみ、のんびりとした様子。
▲Palais des Papes(アヴィニョン教皇庁)。アヴィニョン捕囚の時代を見届けた、厳かな教皇宮殿。離れたところから見上げないと全体像を見渡せないくらい大きく、圧倒的な存在感。
▲フランスの歌「アヴィニョンの橋の上で」で有名なPont Saint-Bénézet(サン・ベネゼ橋)も訪れました。「橋の上で輪になって踊ろう〜♪」という歌詞がありますが、踊れるほどの横幅はなく… 実際には橋の下で人々は踊り歌っていたとか。
Airbnbのお宅で素敵な朝食をいただく♡
Uber Taxiにて、アヴィニョンの隣町で予約した宿へ。
レンタカーを使わなかった筆者ですが、南仏旅をされる機会がある場合は、レンタカー、又はバスと電車で簡単にアクセスできるところに絞って行くことを強くおすすめします!
私は隣町に行くのに必須のタクシーやUber Taxiをアテにしてたのですが、なかなかつかまらず苦労しました…。夕食後にUber Taxiをつかまえるのに時間がかかりましたが(しかもその時、雨どしゃ降り!)、なんとか無事にAirbnbで予約した宿へ。田舎あるあるですね。
大きなお庭で朝日を浴びつつ、宿のご主人お手製の朝食をいただきました。ホテルの非日常的な心地よさも素敵だけれど、Airbnbでは現地の暮らしを擬似体験できるのが楽しいですね♪
Airbnbでは、新型コロナの影響により何かサービスが変わったようには感じませんでした。この後もう一軒のAirbnbの宿にお世話になりましたが、どちらの宿の主人も笑顔で招き入れてくれ、会話も積極的にとってくれ、おおらかそのもの。ただ客人の筆者は別都市から訪れているわけなので、宿に戻って挨拶する際などは、その前に手洗いうがいを欠かさないように心がけました。
◆おとぎの国の世界、L’Isle-sur-la-Sorgue(リル・シュル・ラ・ソルグ)へ
翌日は、水車と週末のアンティークマーケットが名物のリル・シュル・ラ・ソルグへ訪れました。川に囲まれた美しい街にいると、絵本の中の1ページに自分が入り込んだような感覚に♡
▲この街のトレードマークの水車と遊ぶ子供たち。
週末の大規模なアンティークマーケットを狙って行くと、あまりの出店数に圧倒されました。運河沿いに立ち並ぶ可愛らしいお店から、モールの中にある重厚なアンティークショップ… 丁寧に見ていたら時間が足りない。また季節を変えて、秋冬にもじっくりとアンティークを見に訪れたい場所。
▲夏にぴったりな、カラフルなカゴバッグや麦わら帽子のお店も発見。
運河の美しさも、この街の見所! 炎天下にぐるぐる街中を歩いていたので、眺めるだけで涼やかな気持ちになるし、心が癒されます。
▲この土地の人々の生活に溶け込む、美しい川。
Grand Hôtel Henri(グラン オテル アンリ)のバーでティータイム
リル・シュル・ラ・ソルグで有名な老舗ホテル Grand Hôtel Henri(グラン オテル アンリ)へ。装飾の本の置き方やソファのカラーの配色、一つ一つが洗練されていました。スタッフの方から「隣にあるサロン・ド・テのEugéieもおすすめよ!」と教えてもらったので、次回、行ってみようと思います。
ホテルの従業員はもちろんマスク着用、入り口には消毒ジェルがありました。ホテル内のバーはお客さんが数人しかいなく、少ない印象。新型コロナを意識してか、屋外のテラス席でまったりと過ごしている人の方が多いようでした。
例年は外国からの客が多いと思うのですが、ホテル内ではフランス語が飛び交っており、コロナ禍における滞在者の大部分はフランス人なのだろうな、と感じました。「7月と8月はフランス国内旅行を」という国内へのバカンスを推奨するフランス政府の声があり、2020年夏は自国のバカンス地に目を向けて旅行するフランス人が多かった模様。
南仏旅の醍醐味。それは…
旅の最中、何気なく目に入って来る建物やその装飾に、フランスが持つ歴史・風土が深く染み渡っていることを改めて感じました。プロヴァンス地方特有のベージュ〜柔らかなオレンジの壁の色にピンク色の花が咲き、優しく美しい色彩が心に残りました。「南仏に来たんだなあ」としみじみ…。
次回は、Aix-en-Provence(エクサン・プロヴァンス)とCassis(カシ)の様子をお届けします!
今はまだ海外への渡航が難しい状況ですよね。。。いつかまた自由に海外旅をできる日はやってくるはず。その時の参考になれば幸いです。
大倉綾実(Ayami OKURA)
NYと東京でスタイリングとライティングを学び、2020年より渡仏。フランス語に奮闘しながら、ライター・スタイリスト・コーディネーターとして活動中。Instagram:@ayamiokura